ウチらずっと戦友だよ。 |kemio『ウチら棺桶まで永遠のランウェイ』
お久しぶりでございます、眞野いるかです。
今日ご紹介するのは全てのページに復唱したい名言が散りばめられており、読み終わって人生頑張ろうと思えるkemio『ウチら棺桶まで永遠のランウェイ』です。
正直kemioのことはあまり知らないまま、タイトルを気に入って手に取ったのですが......これが大当たりでした。大事な本になったし、なんならkemioのyoutubeチャンネル登録までしちゃったよね。
わたしの推しポイントは3つ。
①ゴクゴク読める、絶妙な言語センス
「飲める本、といったテンションで読めるようになっております」と本人が言う通り、この本の大きな魅力は「ゴクゴク読める」kemio独特の文体なのです。
まず、リズムがものすごくいいんです。
1995年にこの世に上陸完了。とにかく横にでかい子どもだったらしい。そしていっつもモンチッチを抱いてたんだって、笑う。
見てくださいこの綿矢りさを思わせるようなリズミカルな表現。声に出して読みたい書き出しです。
さらにはユーモアセンスが最高。
ちな、そのときに家の勉強机は捨てたー。だって自分の人生にいらないし、デカいし、ジャマだし、フォルムが盛れてないし。
疲れたのPR活動ばっかしてると人生がチープな作品化しちゃう。頑張って疲れたなら報告UPする前に蒸気でホットアイマスク
だって初めて人をHAPPYにする仕事でもらったお金!「見て見てお母さーん!」って仏壇に置いたよね。まぁそれは、金欠の時に使っちゃったんだけど。人生で初めてエンタメで稼いだ金はミラノ風ドリアに消えたわ。
いやー、もう、いい話してるのにちょいちょい鮮烈な固有名詞が効いてるよね......。
そして、多用されている
秒 ラブ 好き って感じ 結果 してみよーっと 一生 永遠に はい次ー。 人生 安定 笑笑 ♡
といったギャル的口語表現が勢いとおかしみを生んでいます。大げさだよね。すき。
②kemio哲学
kemioの人生姿勢、そして物事の考え方が本書の最大の魅力だと思います。朝日新聞の書評では、
・「あなたはあなた、私は私」という個人主義
・男女ではなく「ホモ・サピエンス」というジェンダーレスな価値観
・「人ってあっという間に死ぬ」という諸行無常的な感性
が指摘されていました。まさにそれです。
悪口ばっか言ってくるアンチは「暇つぶしが独特〜」って流してる。
初めてお話しするんだけど、私の恋愛対象は男の人。(中略)そういうのを大々的に報告しなければいけない時代ではもうないとも思ってた。
プランって絶対倒れるもんだし、博打みたいな生き方でオッケー♡最終的に誰とも結婚しなくって「まじさみしい一人散骨〜」みたいな状況になるかもしれないけど、「結婚できないかも」なんて不安に思うことはない。それはそのときのkemioが考えるから任せとこって感じで、とりあえず私は今のkemioを何とかしていくのに忙しいっぽい。
私の広辞苑に才能って言葉はない。夢の理由は才能じゃなくて「やりたいから」でしょ?
固定観念、偏見、世の中の勝手な押し付けを、心底不思議そうに何言っちゃってるのと明るく受け流し、夢は当然叶うものだと信じる彼の価値観。それを私たちにも信じさせてくれる文章なのです。
③「ウチら」に入れてもらえる快感
kemioは「ウチら」という言い方をよくします。タイトルからして『ウチら棺桶まで永遠のランウェイ』だし。
昔のことを思い出すと、みんなと一緒に成長してるなぁと思う。「Vine見てたときは小学生だったけど、もう大学生です」とかコメントもらうもん。だからもうウチら一生成長中〜!!って感じで、youtubeは「死ぬ前に残す〜」ってデジタル遺書を作ってる気分。みんなは私にとって友達みたい。すきぃよ。
ウチらは誰かを傷つけるためにこの世に生まれてきたわけじゃない。
たとえ会う回数や、最近のキャッチアップが減ってもウチらはみんな同じ空のした!
私もまだまだ好きなこと探してるよ。たぶん一生探し続ける。立ち止まったら泡吹いて終わる。それがウチらの人生だから。一緒に探そ!
また、読者に語りかけ、共感してくれます。
病むよねー。わかる私も病むー。一緒に病もうねー♡って感じ。
こんな書き方をしてくれるものだから、うっかりkemioの親友にしてもらったような気持ちになってしまうんです。kemio、人たらし......!!!!
そして最終章はこのように終わります。
平等なんて永遠にない。人それぞれいいところがあるぶん、持ってないものや苦手なことだって人それぞれ。それなら自分が使えるものを探して、知恵とか勇気とかなんでもいいから武器をカスタムして、不平等祭りの世の中をウチらで壊してこ。オリジナルのやり方を見つけて、環境を楽しいものに変えていこ。人生は、棺桶まで永遠のランウェイよ。しっくりこない常識を武器にしてる人たちには笑いながら中指立てて、自分のことを、自分が一番信じてあげて。そうやって巡り会えた最高をこれからもシェアハピして生きていこ!一緒に病んで、一緒に戦おう。ウチらずっと戦友だよ。
というわけで、深い思考を「口から文化祭」(本人談)な文章にコーティングしてお届けしてくれている『ウチら棺桶まで永遠のランウェイ』。
わたしも人生がんばる!と思わせてくれる一冊です。
【追記】
このツイートをkemioご本人にいいねされて震えました......好き.......。
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