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そらのうた

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#文章

君の手

君の手から香りがした
愛用のハンドクリームの爽やかなそれだ

男のくせに
綺麗な肌に磨いちゃってさ

素直に褒めることができない
私は天邪鬼

「寒くなるから買い物に付き合ってよ
セレクトショップに行きたいんだ」

手は引っ張らないで
ハートは引き寄せられる

クローゼットで服を探る
組み合わせが難しくって

当日
シンプルな装いでも滑らかに褒める
いつもの爽やかな匂いが手から漂う
君の手と口が今

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風光る午後

風光る午後

「君らしくいてね」

風光る午後
あなたがくれた言葉

ありふれたそれも
君からだと意味を帯びる

挫けそうなとき
つまづきそうなとき
真夜中眠れないとき

先が見えなくて
不安が喉に詰まっても
記憶の欠片を拾い上げて
その言葉を馴染ませる

たったそれだけで
光芒が視界に映るように
立ち上がる勇気が湧く

気付けば四季は何度も巡る
香りをゆらゆら移ろわせて

今の世界に君は不在でも
眼を閉じて耳

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既定通り春は訪れる

既定通り春は訪れる

既定通り春は訪れて
君が不在の世界でも

柔らかな風がそよぐ
髪と戯れて頬を掠める

最後の言の葉
変わらない面持ちと声の高さで
君からの「ありがとう」

刻々と針は動き
2人の思い出は
クリスタル色に染まる

既定通り春は訪れて
君が不在の世界でも

木漏れ日は揺蕩う
その円形の眩さに
記憶の君を重ねる

既定通り春が訪れるその前に
君は世界から去っていった

その事実が
ガラス色の心に響いて

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プロローグを経て

どこかで誰かが号泣必死の映画を観て泣く

「今日から人に優しくしよう」とSNSで決意した誰かは数日後、クラスメイトに平気な顔して罵詈雑言を浴びせる

物語は届かないの?
言葉は届かないの?
思いは届かないの?

私はそっと目を閉じた
私は部屋に閉じ籠った
私は前髪をより伸ばした

現実から逃げたくて
私は藍色の空を撮り始めた

明日なんて来るな
金輪際、夜は空けるな

祈りが通じるはずもなくて

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うたた寝

うたた寝から目覚めて思い出したのは君の横顔

ある時までは見慣れたその横顔
ある時を最後に見たその横顔

恋や愛を疎ましく思っていた僕に

溶けるような優しさ
壊れることのない強さ

教えたくれたのは君の微笑
教えてくれたのは君の美声

目が覚めたよ、中途半端な時間に
目が覚めても、忘れえぬ君の姿形

ああどうしよう、どうにかしよう

有り余った思いやりや想像力は誰のため?
行き場のないそれらを塞

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揺れる灯

明日も息を吸って
心臓が動き続ける保証はどこにあるのかな

目を開けぬまま息絶える可能性だってあるのに

僕はいつからか
命の灯が消えないと
若さゆえに錯覚していたよう

変わらないものは何と
変わってしまうものは何と
輪を描くように繰り返すものは何と
進歩の果てに必ず途絶えるものは何と

今一度問いかけよう

問い続ける姿勢が秀麗ねと
世界の切り取り方が綺麗ねと
言葉で僕を飾ってくれたあの人

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木枯らし

季節が巡る
ありきたりな書き出しから綴るね

当然のように地面に降り積もる
落ち葉を見ることが堪え難いなって

約束されたように散って
木枯らしに攫われるんだね

ああ、いつから心変わりしたの
嘘をつくとき唇に触れるそのしぐさ

だから怖いんだ
秋という季節は

実りを終えたら
手を振ってバイバイ
頭を振ってバイバイ

たゆたう心の動き
不変を嫌うのはケースバイケース

変化には犠牲がつきもの

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星屑

星屑

星を想う

あの星は一体
誰の生まれ変わり

非科学的で笑ってしまう
誰でもない ただそこに居るだけ
それが最もらしいはずでしょう

例えば夢破れたとき
例えば失恋したとき

その思いは
空に還るのだろうか

それとも
土に還るのだろうか

どこに行き着くまでもなく
見えないそれを抱える人

それこそ星の数ほどいるでしょう

君の抱えた想いは
君が抱きしめた想いは

過去にならない今でさえ
君を君

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夕方、河原、ヘッドホン

放課後の帰り道
ヘッドホンを付けながら
河原で音楽を聴く君

今やワイヤレスイヤホンが流通して
社会は小型化したもので溢れている

テレビも携帯も扇風機も

今でもヘッドホンで聴くのは君のポリシー?

なんだかね、不思議で面白くって

君が重きを置いているもの
君を構成しているもの

そんな君の個性をゆっくり教えて

全ては理解できないよ

だから君が語りたい自分を
少しずつ見せてくれたら
#詩

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願わくばこの声が

言葉一つで君を象る
言葉一つで世界を切り取る

言葉には対象を揺らす力がある

君に向けるそれが
淡雪のように優しく降り注げたら

君に向けるそれが
舞い散る桜のように記憶に留められたら

どうしてさ

意図した通りに伝わらないで
笑顔が溢れないから
伝達が難しいから

世界は複雑を極めるのだろうね

君に届くかな 僕の声は
君に伝わるかな 僕の想いは

この胸に閉じ込めた感情を吐き出して
季節を

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ブルーアワーを君に送る

未明の頃合いに私は外に出て桟橋に横たわり写真を撮る

この時間にだけ姿を現す紫と青が入り混じった空、ブルーアワーを瞳とカメラに収めるのが日課だ

私がこの空を撮る理由はまだ私が始まっていないから
陽が登らないこの時間が私に味方してくれるような気がした

私は未熟で未完で未成年で
物語は始まってさえいない

誰か1人、理解者が欲しかった
派手なブランドや飾りのための恋愛、
見栄だけに留まらない人と繋

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飾らない言葉で君を飾る

飾らない言葉で君を飾る

言葉は想定通りの速度を帯びないから悲しい

直線に沿って君の心臓に届けばもどかしい気持ちにならないのに

僕の思いはスローボールで忘れた頃に君に届くのかな

もしかしたら届きもしないで地べたに着地するかもしれない

梢と梢の間から零れる光のように
すっと君の心臓に届いて、届け

伝えたいことは一つだけ
忘れて欲しくないことは一つだけ

どんな君も どんなときも
言葉には収まらないほどに
僕は君に惹

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言葉では…

ありがとうも可愛いも
素直に受け取ることができない君の心を
撫でていたい

言葉は不意に人も現在も過去も世界さえも、既定された範囲内で象ってしまう

僕も君も不器用だ 言葉だけでは伝わらない、届かないね

例えば雪の日に公園へ連れ出して
雪合戦した君は普段より笑顔が溢れていた

雨の日 傘を持たない僕に「これ」の一言で渡したぎこちない優しさが始まりだった

少しずつ思い出が重なってくね
無理に伝え

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春の約束

何かの衝撃で君が揺れるとき
僕が手を差し出して離さないからね

嘘をつくのが下手くそな僕が掲げる約束さ

君を安心させたいんだ 

言葉だけじゃない 行動に移して気持ちを伝えたい

春の花が咲き誇る風車の前でたった今
約束したよ
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