桃柄桃太

負け組サラリマン@茨城県。かつて港区スゴイタカイビルの低層階に自席があった。 noteではアニメの感想/考察/2次創作が入り混じった何かを書いてます。

桃柄桃太

負け組サラリマン@茨城県。かつて港区スゴイタカイビルの低層階に自席があった。 noteではアニメの感想/考察/2次創作が入り混じった何かを書いてます。

マガジン

  • 『リコリス・リコイル』

    『リコリス・リコイル』に関する個人エントリーをまとめたものです

  • 『ガールズバンドクライ』

    『ガールズバンドクライ』に関する個人エントリーをまとめたものです。

最近の記事

『響け! ユーフォニアム3』黒江真由との確執、主人公・久美子の成長(第12話~最終話)

物語の創作で登場人物の一覧を考えるときに、リスト上位に入れるべきとされる「インパクト・キャラクター」という役割がある。 『響け! ユーフォニアム3』で、あの黒江真由がインパクト・キャラクターだったという仮説の下で彼女が本作で果たした役割と、主に第12話のクライマックスでそれを乗り越えた主人公・黄前久美子の成長について考えてみたい。 (注:私は原作未読。アニメシーズン3で描かれた内容に基づくネタバレを含みます) インパクト・キャラクターとは参考図書によるとインパクト・キャラク

    • 「ONE PIECE FAN LETTER」夢をかなえるために偶然が織りなす必然

      TVアニメ『ONE PIECE』25周年記念作品として放映された「ONE PIECE FAN LETTER」。25分という短い時間に多くの要素が濃厚につまった傑作だと思う。 第一印象はいかにも『ONE PIECE』らしいドタバタ劇に思えるが、一度の視聴では追いきれないほどのネタが盛り込まれており、この作品を成立させるために細かな技巧があちこちに凝らされていると感じる。 私なりにこの作品のポイントを挙げると、主人公の少女が起こすアクションとリアクションのギャップによって物語が

      • 『ルックバック』様々な感想を引き出す作品の奥深さ

        映画表現の原則「語らず、示せ」にそって制作されたと思われる本作。一部の視聴者にとっては登場人物のセリフなどでもっと丁寧な説明があった方がよかったのかもしれない。 ここ数日でnoteに投稿された様々な感想をザっと読み、人それぞれ、実に多種多様な感想があることが確認できた。そこから得た気づきについて。 感想が生まれる源ロシアの劇作家/小説家のアントン・チェーホフがこんな言葉を残しているらしい。 わたしは人間の本質についてのすべてを 自分自身から学んだ 人は本質的に他人の考え

        • 『ルックバック』α世界線とβ世界線の虚実

          映画は映像芸術であるため「語るな、示せ」の原則が重要だとされる。 『ルックバック』はアニメでこれを実現した傑作であり、この物語が伝えるメッセージと共に私はとても感銘を受けた。 本作で語らずに示された内容の解釈は人それぞれだが、私はこの物語を「人生の岐路」の視点から解釈したい。 (ネタバレを含みます) 「人生の岐路」とは物語のジャンルの1つに「人生の岐路」がある。このnoteで様々なアニメを取り上げてきたが、このジャンルを中心に据えたと解釈できる作品は本作がはじめてだ。 人

        マガジン

        • 『リコリス・リコイル』
          6本
        • 『ガールズバンドクライ』
          12本

        記事

          『リコリコ』と『ガルパン』:変化しない千束と変化するみほ

          物語で主人公がたどる内面的な変化の軌跡を「キャラクターアーク」という。以前、『リコリス・リコイル』を取り上げた際、この物語のジャンルが「バディとの友情」だとすれば、主人公は大きく変化したたきなの方でなければおかしいと書いたのは私の理解が浅かった。 最近になって、変化しなかった千束が主人公で物語として成立している理由がわかった。それについて参考図書をもとに独自の解釈も交えて紹介したい。 3つのキャラクターアーク参考図書(『キャラクターからつくる物語創作再入門』)によると、物語

