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水の空の物語 第五章 春ヶ原の光と影

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夏澄は春ヶ原を護りたいと願います。 霊力がない風花ですが、なんとか夏澄の役に立ちたいと願います。
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#精霊

水の空の物語 第5章 第1話

第五章 春ヶ原の光と影  ガラス戸から、涼やかな夜風が流れ込んでくる。  かすかに若葉の…

近江結衣
1年前
9

水の空の物語 第5章 第2話

「お前、なんでまだヘルメット常備しているんだ? 必要ないっていったろ」  まずいと、風花…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第5章 第3話

 でも、夏澄くんが危険な目に会うなんて……。   風花は壁にもたれた。  落ち着きなく、…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第5章 第4話

「それにさ……」   飛雨は表情を消し、天井を見る。  「春ヶ原の風の霊力は弱いぞ。もし…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第5章 第5話

「外出禁止……」  枕をぽんぽんと、ボールのように弄びながら、飛雨がつぶやいた。 「風花…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第5章 第8話

「今の自分にできることをしろって、いっただろが」 「だから、わたしは優月さん……」  答…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第5章 第9話

 風花は布団にくるまり、えへへと顔を埋めた。  さっきの飛雨の言葉が想い出される。  大事だって……。  えへへと、もう一時間も、風花の頬は緩みっぱなしだ。  大事にされてるっていわれちゃった。  あの夏澄くんに、大事にされてるって。 「本当かなー」  風花はのけぞって天井を見つめる。  視線を巡らせると、部屋にあるアンティークのランプが目に入った。  暗闇の中で、霞んだ光を放っている。その光はいつもよりずっときれいに見えた。  心に差し込んできて、体を暖かくする

水の空の物語 第5章 第11話

『風花、一歩踏み出してみて』  夏澄の声は続く。  いわれた通りにすると、周りの空間が歪…

近江結衣
1年前
7

水の空の物語 第5章 第12話

 優しい……。  夏澄にもらった言葉を、心の中で繰り返した。  わらいを堪えようとしたが…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第5章 第13話

「だいじょうぶ? 優月」  隣に立つスーフィアが、不安気にする。  こんなときでも、優月…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第5章 第14話

『いきなり、ごめんなさい。みんな』  優月と話をつづけながら、スーフィアは風花たちと心の…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第5章 第15話

『ついさっきのこと……、私と優月が、もうすぐ藤原の御泉に着くってときのことよ』  花を想…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第5章 第16話

『それは……。ごめんなさい、できなかったわ』 『霊泉に来たとき、優月が弱っていたのはだか…

近江結衣
1年前
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水の空の物語 第5章 第17話

 風花は、夏澄たちみんなと並んで、大きな大きな樹を見上げていた。  樹は力強く枝を伸ばし、辺りの全てを緑に染めるように葉を広げている。  息を飲むくらいきれいな緑青色の空間だ。  正確にいうと、夏澄が幻術で映し出している樹だ。 「本当に美しいですね」  感嘆の声をもらして優月がいう。  彼からその言葉を聞くのは、もう何度目か分からない。 「生き生きとして枝葉もよく茂って、健康な樹です。水の精霊の国に暮らす樹は幸せですね」  優月はとてもきれいに微笑んだ。  今