マガジンのカバー画像

new education LittleTree コラム

102
私たちは今、新しい時代を迎えています。 その時代を生きる私たちの人生とは頂上ののない成長の山を登るようなもの。   子どもも大人も楽しみながら、外側も内側も成長していく新しい教育…
運営しているクリエイター

#子ども

子どもを深く観る

子どもを深く観る

先日、私が顧問をしている保育園の職員研修を行いました。
研修のテーマは「最近困ったり、迷ったりしていること」でした。
先生方にいくつか具体的な項目を挙げてもらい、それに沿ってみんなで対話をしていきました。

幼児クラスの先生が「子どもの言葉遣いが悪くて困っている」と話していました。
特定の子の名前が挙がり、他の先生方も「わかる、わかる」というように頷いていました。

なぜその子は乱暴な言葉を発する

もっとみる
シンプルであることの大切さ

シンプルであることの大切さ

相手にスムーズに話が届かないということがありました。

3回全く同じことをほぼ同じ言葉で話しても、その時の相手の状態で、その都度その人の聴き方が変わっていくのです。

例えばこんなやり取りです。

1回目 
A「この書類をこういう風に直しておいてくださいね」
B「え?間違っていたんですか?言われた通りにしましたけど。〇〇さんがこう言ったから・・」(間違えを指摘されたと思い、自分を正当化し始める)

もっとみる
リラックスしていることの強さ

リラックスしていることの強さ

以前、あるワークショップに参加しました。
そこで行ったワークがとても興味深く、驚きの体験でした。
それは、二人組になり、AさんがBさんの腕を曲げるというワークでした。

まずはBさんが拳を作って腕に力を入れ、まっすぐに伸ばします。
そこへAさんが力を入れて、その腕の肘を内側へ曲げようとします。

すると、二人は力を入れて押したり抵抗したりした末に、Bさんの腕が負けるかAさんが諦めるか・・という攻防

もっとみる
質の教育〜内的な力を育む〜

質の教育〜内的な力を育む〜

今、「非認知能力」を伸ばす・育てる教育が注目されています。

学力や頭の良さなど数値で測ることのできる「認知能力」とは別に、思いやりや自立心・心のたくましさのことを「非認知能力」と言います。
このことについては、解説している人がたくさんいるので、ここでは詳しくは書きませんが、一言で言うと「認知能力」は表側に現れる能力、「非認知能力」は内側にある内的な能力‥言わば、質的な能力のことを指すと、私は捉え

もっとみる
いきいきとした人生を生きる

いきいきとした人生を生きる

先日、友人があるテレビ番組を観て、感じたことをシェアしてくれました。その番組は、障害を持っている人が社会で活躍しているところを追う内容とのこと。その中で義足をつけたダンサーが映し出され、友人はその姿に心を打たれたと感動していました。
「障害を持っている人がいきいきと自分を表現している姿を見て、私はあんな風にいきいきと生きていないかもしれない」
という友人の言葉が印象的でした。

今の時代、友人のよ

もっとみる
“大人である”あり方を手に入れる

“大人である”あり方を手に入れる

前回のnoteに
「真の多様性を理解するには、私たち一人一人のあり方はもっと大人で、“成熟”していく必要があると感じています。」と書きました。

今回は、その“大人”をテーマに書いてみたいと思います。

しばらくの間、“大人”について探求してみました。
すると見えてきたのは、自分の中の“子ども”の部分でした。
自分自身に、その“子どもさ”を感じる場面を思い出すと、その時の自分のあり方は「責任を取っ

もっとみる
比較と多様性

比較と多様性

ある時、初対面の人に会い、話を聞いているうちに「この人は素晴らしいなぁ」と感じ、その人を心から受け入れている私がいました。
また別の時には「どうしてこの人は閉じていて否定的なんだろう・・」と感じる人と会い、その人を受け入れられない私がいました。

