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2024年3月の記事一覧

【詞】日蝕

【詞】日蝕

とりあえず一人を貫く
一人は、それは気楽だけれど
色々とすり減ることがある

仕方ないとばっさり捨てた過去は
まるで煙のように薄暗い
星は点々と
月の名の船は終着へ

通り過ぎた記憶はまるで
近くて遠い道すがら
見つめるガラスは鏡になって
佇む僕と日蝕を映し

枝垂れ柳のように街を灯す
照明の中を汗ばみ急いだ
幼気な月と違う明日の風は
心の波間をゆらす

おおよその幻と影を踊らせた指で
今までに呟

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【詞】ニャー

【詞】ニャー

月と僕のこと 考えてみたんです
考えてみたんです 頭の中で
言葉の海を滑っていくんです
滑っていくんです 頭の中で
空いた感情に今日も
「ついていないな」と溜め息吐くのです
空いた感情
標識が夢の中を漂うのです

手を繋いでいたはずの未来
どこに消えてしまったかな

そしたらもう次には猫になろう
路地裏の光 ニャ―として
そしたらもう次には何になろう
青い未来が待っている

何かを得ればそれはそれ

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【詞】砂上の楼閣

【詞】砂上の楼閣

砂の惑星 どこからはじめる
憂鬱と投げたルアーで
何を見るの 何を知りたいの
高層ビルの幻ならば
湧き出る風のすみかから
砂の惑星 どこからはじめる
機械じみた夜の園で
何が居るの 心踊りたいの
グラフィックのハートならば
きらめくログの頂から

ほら

ここからは砂上の楼閣
陽の光 砂に恋をする
そう言ってみて砂上の楼閣
永遠すら掌に
掴んだようでどこにもない
砂にもまるで跡はなく
昼間に下りる

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【詞】ただ、春風。

【詞】ただ、春風。

遠い汽車は海岸沿い、あなたを乗せて走り出す
背中にゆれる葉桜の春を影のように落としては
どこまでも見送ったのは、言いたかったことを
言葉よりももっと近付いて伝えたかったから

それは伝わらない、きっと伝わらない、
僕のとっくに錆びついた心の蓋をしずかに開けたのは
紛れもないあなた、紛れもないあなた
車窓にゆられて眠りにつく頃、外は夕凪

今此処で、春の空気をようやく感じる、春の空気をようやく感じる

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【詞】表現

【詞】表現

表現が続くのなら
いつも、いつも続けていきたい
電気の奥底に
左手で描いていく憂鬱
足下、鉛筆で川を流したら
何かになれる怪物が
きっと、きっと迫ってくるのです

晴れの草木にときめく僕は
不思議なことで人はいつしか忘れてしまう
そう思うと羽根のように空を泳ぎたい
フクロウの目のその奥に見つめられる僕は
そう思うと

表現が続くのなら
いつも、いつも続けていきたい
宵闇を縫うように
左手が隠しだす

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【詞】海を見ていた

【詞】海を見ていた

海を見ていた日 その波打ち際で
比喩じゃなく 嘘でもなく 座り込んだ君のこと 
髪をゆらしてる飄飄と 風に声を吹き込んでいた
肩をゆらしてる桃源郷 足下の砂を読み込んでいた

海を見ていた日 その小さな窓で
寄せては返す波の夢 眺めていた君のこと
この部屋から飛び立つものは 鳥の群れを紡いだ言葉
海 空 その紙一重まで 星の無数を紡いだ言葉