          『リコリコ』と『ガルパン』:変化しない千束と変化するみほ

          『ネガポジアングラー』2024年秋・オリジナルアニメ:序盤レビュー

          私が視聴している今シーズン(2024年秋アニメ)のオリジナル作品3作の中で、第1話時点で最も評価が難しいと感じたのが『ネガポジアングラー』だ。 ここまでの展開を振り返り、今後の期待などを軽く述べたい。 (これを書いている時点で第4話まで視聴済で、この範囲のネタバレを含みます) 物語はどう進んだか『ネガポジアングラー』の第1話を見終えた時点でこの物語の特徴と今後の要点を次のように考えていた。 テーマは「人生」と「釣り」 この2つのどちらに重点があるかは未知数 借金の取立

          『ネガポジアングラー』2024年秋・オリジナルアニメ:序盤レビュー

          『魔法使いになれなかった女の子の話』2024年秋・オリジナルアニメ:序盤レビュー

          今シーズン(2024年秋アニメ)の貴重なオリジナル作品の1つ『まほなれ』、静かなスタートだが個人的にはまずまずという感じ。その概況と共に、今回はこの作品が一体どんな視聴者層をターゲットにしているのか?を軽く取り上げたい。 (これを書いている時点で第4話まで視聴済で、この範囲のネタバレを含みます) これまでの振り返りシーズン物のアニメと2時間の映画は本質的に異なる作品体系だと理解しつつも、1つの軸として『SAVE THE CATの法則』が主張する物語構成を参考に、各アニメの構

          『魔法使いになれなかった女の子の話』2024年秋・オリジナルアニメ:序盤レビュー

          『メカウデ』2024年秋・オリジナルアニメ:序盤レビュー

          今シーズン(2024年秋アニメ)は特にオリジナル作品に注目して3つの作品を取り上げてきたが、物語の完成度について徐々に明暗が分かれつつあると感じている。その中でもこのままでは先行き心配なのが『メカウデ』だと思う。この先どうすればよいのだろうか? (これを書いている時点で第4話まで視聴済) 「クリシェ」との戦い前回も触れたように、『メカウデ』では意思を持つ機械と人間との友情がテーマの1つに位置付けられていると見込まれる。これは過去に様々な作品で描かれてきた内容でもある。 例

          『メカウデ』2024年秋・オリジナルアニメ:序盤レビュー

          『けものフレンズ』(シーズン1):最終話(第12話)感想

          『けものフレンズ』(シーズン1)を1話視聴するごとに感想や考察を書いていくことで、初見でどこまで物語を理解できたか、物語の展開予想はあっていたかを後から振り返って検証するネタを書き溜めてきた。 これでやっと完走。ちょっとしたお遊びの小ネタのつもりだったが、作品がアレなので(失礼!)かなり大変だった。 最終話(第12話)の感想終わった。ついに? ようやく? この作品を視聴し終えて、私は何から語ればよいのだろうか。 最終話で明示されたのはカバンちゃんが「ヒトのフレンズ」だった

          『けものフレンズ』(シーズン1):最終話(第12話)感想

          自分語りはウザいですよ(2024年10月27日)

          ルパさんに怒られる自分語りの不定期ネタ、PVが2万を超えるこのタイミングで再登場です。読んでいただいているみなさん、いつもありがとうございます。 noteは今年(2024年)の元旦にアカウントを開設して始めたばかりで、相変わらずお作法はよくわかってません。内容は完全にアニメ一色になってますが、好きでやっているのでこのまま当面は継続するつもりです。 さて、振り返ってみると私は子供の頃からアニメが好きでしたが、その中でも人生に影響を与えるほどの作品に出会う機会が何度かありまし

          自分語りはウザいですよ(2024年10月27日)

          『映画けいおん!』中野梓(あずにゃん)への贖罪の物語

          『映画けいおん!』を久しぶりに見た。通算2回目で細部はほぼ忘れていたが、あらためて気づいたのは、これは『けいおん!!』最終話で悲劇に見舞われた中野梓に対する制作者からの贖罪の物語ではないかという仮説だ。 悲劇のヒロイン誰もが幸せであるはずの日常系アニメ『けいおん!』および『けいおん!!』(以後、TVアニメシリーズ完結となった『けいおん!!』で通す)の中で、悲嘆にくれて物語を終えた唯一の人物が中野梓(あずにゃん)だ。 これは原作マンガとアニメを一体と見るか別作品と見るかで意見

