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水の空の物語 第6章 第12話

 夏澄はぽろぽろと涙を落としはじめた。

 夏澄の表情から、優月はもういないんだと分かった。

「夏澄……」
 スーフィアが暖かい声でそっとささやいた。

「春ヶ原に行きましょう。夏澄」

 春ヶ原……?

 風花はぼんやりとスーフィアを見る。

「春ヶ原には優月の本体の木があるわ。まだ間に合うかもしれない」

「そうだ、本体が……」

 夏澄は声を震わせた。

「夏澄、霊体になって先に行け、オレは風花と後から行くよ」

「ううん。宙からでも時間はかかるよ。今は緊急だから、霊泉の力を借りよう」

 夏澄は瞳を閉じ、願うように手を胸に当てた。霊泉が輝きだし、風花たちは光に包まれる。

 ゆらっと足元が不安定になった。
 風花は夏澄の衣服にしがみついた。

 気がつくと春ヶ原の泉のそばに立っていた。



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