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Black Lives Matter. 日本にいる私たちができること、考えないといけない気がすること。

最初に ▶︎ 長くなってしまったので、とにかく今すぐ日本からできることが知りたい人は、このnoteの最後の方に飛んでください。
そしてあとあんまりいない気はしているのですが、Black Lives Matterについて何も知らずにこのnoteを開いて、何のこっちゃって思った人は、こちらの記事を参照してください ▶︎ https://front-row.jp/_ct/17367329

Black Lives Matterについて、何か発言するべきなのか迷って数日が経ってしまいました。
私は偶然小さい頃から色々な国の人が身の周りにいたので、人種差別について思うことは色々ありつつも、自分がこのムーブメントに参加して良いことが起きるのかがわかりませんでした。

数百年も存在していた問題が突然世界中の注目を浴びて、まるでソーシャルメディアの新しいトレンドであるかのように扱われ、今までは特に興味がなかったはずのみんながSNSで声を上げていることが良いことなのかは私にはわかりませんでした。

数日前の私は、ツイッターのタイムラインで議論にもならない喧嘩をしている人たちを見て、「香港で同世代のみんなが警察にあんなに暴力を振るわれていた時、君たちはどこにいた?」と思ってしまっていたし、
私たちは世界で起きていることへの感度まで変にアメリカナイズされているのではないか、果たしてその傾向に自分が加担していいのか、そしてそこに加担するということは、世界で起きている問題が丁寧に向き合われなくなるということなのではないか、とずっと考えていました。

でも、そんな中で、LGBTQ+のプライドの月になって、自分が如何に「社会運動」に救われた人間なのかを思い出し、
今インターネットで起きていることも、アメリカ全土で起きていることも、発言や行動をしている人の間で経験、覚悟、知識や精度の違いはあれど、もしかしたらこの社会運動で世界が少し前進するのかもしれないと思うようになりました。

世界は問題だらけで、ひとつずつちゃんと丁寧に向き合われるべきなんだけど、
今はこの問題が少しでも解決されるのであれば、それも悪いことじゃない、きっと良いことに違いないんだと思いました。

今、この問題で心に痛みや悩みを抱えている人が多い中で、そしてこの問題に注目が集まっている中で、
一人でも多くの友達や知り合いの丁寧な思考や行動が進むきっかけになればと思い、この文章を書いています。

ここ数日、自分にできることや、周りの人に伝えたいことは何なのかということを考えて、自分なりにまとめてみました。
冗長になってしまったのですが、もしよかったら興味のあるところだけでも見ていってください。

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① 自分にとって「本当の敵」や「本当に解決したいこと」が何なのかを見失わないこと

そもそも今回の事の発端は「警察官による不法行為があったこと、そしてその結果として黒人が命を落としてしまったこと」であるし、問題はそれがアメリカの歴史の中で何度も繰り返されているということ。

Black Lives Matterなんていう当たり前であるべきはずの言葉を主張のように使わないといけないことの悲惨さ、そしてそのハッシュタグが何年にもわたって使われているという生々しい事実こそが、みんなが今ちゃんと戦うべき「敵」なんじゃないかと思うんです。

例えば、最近はアジア系の差別もBLMと一緒に話題に上がることが多いけど、敵を見誤って、ここで「コロナウイルスが流行してアジア系の差別が起きた時に、黒人たちや他の人たちは助けてくれなかった」と言って黒人や世界を責め立てて、今回のムーブメントを無視してもきっと世界は良くならないし、人種間の溝はきっとまた深まってしまう。

もし「人種差別」が敵なのであれば、解決しないといけないのは「差別が起きやすくなるような政治」なのかもしれないし、「差別を防げない教育」なのかもしれないし、きっと人種関係なく考えて変化を起こさないといけないことはたくさんあって、「人種差別」が問題なのにそこでまた特定の人種を槍玉にあげることなんて、本末転倒だと思うんですよね。

もちろん、国際社会における所謂「アジア系」や日本人の立場はまたすごく複雑な問題で色々な議論が必要なのだけど、それは別に黒人のせいでも、白人のせいでも、自分たちだけのせいでもない。それはそれでみんなでちゃんと解決できたら良くて、本当は今回わざと無視や無関心を貫くための理由にはならないはずなのに。