あの子は放課後 寂しそうに 石を蹴っていた 楽しそうに

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【詞】20の夜明け

【詞】20の夜明け

降り落ちる言葉の雪を待っていればいい
日が暮れたら遠い風車の影を追えばいい
凍る空 僕はまだ居る
凍てつく地から 遥かな人の幻を見る

20の夜明けが近づく ときめく鼓動
トンネルを抜けるその心の
薄曇りが伸びてやがて晴れたら
遥かな幻は輪郭を帯びる

いつか僕は何よりも僕を行く
そこで朝は何よりも朝を描く
そうなれば隠れる砂の在り処から「今」を見つける

ここで僕は誰よりも僕を知る
そして朝は街

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【詞】ナニモノ

【詞】ナニモノ

何者でもない世界で
夜の木を辿り 謎を解き明かす
事柄の到達点は 染み渡る森の中 粒子へと

何者でもない世界で
海に木がゆれる その嵐から
想像の到達点は 研ぎ澄ます未知を漕ぎ出した

そこで引き返してみても
浮かぶ星がより謎めく
何でもない風は憂鬱を吹き飛ばすほど
知らない世界により帆を立てては眺める
イメージの雷はナニモノ?と走る

電灯の街 通り抜けたら
凍てつく夜の希望も
素直になる心に

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【詞】薄暮

【詞】薄暮

通りの春がきらめいていつか
大きすぎる街を走る
燃えるような言葉がいつか
夢の中に灯る光
声が聞こえても何か分からなくて
夜の底で声を掴んで
返す言葉の糸は
薄暮に浮かぶ理の中を
まるで縫うように
薄暮に浮かぶ理の中を
まるで縫うように

僕の話すことは正しくないな
降りる帷 よぎる嘘に身体を預け
君の声が聞こえなくても聞いた気がして
日々の底の影の魚
掬うイメージの網よ
薄暮にゆらぐ理の花を

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【詞】理想郷

【詞】理想郷

日々の先で映像美に咲く
花のような理想郷
言葉の中で素直になれる灯の夢を
日々の先で映像美に飛ぶ
鳥のならぶ余白に
今、幾重の雲を招くなら光込めて

家のアンテナが日時計みたいに回る
丸い視界の縁に立って考えている
また雲の夢を見て広がる理想郷
花曇りの空から冬の野を
越えていけば見える理想郷

より近くで考えてみたら
なびく髪の夕暮れに
素直になれる言葉の色と
ビルに写る映像美
またビルに写る景

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【詞】春の歌

【詞】春の歌

春が来る、そのはじまりに笑えるように
舞い込む風に思い出す誰かのように
教室の匂い 曇る窓の落書きの跡
開いたら、そこから続く記憶がある

二人は桜
いつまでも忘れられないの
細かい花びら舞うときに
どこかで会える約束を
アスファルトを踏めば、ゆめうつつ
山脈から一面咲くでしょう

春が来る、その砂を掴む掌
はためく夜の旗のような心すらも
黒板の文字 あの頃の落書きの跡
躍るなら、そこから見える未

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【ショートショート】夢の中

【ショートショート】夢の中



夢の中、線のように不確かな海辺で、ルアーを付けた釣り糸を水面に垂らす
一握りの憂鬱と釣り上げたいのは、魚ではなく言葉
ふいに潮風に似た風が髪を揺らし、風の行き先を目で追えば、
遠くに走り書きのような高層ビルの輪郭が見える
暮れると夜は無機質じみていて、
かつてときめいた記憶の隙間から
美しさを思い出せば、グラフィックで飛び出してくる

・ ●

思い出せば、それ以上は砂上の楼閣
砂を握るよう

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【詞】シャロー

【詞】シャロー

インプットして粘土のように
こねて出来た月の裏側
何もかも刹那の火花
時間を数えて一つ、二つ、三つ目には月の裏側
瓶に立てた水中花

雲間に飛ぶ鳥は気のせい
赤い夕暮れも気のせい
気のせいじゃないのはあなたの気配
どこからか懐かしく、言葉を言いたげに

何でもない夜の光る
ずっと、ずっと、ずっと、ずっと
何にもない夜の笑う
ぐっと、ぐっと、ぐっと、ぐっと

インプットして粘土のように
こねて出来た

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【詞】シーグラス

【詞】シーグラス

針の穴に糸を通すような一瞬で
路次の水平は、ナノ的な
舟をルラルラ運びつつ
魚の紡いだ、文字の入るグラスが
ルラルラ水面に現れゆく
事柄の到達点は
瑠璃色のシーグラス、さざめく汽笛を
横目にゆらめく海の魔法陣

鯨に似た日射し口を開けたら
屋根裏の銀河は、ログ的な
星をルリルラ運びつつ
波の紡いだ、記憶の入るグラスが
ルリルラ水面に現れ来る
事柄の着眼点は
彼は誰時のシーグラス、漣に紛れ
かつての

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