水の空の物語 第5章 第2話
「お前、なんでまだヘルメット常備しているんだ? 必要ないっていったろ」
まずいと、風花は机の前に回る。
ヘルメットを背中で隠した。中学の時の自転車通学で使っていた、学校指定のヘルメットだ。
「なんでもないよ。これ、防御用じゃないよ」
「嘘つけ」
「本当だよ。これで霊力をよけたりしないよ」
「やっぱ、使うつもりだったんじゃないか。……それにあほか? 精霊の霊力が、ヘルメットで防げるわけないだろ」
「ないよりいいでしょ?」
「変わらねーよ」
だって……。
だって、夏澄くんたちを盾になんてしたくない。
春ヶ原を護るために、これからは春ヶ原に通うことになった。
風花も連れていってもらうことになっている。
だが、あまり頻繁に通うと、風花も風に襲われるかもしれない。
……なにか危険があったときは、俺が風花の盾になる。夏澄はいってくれた。
それでも、風花なりに防御法を考えていた。
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