不幸比べをしていても、今まで命を落としてしまった黒人たちは戻ってこないし、人種差別は解決されないという事実はちゃんと見つめた方が良いですよね。

② 自分の中にある無知と偏見を見つめて、問題の渦中にいる人のことを想像して、負の感情を広めないようにすること

さっきの話題と少しかぶるところがあるけど、日本人は「白人の立場」で物事を語りがちだとよく言われているし、実際そうだと思うんです。

自分たちが「差別される側にも差別する側にもなり得るんだ」という自覚は薄い人が多いし、「黒人を救う」みたいな変な歪んだ感覚の人たちとか「コロナウイルスで密を避けてたのにデモなんておかしいね」とか「真っ黒のデモなんかしないで、みんな虹色で表現できたらいいのに」みたいな、長い長い痛みの歴史からしたらトンチンカンな発言をする人たちが結構いて。

なんかそういう無自覚な上から目線とか無知って、それこそが人種差別の種みたいで怖いと思ってしまう。
自分は「何目線」で物事を語っているのか、ということにはもうちょっとみんな自覚的になっても良いのではないかと思う今日この頃なのです。

それと、最近どうしても気になっていることがあります。
発言をしない人は、社会課題に加担していると言って、沈黙を貫く人を責め立てる人がいるじゃないですか。

でも、それって本当に必要なんだろうか。

私から見れば、別に今までもみんなそんなに発言していなかったと思うし、
なんで突然みんな内輪で変な「発言してるやつら」みたいな派閥を作って、周りを敵視してるのかがよくわかりません。

別に、アメリカにも行ったことがなくて、差別されたこともなくて、ひとりも黒人の友達がいないような日本人の子が、インスタのストーリーに自分の猫の写真を上げ続けることが、差別に加担しているとは到底思えなくて。

無関心が良いことだとはもちろん思わないけど、そもそも世界の全ての事象に関心を持つことはかなり難しいと思うし、むしろ、今突然発言をし始めて、ミスインフォメーションを流すような人たちとか、周りを見下して傷つけていく人たちの方が「やばい」とさえ私は思うんです。

この「発言してるやつら / してないやつら」の構図ももしかしたら、ある一種の差別なんじゃないかと思ってしまうんです。
SNSが日常の中で当たり前の存在になった今、「声をあげる」ということが多くの人にとって手軽になったからか、最近のインターネットでは「声をあげる奴らと声をあげてない奴ら」みたいな変な派閥が生まれて、そこでヘイトが循環しているけれど、そこから建設的な議論が生まれることってあんまりないし、なんだか社会課題で苦しんでいる当事者たちが全然見えていない気がして、どうしても違和感を懐かずにはいられません。

社会課題というのはきっといつだって複雑だし、色々な人が解決に向けて考えて、議論して、行動するべきだけど、絶対にその社会課題でせいで苦しんでいる人がいて、外野の浅はかな不満や自己顕示欲なんかで問題をもっと深刻化させたり、その人たちからスポットライトを奪うようなことはしてはいけないのではないかと思うんです。

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③ 何が起きたのかを「ちゃんと」知ること、知識を「ちゃんと」つけること

今回起きてしまったことは悪と善の二項対立の悲劇のように見えるかもしれないけど、
人種差別って、めちゃくちゃ根深くて、複雑な問題で。

日本のニュースでは「白人の警察官が黒人を殺してしまった」という事実だけが報道されているけど、実はその場にはアジア系アメリカ人の警察官が立ち会っていたことなどもアメリカでは広く報じられていて、その事実が「人種差別」の複雑さを物語っているという声もかなり多い。確かにアジア系の人種って、日常的に「差別する側」と「差別される側」を行き来している不思議な人種だと思うし、この問題を構造化したりきちんと説明しようと試みるにも、私には知識が足りなさすぎて、全然扱い方がわかりません。

そういうリアリティーを知らずして、考えずして、本当にこの問題を考えたと言えるのかは結構怪しいと思うし、そういうよくわからないところもちゃんと考えて、これからも丁寧に行動していかないと、きっと差別はなくならない。

SNSで最近起きたBlack Out Tuesdayとかもちゃんと正しい情報を自分で調べずに、やり方を間違えていた人をたくさん見かけて、別に責める必要もないし責めるつもりもないけど、
ひとりひとりがその程度の情報収集力と理解力だと、なかなかこういう複雑な問題って解決されづらいのかなとか思ったし、黒い箱を投稿したぐらいで問題のリアリティーを理解できるわけも解決できるわけもなくて、みんなでもっとちゃんと思考の素地を整えて、丁寧に課題解決をする必要があると思ったんですよね。

色々な人がこの件について見た方が良い映画や読んだ方が良い本を紹介しているので、ぜひ読んでみてください。
参考にできるリンクをいくつか貼っておきます。

▼ 人種差別を考える上で参考になりそうな映画や番組がこちら
https://theriver.jp/blm4/
https://www.buzzfeed.com/natashajokic1/racial-injustice-documentaries-and-movies

