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クラシック 記事まとめ

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クラシックの楽曲・作曲家などについて書かれた記事をまとめていく公式マガジンです!主にハッシュタグ「#クラシック」が付けられている記事を自動で追加し、紹介していきます。
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記事一覧

シューベルト 即興曲Op90-3 楽曲分析

ここではシューベルト(1797〜1828)の即興曲Op90-3の楽曲分析をしていこうと思います。シューベルトのピアノ作品の中では親しまれているものの一つで、ピアノソナタ程の難易度ではないことから、彼の作品の中では挑戦しやすい曲になっています。まずは製作過程を紹介し、次に実際に楽譜を見ながらどのような構成になっているかを見ていこうと思います。 1 概要この即興曲は1827年に書かれたもので、シューベルトが体調の悪化と戦いながら生み出されたものになっています。Op90は4つの即

フラウト・トラヴェルソ祭 バルトルド・クイケン

フラウト・トラヴェルソ(バロック・フルート)の世界的第一人者、バルトルド・クイケンの演奏を聴くことができる『バルトルド・クイケンとその仲間たち』というコンサートに行ってきました。 大フラウト・トラヴェルソ祭このコンサートは、B.クイケンに薫陶を受けた日本人奏者7名が、今しかできないアンサンブルを求め集結したもの。 B. クイケンはすべてのプログラムを演奏し、アンサンブルの相手は次々に変わっていくというスタイルのプログラムでした。 普段はほとんど聴くことのない、5本のフルート

夜の歌に:人の声ほどに美しい楽器はこの世にはない

今日もまた、ファニー・メンデルスゾーンの繊細な抒情詩のような音楽を聴いています。 460曲ほどの作品が存在していて、おそらくそのうちの少なくとも100曲はYouTubeから鑑賞できるようですが、これまでに聴いたのは40曲くらいでしょうか。 大曲を含む代表曲はほとんど聴いたけれども、ファニーの全作品の一割もわたしはまだ知らないのです。 弟フェリックス・メンデルスゾーンの場合は、ほとんど全ての作品に親しんでいて、有名な作品は楽譜も読んでいます。 フェリックスの清書された自

「動機」を探せ!(第2回)〜ベートーヴェン《交響曲第7番》第2楽章に通底する「リズム動機」

動機(モティーフ)についての基礎知識 「音楽の三要素」といわれているものがある。それは「リズム」「音程(またはメロディー、旋律)「ハーモニー(和音、和声)」とされている。 「時間芸術」「瞬間芸術」とされている音楽が、この3つの要素だけでできているわけではないのだが、それでもこの「音楽の三要素」は音楽の中で大きな存在だ。僕のような立場のものが大勢のオーケストラを合奏し、ひとつの方向にナビゲーションする、言い換えれば「全体を揃える」時に気にすることはこの「三要素」によるところ

イギリスにおけるJ.S.バッハの再発見と『平均律クラヴィーア曲集』(200)

1802年3月にアミアンの和約が締結され、フランスとイギリスが一時休戦となると、クレメンティは弟子のフィールドを引き連れて大陸に渡ります。1802年8月にパリに到着し、ここではクレメンティと同じく楽譜出版、ピアノ製造の事業に乗り出した音楽家であるイグナツ・プレイエル(1757-1831)との商談が主な目的でした。 フィールドはパリでコンサートに出演しましたが、中でもバッハとヘンデルのフーガの演奏が聴衆を驚かせたと言います(「その正確さと真似の出来ない彼の感覚にパリの聴衆は極

「人生にナビはない、たとえ発達障害でも道は自分で選んで進め~音楽活動編~」

僕とトロンボーントロンボーンを始めたきっかけ もともと音楽は聴くのもやるのも大好きでした。 アコーディオンなどが中心で、女の子ばかりだった小学校の音楽クラブと違い、いろいろな楽器があり、男子部員も多いことを、地元公民館の文化祭で催された中学校吹奏楽部の演奏で知った僕は、 「中学生になったら吹奏楽部に入る!」 と決めていました。 入学直後、部の見学にいった日、身長195cm(!)の部長さんが手にしていたトロンボーンを見て「カッコイイ!」とひと目ぼれ。 先輩に招かれるままパー

NHKホールで味わうクラシック 「LIVE!NHK Classic Fes. 2024」

毎週日曜日に楽しみにしているのが、NHKFMの「x(かける)クラシック」。 クラシックも好きですが、モデルの市川紗椰さんとサクソフォン奏者の上野耕平さんのおしゃべりも楽しくて、生で聞けない時も「らじるらじる」で聞き逃し配信を聞いています。 この番組の中で、昨年に続き、今年の11月もイベントが開催されることを知りました。 しかも今年は昨年よりグレードアップして、NHKホールから6時間半を越える生放送! 運よく観覧チケットをいただき、このお二人の他にコントラバス奏者であり