          『映画けいおん!』中野梓(あずにゃん)への贖罪の物語

          『ネガポジアングラー』オリジナルアニメ(2024年秋)応援企画(その5)

          今シーズン(2024年秋アニメ)のオリジナル作品の応援企画として、今回は『ネガポジアングラー』を取り上げる。評価基準は下記「その2」で説明の通りで、良いものは良い、イマイチなものはイマイチと主張していくスタンスで進めたい。 (本作第1話のネタバレを含みます) 物語のオープニングを振り返る物語の構成はこれまで通り、第1話で「オーニングイメージ」~「きっかけ」までが表現されている前提で読み解いていく。 が、私の印象では本作はこの典型にうまくハマらず、かなり強引に当てはめている。

          『ネガポジアングラー』オリジナルアニメ(2024年秋)応援企画(その5)

          『メカウデ』オリジナルアニメ(2024年秋)応援企画(その4)

          今シーズン(2024年秋アニメ)のオリジナル作品の応援企画として今回は『メカウデ』を取り上げる。評価基準は本企画の「その2」で説明の通りで、良いものは良い、イマイチなものはイマイチと主張していくスタンスで進めたい。 (第1話のネタバレを含みます) 物語のオープニングを振り返る物語の構成はこれまでに述べた通り、第1話で「オーニングイメージ」~「きっかけ」までが表現されている前提で読み解いていく。 オーニングイメージ 作品のスタイル、雰囲気、ジャンル、スケールを表現する箇所

          『メカウデ』オリジナルアニメ(2024年秋)応援企画(その4)

          『魔法使いになれなかった女の子の話』オリジナルアニメ(2024年秋)応援企画(その3)

          今シーズン(2024年秋アニメ)のオリジナル作品の応援企画として本作を取り上げる。評価基準は「その2」で説明の通りで、良いものは良い、イマイチなものはイマイチと主張していくスタンスで進めたい。 (本作第1話の詳細なネタバレを含みます) 物語のオープニングを振り返る物語の構成についてはこれまで述べた通り、第1話で「オーニングイメージ」~「きっかけ」までが表現されている前提で読み解いていく。 オーニングイメージ 作品のスタイル、雰囲気、ジャンル、スケールを表現する箇所。 本

          『魔法使いになれなかった女の子の話』オリジナルアニメ(2024年秋)応援企画(その3)

          2024年秋アニメ:オリジナル作品を応援する(その2)

          急にオリジナルアニメ作品の貴重さに気づき、微力ながら応援する企画を進行中。ただ、応援するにしても良いものは良い、イマイチなものはイマイチと主張するには評価基準を明確にする必要があると思う。それを事前に言語化しておきたい。 作品に望むもの私にとってアニメ作品の視聴はストーリーテリングの勉強材料の側面が大きい。見る人を引きつけ、夢中にさせる物語はどんな内容なのか? そこに制作者はどんな技巧を凝らしているのか学ぶのが目的だ。 そのため、私が作品を評価するポイントは何よりも優れた

          2024年秋アニメ:オリジナル作品を応援する(その2)

          『けものフレンズ』(シーズン1):第9~11話感想

          『けものフレンズ』(シーズン1)を1話視聴ごとに感想や考察を書いていく企画。目的は初見でどこまで物語を理解できたか、物語の展開予想はあっていたかを後から振り返って検証すること。(ちょっとしたお遊びの小ネタ) 第9話の感想雪山で遭難しかけて、セルリアンの大群に追いかけられたけど、無事に温泉に着いて温まりました。はい、よかったね~ えー、相変わらずだ。この物語にストーリーは存在せず、あるのはシチュエーションのみということなのか。参考文献によると、 シチュエーションとは明確で

          『けものフレンズ』(シーズン1):第9~11話感想