水の空の物語 第6章 第18話
「どうしたの? ほんとこのごろ変だよ」
「すごーい。風ちゃん、難しいこと考えるね。大人だねーっ」
大人なんかじゃない……。
夏澄くんたちに比べてたら、全然……。
優月さんはどうしているだろう。
風花は窓の青空を見上げた。
ニ日前の、春ヶ原でのことが思い出された。
よみがえったとき、優月の霊力は強くなっていた。悲しい風を制御できるようにもなっていた。
初めは戸惑っていたが、だんだんと落ち着いていった。そして、これからは自分の力でも草花を護っていこうと決めたようだった。
草花を護れれば、悲しみも重ならない。溜め込んだ思いが暴走して、春ヶ原を襲うこともなくなる。
でも、と風花は思う。
これからも、優月さんの悲しみは続くだろう。
本当に解決したわけじゃない。
霊力を持った優月は、内側から輝くような笑顔でいた。
前よりも大人びた、優美な笑顔だ。
それでも、風花は喜ぶことができなかった。
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