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関眞興 『キリスト教からよむ 世界史』 : 「地味な法衣」をまとった 充実の中身

書評:関眞興『キリスト教からよむ世界史』(日経ビジネス人文

文庫書下ろしの、キリスト教をめぐる世界史。
前キリスト教時代から現代まで、日本と東アジアを含む東西世界を広くカバーした本。

当然、軽い読み物だと多寡を括って読み出したら、その情報量の多さとバランスの良さに吃驚。
そのため、初心者向けのものとはなっておらず、かえってキリスト教に関する予備知識が無いと、とうてい頭に入って来ないほどの充実ぶりだ。

この本を軽く見たり、軽く評価したがる人は、たぶんキリスト教に関して「党派的な知識」しか持たない人なのだろう(また荘厳な儀式に酔ってしまうタイプだろう。残念ながら、文庫は軽く見られる)。

カトリックやプロテスタントの信者である学者による、その、ある程度バイアスのかかった「専門書」をつまみ食いして、自分も専門家気分になっているような、俗流の権威主義者には、この世俗的に数歩も退いた立場からの、客観的な評価が物足りなく、素人くさく感じられるのは、ある意味では当然かも知れない。

しかし、謙虚さを欠いた素人の知ったかぶりほど、当てにならないものはない。
さしたる根拠提示もなく、否定的な決めつけを並べて見せるのは、宗教がかった素人(例えば、ネトウヨなど)にありがちな事なので、レビュー読者は、そのあたりに注目して参考にしてほしい。


初出:2018年6月6日「Amazonレビュー」
  (2021年10月15日、管理者により削除)

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