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水の空の物語 第4章 第4話

 風花はあれから、夏澄とスーフィアに会っていない。家に来るのは飛雨だけだ。

 最近の夏澄の様子は全然分からないでいた。何日も立つと、想像することもできなくなる。

 霊力を教えるのは、飛雨が適任なのだそうだ。

 人の霊力のことは、人にしか分からない。飛雨は黒髪で目立たないし、もしもの時は記憶が消せる。

「夏澄は今のところ平気だよ。オレやスーフィアがついているから、だいじょうぶだ。……まあ、なにかあったら、風花にも協力を頼むよ」

「ありがと……」

「あー、いいよなーっ」

 急に、飛雨は声を上げた。

「現代文明に興味はないけど、布団は好きだよー。和むなーっ」

 飛雨はばんばんとベッドを両腕で叩き、掛け布団に顔を埋める。

 布団にくるまって、転がった。

 風花は青ざめる。あわてて目を逸らした。

 飛雨は、風花を女と思っていないらしい。だから、なにをしてもいいんだと力説する。

 だからって、女子の布団に寝るのはやっぱりどうかと思う。だが、かなり喜んでいるからなにもいえない。

「お前幸せだよなー。毎日こんなもんで眠れてー」

  飛雨が間延びした声を出した時だった。

  ドアをノックする音が響いた。



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