チェンバロで演奏する月光ソナタとジュリエッタ
前回、文明開化の明治日本において行われた西洋音楽輸入の時代に活躍して悲劇的な最期を遂げたピアニスト久野久のことを語りましたが、久野久の得意曲は、いわゆるベートーヴェンの「月光ソナタ」でした。
わたしはこの曲を暗譜しているほど大好きなのですが、今回は次の三点に絞って解説したいと思います。
例によって、当時のピアノ(フォルテピアノ)と現代のピアノ(19世紀半ばに完成されたグランドピアノ)の楽器の性能の違いから読み解く視点からの分析です。
<1>月光ソナタという誤称まずは名前