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水の空の物語 第4章 第2話

 あの日から今日まで、飛雨は尽力してくれている。

 わざわざ、風花の家に通ってくれる。

 深夜なのは問題かもしれないが、人目は避けなければならない。それに飛雨だって、夜更かしは疲れるだろう。

 彼は思ったより、ずっと優しいのかもしれない。

「ねえ、夏澄くんたちはどうしてる?」
 痺れていた足が元にもどると、風花はロッキングチェアにすわった。

「んー? 泉の手がかり探して飛びまわってるぞ」

 飛雨はベットで両手足を伸ばした。

「今日は北の渓谷に行ったよ。……それから、春ヶ原の様子も見に行った」

 春ヶ原という言葉に、風花は苦い気持ちになる。飛雨も顔を曇らせた。

「夏澄くん、やっぱり気にしているんだね」

「ああ、もし春ヶ原が、またあの風に襲われたら……」
「そうだよね」

 風花は目を伏せた。



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