マガジンのカバー画像

弱おじの本棚

199
読んだ本の記録です。
運営しているクリエイター

#思考

「考える教室」を読んで「考える悦び」を学んだ話。

「考える教室」を読んで「考える悦び」を学んだ話。

若松英輔さんの「考える教室〜大人のための哲学入門」を読んだ。

まさに入門にぴったりの本で、数名の哲学者の紹介、そしてその考えをどう読み、どう思考を深めていけば良いのか道筋を照らしてくれている。

本を読むことは最高のエンタメだ。
だが、もっと楽しいことがある。
それは、本を読み、思考を深めるということ。

ゆっくりと一人で本を読み、著者との会話を通して、己の人生について深く思いを巡らす。
こんな

もっとみる
あなたの苦しみを言葉にしてごらん?それを見た誰かが救われるかもしれないよ。 〜「毒をもって僕らは」を読みました〜

あなたの苦しみを言葉にしてごらん?それを見た誰かが救われるかもしれないよ。 〜「毒をもって僕らは」を読みました〜

冬野岬さんの「毒をもって僕らは」を読んだ。

本の帯に引き寄せられて本書を手に取った。

「この世界の、薄汚い、不幸せなことを私に教えてくれないか」

登場人物の女性は余命が僅かで、生きることに希望を見出せない。
主人公の少年に対して、あなたの苦しみを教えてくれと懇願する。

苦しみを言葉にすることは、辛い。
トラウマを掘り起こす作業なんて本当はしたくない。
記憶が流されてくれるのをただ息を潜めて

もっとみる
「死」を意識することで「今」は輝く。 〜「余命一年、男をかう」を読みました〜

「死」を意識することで「今」は輝く。 〜「余命一年、男をかう」を読みました〜

吉川トリコさんの「余命一年、男をかう」を読んだ。

人はいつか死ぬ。
当たり前だけど、そのことを思い出させてくれた。

今、仮に余命を宣告されたら嬉しいだろうか?
「あぁ。やっと終われる。楽になれるんだ。」と、救われる気持ちになる人だってきっといるのだろう。

人生が「期間限定」であることを、人間はすぐに忘れてしまう。
期間限定だからこそ楽しもうと思えるのだし、逆に永遠に続くと思ってしまうからしん

もっとみる
あなたの苦しみをこの小説が肯定してくれている。 〜「土の中の子供」を読みました〜

あなたの苦しみをこの小説が肯定してくれている。 〜「土の中の子供」を読みました〜

中村文則さんの「土の中の子供」を読みました。

中村さんの小説を読むたびに思うのは、
「生きづらい人ってたくさんいるよなぁ」ってこと。

同時に、
「自分の人生って案外マシなのかもなぁ」
と思えるので、内容はダークだけど読んだ後は不思議と救われた気持ちになるのです。

苦しみに触れることで、自分の幸福度が上がってしまう。
これは決して恥じることではないと思っています。

小説で深い苦しみに触れてお

もっとみる