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噛みしめたい

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何回も、何回も読み返したい文章たちです。
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ミッドナイトスワン

人が生まれて死ぬまではあまりに長くて、突然に短いという。その一生のうちでわたしは、わたしたちは、何を残して立ち去っていくのだろう。

公開前からずっと観たいと思っていたけど、心のどこかでは見るのが怖くてなかなか観に行けずにいた。

私は同性愛者だ。
一通りの差別を経験して、それでも普通になろうとして、そしてようやく理解してくれる人たちに出会えた。けれど身内には隠して生きている。

映画の一報が私に

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他人の評価に支配されるのは良くないことですか

他人の評価に支配されるのは良くないことですか

約半年ぶりのnoteじゃ〜。

この半年間でSNSに無事飽き、半ば義務のような感覚で続けていた日々の中で「なぜこれを手放せないのか…」とぐるぐる考えていました。まあそれは今度たくさん書くとして(読んでくれるとうれし〜です)

そんな義務のような中でも、唯一楽しみだったのが絵本の執筆。

今回はその絵本の話なんですけど、その前にちょっと最近思うことについて書こうと思います。





この頃よ

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「エモい」とか「チルい」とか

「エモい」とか「チルい」とか

この記事は、チルアウトクリエイティブアワード2021の審査員としてご依頼いただき、執筆したものです。

本題に入る前に、私の幸せだった日のことを書いておく。
こういうのは残しておかないと、きっと味気のない人間になってしまう。



九月の下旬、その日はまだ少し暑くて、チャリンコのサドルの黒がしっかりと熱を吸収していた。

地面に触れるたび虚しくぺちゃっと潰れるタイヤが、全く地面の衝撃を緩和してく

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時岡すずを愛することにした

時岡すずを愛することにした

ホームレスシェルターでのボランティアの帰り道。地下鉄の階段を降りていると、背丈が190センチはありそうな黒人のおじいさんが杖をついてやってきました。杖をこんこんしながら、あっちにいったりこっちにいったり、ゆらゆら、ゆら。もしかして目が見えていないのかもしれないな、と思い声をかけると、Thank you, Thank youと言って腕を掴んで階段を降り始めました。すると言うのです、「10ドル寄越せ、

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Black Lives Matter. 日本にいる私たちができること、考えないといけない気がすること。

Black Lives Matter. 日本にいる私たちができること、考えないといけない気がすること。

最初に ▶︎ 長くなってしまったので、とにかく今すぐ日本からできることが知りたい人は、このnoteの最後の方に飛んでください。
そしてあとあんまりいない気はしているのですが、Black Lives Matterについて何も知らずにこのnoteを開いて、何のこっちゃって思った人は、こちらの記事を参照してください ▶︎ https://front-row.jp/_ct/17367329

Black

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この割れ切った世界の片隅で

この割れ切った世界の片隅で

コロナウイルスが社会に与えた最も大きな影響は、見えづらかった社会の分断を可視化したことではないでしょうか。

ステイホームできない、明日を生きるのすら精一杯な人。パソコンを持っておらず、家では完全に社会から隔離されてしまう人。勉強ができるような家庭環境でない人。外で遊ぶ自分を自慢げにSNSに載せる人。「クラスターフェス」と称し、コロナに積極的にかかろうとする人。感染者を引っ越しにまで追い込む地方の

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【永久保存版】サカナクション山口一郎×NEWS23小川彩佳「本当に正しいことは、最初はいつも少数」

【永久保存版】サカナクション山口一郎×NEWS23小川彩佳「本当に正しいことは、最初はいつも少数」



「本当に正しいことって、最初はいつも少数」
「でも本当に正しければ
 いつかそれがマジョリティーになる」

新生NEWS23に
オープニングテーマ曲を寄せてくれた
サカナクションの山口一郎さんから
飛び出る言葉の数々。

音楽好きでもある
NEWS23小川彩佳キャスターとの特別対談。
未放送分を含めてたっぷりご紹介します。

(NEWS23 2019年6月5日放送)

小川:
まずは今回、NE

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医療の現場から

頭がおかしくなりそうなのでしたためておく。
私は医療職に従事している人間である。看護師だ。
専門職ではあるものの、この歴史に刻まれるであろう混乱の中で私の有する専門性や経験値など紙切れ以下の価値もない。現状、私は「たまたま医療職に従事している一般人」であり、これは専門性を有する人間からの警告などではなく、ただならぬ混乱に巻き込まれた一般人の雄叫びである。
そのように受け止めてほしい。

私が勤めて

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ウテナはなぜ×××になれなかったのか?

ウテナはなぜ×××になれなかったのか?

「昨年3つの「ウテナ」が終了した。TV版「ウテナ」と漫画版「ウテナ」と舞台版「ウテナ」である。TV版は「王子様はいない。あえて王子様になろうとする者は、こんなにつらい」という男性の女性に対する主張の出たラストになっていて、これは作品を創ったのがビーパパスの男性スタッフだったから、当然の結果だった。」(さあ私とエンゲージして/さいとうちほ)

緊張のあまり吐きそうになりながら観た「少女革命ウテナ」の

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世界の変え方がわからなかったから、AIESECという学生団体の新歓広告を四年間作り続けました。

世界の変え方がわからなかったから、AIESECという学生団体の新歓広告を四年間作り続けました。

今日、大学一年目から六年目まで続けてきたAIESECというNPO法人、そして学生団体を卒業します。

自分自身や同期の卒業、そして来る新入生の入会や後輩の活躍に寄せて、
私が世界を変えようとして、できなくて、四年間新歓広告を作り続けたというとても長い話を書きます。

AIESECのメンバーではない人にとってはあまり面白くないかもしれないし、
AIESECのメンバーにとってもそこまで面白くないかもし

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一旦、夢は叶いませんでしたが

一旦、夢は叶いませんでしたが

この文章は、パナソニックがnoteで開催する「 #あの失敗があったから  」コンテストの参考作品として主催者の依頼により執筆したものです。

昔。と言っても2年ほど前のことだけど、21歳そこらの私にとって2年という時はあまりにも濃く、長い。なので昔の話のように思えるという意味で、昔。私には聡明なマネージャーがいた。頭の良さに加えて冷酷で、血も涙もないという表現がぴったりな、そんな青年だった。

彼が

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