女性のためのピアノの時代: 知られざるドイツロマン派の大作曲家ファニー・メンデルスゾーン(4)

19世紀中葉のヨーロッパで最も広く人気を博していた作曲家はフェリックス・メンデルスゾーンでした。 19世紀は中産ブルジョア階級が台頭したことで知られています。 社会制度の変化によって社会の富の分配の仕組みが変化したために、18世紀には搾取されるばかりだった庶民が裕福になり、いわゆるブルジョワ階級が新しい時代の文化の担い手となっていたのです。 新興ブルジョワたちは文化的な生活の象徴であるピアノを持つことに躍起となり、彼らのためのピアノ音楽の需要が生まれ、現在では芸術的価値

James Ehnes & Orion Weiss - Beethoven Complete Violin Sonatas II~ジェイムズ・エーネス ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ(Ⅵ~Ⅹ)全曲演奏会 II 鑑賞レポート

初の紀尾井ホール来館 ここ2年ほどは日本人演奏家・国内著名オーケストラの都内、または在住県でのリサイタル・コンサートばかり観覧しておりましたが、コロナ災禍も平常化されて1年半以上経過したのと、「たまには世界レベルの演奏にも触れたい」と一昨年・オペラシティでのアンドラーシュ・シフ卿の来日公演千秋楽以来、都内・紀尾井ホールにて、これまた大本命のマエストロの公演チケットが入手できました。 山猫がサブの趣味にしているオーディオ界隈でも世界的ヴァイオリニストの呼び声の高いJames

オルガンに助けてもらい、教えてもらった。

リヒャルト・シュトラウスという作曲家のアルプス交響曲という曲があって、巨大編成オーケストラとステージの外も含めたくさんの仕掛けが仕込んであたりでこれは録音じゃなく現場で聴かないと!!! でやっと行けたんですよ。 その仕掛けがどれもよく見えたり聴こえたりする最高の席が取れていて・・ 端折りますが一番大事なここから神経集中していくという場面で、目の前の席の人がしゃべりだしちゃった。 それがどういう事か理解してもらえるかわからないけれど、私の中では何かが壊れてしまい・・ と、いつ

ノクターンの歴史:知られざるドイツロマン派の大作曲家ファニー・メンデルスゾーン(3)

夜を意味する は、次のようなヨーロッパ語を生みだしました。 Night(英語) Nacht(独語) Nuit(仏語) Notte(伊語) Noche(スペイン語) 19世紀になると、これらのキーワードが特別な意味合いを持って理解されるようになり、芸術家たちの創作意欲をそそるようになります。 音楽の世界では夜を想う音楽が盛んに書かれるようになるのです。 未知なるものへの憧れを特徴とするロマン派音楽は、夜という「昼間ではない」世界を特別視することにも大きな特色が

バッハを聴く 来たれ聖霊、主なる神によるファンタジア BWV651

noteを始めてちょうど丸1年の記念すべき日に、 神奈川県民ホールに、オール・バッハ・プログラムの オルガンリサイタルを聴きに行ってきました。 同ホールのオルガン・アドバイザーでもある中田恵子さんの 演奏による今回のリサイタルで使用されたオルガンは、 1975年1月の開館にあわせて、ドイツのヨハネス・クライス社により設置されたものです。日本で初めて公立ホールに設置されたパイプオルガン。 30種のストップ(音色を選択する仕組み)、パイプ数は2024本と、昨今の大型ホールのオ

プロの歌のテクニック8選:元劇団四季が伝授!中学生も簡単に実践可能

「歌がもっと上手になりたいな」と思ったことはありますか?実は私も、昔は歌が上手になりたくて仕方がありませんでした。 歌うことが大好きで、ただ楽しく口ずさむだけだった私が、プロの舞台に立つことになったとき、自分の歌の技術と真剣に向き合わなければならない状況に直面しました。 そのときから、私は本気で歌の練習を始め、劇団四季で俳優として6年間活動する中で、歌が上手な人には共通する特徴があることに気づいたのです。 それは、たんに声がきれいとか音程が正確だというだけではありません

¥4,999〜
割引あり

ジャン・シベリウスと「樅の木」:フィンランドの自然を描いたピアノ曲の魅力

ジャン・シベリウス(1865–1957)は、フィンランドを代表する作曲家で、その作品には北欧の大自然の風景やフィンランド人の精神が色濃く反映されています。また、フィンランドでは独立運動の象徴的存在としても知られています。 彼が作曲したピアノ曲の中でも特に有名な「樅の木」Op. 75-5は、北欧の自然を思わせる美しい旋律が特徴的です。この穏やかで親しみやすい作品は、演奏を通じて感受性や表現力を自然に育むことができる楽曲として親しまれています。本記事では、この作品の魅力とともに