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夏澄たちの話では、昨日、太陽がすっかり落ちたころ、夏澄たちは藤原の御泉に帰ってきたそう…
『夏澄は優月に霊力をもどしているの。でも、優月には黙っていて』 スーフィアの声だ。 『…
「ねえ、スーフィア、風花。草花はどうするかな? 俺じゃあ、細かいことは分からなくて」 …
優月は夏澄に頭を下げて、向きをかえる。 そのとき、枯れ葉を含んだ風が吹いた。 優月が…
優月さん……! 風花は駆け出した。 辺りを見回す。だが、どこにも優月の姿はなかった…
まぶたを閉じていた夏澄は、たまにその瞳を開ける。 公園内に視線を巡らせる。 だが、…
夏澄はぽろぽろと涙を落としはじめた。 夏澄の表情から、優月はもういないんだと分かった。 「夏澄……」 スーフィアが暖かい声でそっとささやいた。 「春ヶ原に行きましょう。夏澄」 春ヶ原……? 風花はぼんやりとスーフィアを見る。 「春ヶ原には優月の本体の木があるわ。まだ間に合うかもしれない」 「そうだ、本体が……」 夏澄は声を震わせた。 「夏澄、霊体になって先に行け、オレは風花と後から行くよ」 「ううん。宙からでも時間はかかるよ。今は緊急だから、霊
優月の木は泉のほとりにそびえている。目を凝らすと、木はかすかに霊力の光を放っていた。 …
風花のとなりにいた夏澄は、風花にもう一度、守護の霊力を張る。 その後、風花から離れて…
「おいで、ビー玉、竹とんぼ」 草花は小さな声でつぶやく。寝言のようだ。 「今日は泉で水…
風花は泉の前にもどり、そっと、優月の木の前に立った。 優月の木を見上げる。 「ねえ、…
十二個目……。 風花は机に頬杖をつき、空を眺めていた。 休み時間で教室内はざわめい…
「どうしたの? ほんとこのごろ変だよ」 「すごーい。風ちゃん、難しいこと考えるね。大人だ…
……夢の裏には厳しい現実がある。 また、飛雨の言葉が頭に浮かんだ。風花は息をつめて体を椅子から起こす。 春ヶ原は本当に夢の世界だ。だから、みんな幸せでいて欲しかったのに。 風花は机に顔を伏せる。 「もう、ほんとにどうしたのー、風ちゃん」 ひろあは半泣きで風花の肩を揺すった。 「夢の世界……」 「え?」 「わたし、みんなに幸せでいて欲しかったんだよ。それなのに……」 ぐずぐずと風花はつぶやく。 しっかりしなよと、香夜乃の声が飛んだ。 「そうだよ。現