この二つの出来事を思い返し、私には“共感できる人”と“共感できない人”がいることに気づきました。
共感できる人とできない人がいるのは当たり前かもしれませ

もっとみる
“ある”も“ない”も在る世界へ

“ある”も“ない”も在る世界へ

私が大好きなインドの教育者、クリシュナムルティの本の中の一節より。

陽のなかで揺れている木の葉を見つめている生徒は、注意深い状態です。
その時彼を本に引き戻すと、彼の注意を阻害してしまいます。
それに対して、生徒がその木の葉を十分に見つめるように助けることは、彼に注意の奥深さを気づかせることになります。
そこでは気が散るということがありません。

この一節を読んで、私が小学4年生だった時のことを

もっとみる
“自由である”という責任

“自由である”という責任

以前北京の幼稚園の先生方に、自然の中での保育を伝え、子どもたちにも自然の中での活動を実施しました。
中国の幼児教育は、日本の一昔前の教育のように、学力や能力を相対的に評価すること(競争原理)がベースにあります。いい学校に入り、いい会社に入ることが目的という考えが大半を占めているとのことです。
そのような中でも、最近は新しい視点や考えを取り込み始めている人たちが増えて来ているようです。

北京訪問で

もっとみる
優しく穏やかな時の流れの中で育つ

優しく穏やかな時の流れの中で育つ

私はクリシュナムルティというインドの教育者の言葉が好きです。
愛に満ち溢れシンプルな言葉に、いつもハッとし、考えさせられます。
クリシュナムルティの「子供たちとの対話」という本の一節にあったこの言葉が私の心に響きました。

シンプルな愛とは何か理解できるでしょうか。性愛の複雑さでもなく、神の愛でもなく、ただの愛、すべてのものへの接し方全体が優しくて、本当に穏やかなことなのです。

私たちは、いつも

もっとみる
善も悪も含んで・・

善も悪も含んで・・

以前行われた親子トークイベントの中で、このような質問がありました。

「子どもが虫などの小さな生き物を殺してしまうのですがどうしたらよいのでしょうか?」

このような問いは、私や他の講師が「どうすれば良いか」という方法を教えて、簡単に答えを出すようなものではありません。子どもにとってどんな体験になるかは、その時の状況・子どもの年齢・個性によって違うからです。

興味深い、そして身近な問いだったので

もっとみる
自由意志から選択することを尊重する

自由意志から選択することを尊重する

「子どもの主体性を大切に・・」という保育に国の指針が変わりました。
その反面、「子どもの内に〇〇(英語・音楽・知育)をさせておきたい。」と早期教育を重視する考えの方も多くいます。
今までの日本の教育のほとんどは、後者の方かもしれません。

「子どもの主体性を大切に」
「子どものありのままを見守る」
「子どもに寄り添う保育」
これらの保育観は、素晴らしいとは思う。
でも、それをやろうとするけど、なか

もっとみる
“ありのまま”である自信を育む

“ありのまま”である自信を育む

最近、“ありのまま”という言葉が当たり前のように使われるようになり、私たちの中で“ありのまま”が根付きつつあるように感じます。
以前ある集まりで、改めて「ありのままってどういうこと?」を考える機会がありました。その時、人それぞれ、イメージが違うのだということを感じました。

みなさんは、“ありのまま”と聞くとどんなイメージが浮かびますか。

ある人にとっては、「自分が思っていることを実現すること」

もっとみる
この世界が良くなる日は来ますか?

この世界が良くなる日は来ますか?

以前、インドに行った時のことです。
オートリキシャーで街中を走っている時、路上生活をしている家族たちを目にしました。その時、一緒に乗っていたインドに住んでいる知人に
「この世界が良くなる日が来ると思いますか?」と聞かれました。
私はその質問にドキッとしながら「思います。」と答えると同時に、目の前の情景を見て『本当にそんな日が来るのかな・・』と疑念も浮かびました。

世界の飢餓は無くならず、貧富の格

もっとみる