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水の空の物語 第4章 春ヶ原と精霊たちの心

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理想の世界のようだった春ヶ原。 そんな春ヶ原にも影があることを、風花と夏澄たちは知ります。
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#精霊

水の空の物語 第4章 第1話

第四章  春ヶ原と精霊たちの心  真っ暗な自室で、風花は正座をしていた。  目を閉じて、…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第2話

 あの日から今日まで、飛雨は尽力してくれている。  わざわざ、風花の家に通ってくれる。 …

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第3話

「夏澄は時間がある限り、春ヶ原を見護っているよ。今日は二時間くらいだったかな」 「なにか…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第4話

 風花はあれから、夏澄とスーフィアに会っていない。家に来るのは飛雨だけだ。  最近の夏澄…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第5話

「風花、まだ起きてるのか?」  兄の星夜の声だった。  風花には月夜と星夜の二人の兄がい…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第6話

「もう観ないよ。眠るね」 「ああ、おやすみ」  優しく風花を見る。その時、星夜の部屋から…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第8話

 眠い。もうだめ。  風花は教科書で顔を隠し、目を閉じた。  閉じた途端、意識が薄れていく。がくっと頭が下がり、驚いて目を開けた。 「どうしたの? 風ちゃん」  となりの席の、ひろあがささやく。 「先生が見てるよ」  ……。  風花は半開きの目で教卓を見た。  黒板の前の英語教師は、ちらちら風花の様子を窺っている。  今日は機嫌がわるそうだ。  英語教師の木下は、風花のクラスの担任でもある。三十代で、長い髪をきっちりアップにしている。  眼鏡が似合う知的な美人

水の空の物語 第4章 第9話

 やっと休み時間になった。  風花は机に顔を伏せて、目を閉じる。 「この頃おかしいよー。…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第11話

「風ちゃん、ほんと楽しそうだね。いいなあ」  ひろあが上目遣いで風花を見る。 「それ、想…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第14話

「そういえば、飛雨とスーフィアさんがいないね」  風花は辺りを見まわした。 「飛雨は人が…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第15話

「風花、見て……っ」  夏澄がふいに声を弾ませた。顏をあげて、瞳に青空を映す。 「ほら、…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第16話

「水蒸気の粒はすごく小さいから、光っていても見えないの。でも、絶対光ってるはずなの」 「…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第17話

 じっと空を見上げていた夏澄が、ふいにぴくりと身じろぎした。  かすかに眉根を寄せ、東南…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第4章 第19話

「風花ー、お友達よーっ」  母親のゆり音が、階下から風花を呼ぶ。風花はあわてて、階段を駆け降りた。 「どうしたの? 飛雨くん」  いつも飛雨は、人目を避けて、夜中に窓から来る。今日は、宵に玄関からだ。なにかあったのだろうか。 「う、ん……。ちょっと、外で話せるか?」  分かったと、靴を履こうとした風花を、ゆり音が止めた。 「そんなこといわないで、あがってらっしゃいな」 「い、いえ。もう夜ですし、……よ、用事が済んだら帰りますので」  なぜか、飛雨の声は裏返る。