▼ 人種差別に関する本をまとめた投稿がこちら
https://www.instagram.com/p/CAdw65UHtwJ/

▼ Black History Month Library
https://drive.google.com/drive/u/0/folders/0Bz011IF2Pu9TUWIxVWxybGJ1Ync

でも正直、映画や本を見るほどまだ興味はないという人もいると思うので、個人的には、Hasan MinhajというアメリカのコメディアンがNetflixで司会をしている「Patriot Act:愛国者として物申す」という番組のアメリカの警察制度についてのエピソードが、まずはこの問題について理解するには良いんじゃないかなと思っています。YouTubeは英語のみなのだけど、Netflixで見れば、日本語字幕もつけられます。
https://www.youtube.com/watch?v=km4uCOAzrbM

あと、ちょうどさっき同番組からBlack Lives MatterについてのYouTubeの動画が出ていたので、ぜひ見てみてください。
https://www.youtube.com/watch?v=i_FE78X-qdY

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④ この数日間のSNSでの発信に止まらず、自分にできることを考える

今すぐSNSじゃないことをしたい人向け

このサイトに、署名や募金先などがまとめて掲載されています。
https://blacklivesmatters.carrd.co/

署名をしたい場合は ”Petitions To Sign” をクリックして、その中から自分が参加したい署名活動を見つけて参加してください。アメリカ国内の郵便番号(Zipcode)を求められた場合は、以下のどれかを入れておけば良いらしいです。
90015 - Los Angeles, California
10001 - New York City, New York
75001 - Dallas, Texas

警察官たちの訴追が決まった今、個人的には、法整備に向けた署名活動に参加することが将来的には有効かなと思うので、ひとつ選んで紹介しておきます。
https://www.change.org/p/us-senate-hands-up-act

募金をしたい場合は https://blacklivesmatters.carrd.co/ から ”Donate”をクリックしてください。

お金がない場合は、いちばん上の”DONATE WITH NO MONEY”をクリックして、出てくるYouTubeの動画を流しておけば、その広告収入が募金されるそうです。普段AdBlockを使っている人は、この動画を見る時はオフにして、広告が流れるようにしてください!

ちなみに私は団体に募金するのが良いかなと思ったので、上記の団体のまとめの中からBlack Visions Collectiveというところに募金をしました。黒人のコミュニティーリーダーたちの活躍を持続可能なものにするために活動している団体です。

あと、NAACP Legal Defense Fundとかも良いのかなと思います。
もちろん全部良い団体なんだけど、NAACPは昔から人種差別を解決するための活動をしているし、黒人の人権や、選挙活動への参画などをきちんと法的に守るために募金が使われるみたいなので、きっとNAACPは手堅い募金先です。

あと、デモ活動で逮捕されちゃっている人の保釈金に使われる募金も地域別で以下のサイトからできるので、もしデモ活動で逮捕されている人を見て心を痛めている人がいたら、ぜひBail Fundという保釈金の基金みたいなところへの募金を検討してみてください。

Due to an influx of donations and an alternate protest support bail fund, this Bail Fund has suggested to donate elsewhere. と記載されているところは、もう既に十分募金が集まっている基金なので、そのような記載が無いところに募金をしてください。

これから先、私たちができること

今回の件に限らず、世界では本当に色々な問題が起きているということを日々ちゃんと知って、自分のできることを丁寧に考えて行動することが大事なのかな、なんて当たり前のことを考えています。

日本の政治経済は満身創痍だし、そのせいで就活やばいし、お隣の国では国家安全法が成立してしまったし、難民問題も色々なところで深刻化しているし、そうやってわかりやすい問題だけでもたくさんあって、なかなか日の目を見ない問題なんてもっとある。

でも、そういうのってどこかで繋がっていたりする - たとえば日本なんてアメリカのメディアでは時々トランプ政権の横暴を助長する外交をしているような国として紹介されてしまっていることもあるし、それが今回の件と無関係だとは思えない - し、
私たちの日々のこういう発信や議論、そして投票などで変えられることもたくさんあるはずで、みんなで丁寧に今日よりも良い明日を作っていくしかないのかな、なんて思うんです。

長々とまとまりのない文章を書いてしまったせいで締め方がわからなくなってしまいましたが、
今日は、もう二度とこの悲劇が繰り返されないように祈る気持ちをここに置いて文章を終わりにしようと思います。

In solidarity.
#BlackLivesMatter


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