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甘野書店

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noteの本屋さんです! 小説、詩、絵、音楽、動画を販売してます! あなたは本を買いますか?  あなたは本を売りますか? ルールは以下です。 ・自作の小説・詩・絵・音楽・動画の…
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#短編小説

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 こんにちは、甘野充です。  noteで小説を書いてる人はたくさんいると思います。  noteで小説を販売していますか?  売れていますか?  noteで小説を売るのはなかなかに難しいのではないかと思います。  小説を売るには、KindleでKindle本を作って売る、本を作って文学フリマで売る、ボックスで貸し出しているシェア型書店で販売する、などが現実的ですよね。  Kindleは電子書籍であれば気軽に読まれるし、文学フリマはネットで知り合った人などと交流して買ってもら

(掌編小説)占いは猫の目のように

朝のテレビの占いがどうしても気になる小学校5年生のあつやくん。今朝の占いはどうかな? 「ごめんなさい!今日のアンラッキー星座はいて座のあなた。めんどうな頼まれごとに右往左往しちゃうかも。でも大丈夫!犬を連れた人が助けてくれますよ。今日も楽しい一日を!」  朝のテレビのお姉さんが明るく今日の占いを教えてくれた。でもあつやくんは暗い顔。そう、今日のアンラッキー星座のいて座なんですよね。 「あつや。そんな顔してると不幸が寄って来るぞ」 「そうよ。占いなんていちいち気にしてちゃダメ

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ボクボクとおじさん

「あいつはさ、気分がいいときに歌を歌うんだ。気分がいいから歌うんだ。歌ってるときあいつは気分がいいんだ」  ボクボクはそう言いました。 「でもぼくはさ、泣きたいときに歌うんだ。泣きたいから歌うんだ。歌ってるときぼくはほんとは泣きたいんだ」  そう言ってボクボクは遠くを見つめました。 「きみは、できるなら歌うんじゃなくて泣いた方がいい」  作業着を着たおじさんはそう答えました。 「できないよ。何回もやろうとしたよ、でもできなかったんだ」、ボロボロの足先を見つめてボクボクは言いま

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心の扉

 僕の心が沈んで落ち込んでいると、君は家中のドアというドアを僕に開けろとせがむのだ。  君は、その扉のどれかが、僕の心に通じていると、信じて疑わないのだ。

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(掌編小説)見たことのある猫

小さな頃飼っていた、亡くなった猫そっくりな猫に再会した。 それから僕の知らなかった秘密のドアが開かれていく。 「希光人くん。久しぶりだね。もう中学3年生か。私も年を取るわけだ。夕ご飯食べていきなさい」  天地先生は僕が赤ちゃんの頃からお世話になっている(らしい)先生だ。もう随分年寄りで、80歳はゆうに超えているはずだ。僕の母親と友達で、母親も確か65歳。僕を産んだのが50歳の頃になる。まわりの人達は超高齢出産だと驚いてたらしいが、僕にとっては参観会で他の若いお母さん達と違う

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「短編小説」あるがまま、を大切に

いつもどおりの日曜の午後。違うと言えば、 しとしとと雨が降っている。 このところ週末になると決まって雨になり、少し憂鬱だ。  山根家のみんなもそれぞれの日曜日を過ごしていた。 父の智明、母の佳子、広告会社に勤めて三年の洋一、 女子大二年生の美佳、といったごくありふれた四人家族。 父の智明は、現在北海道へ単身赴任中。  父が不在の一家においての女性軍は、好き勝手出来ると 羽根を伸ばし放題だ。  忘れてはいけない家族があと、ふたり。正確にはあと、二匹。 茶トラ猫四歳の小太郎と黒

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(掌編小説)宝くじで当たった猫

8月1日  大学時代のへそくりがそろそろ無くなりそう。親の仕送りが懐かしい。コンビニのバイト増やそうかな。会社辞めたの失敗?でも無理だったから。会社辞めたら少し太った。JK時代の頃のようにほっぺが丸い。 8月3日  ロト外れた。スマホを放り投げそうになった。働きたくないな。大当たりするのをいつも夢見てる。 8月4日  今日はバイトが入ってない日だった。一日中アパートの中で無駄にエアコンつけて、ゴロゴロして無駄にご飯食べて。最近食べてばかりいる。 8月5日  今朝は起きられなか

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【掌編小説】マーキングゲーム

「お前、男のコロンの香りがするな」 男はそう言ってうなじに鼻を寄せた。 「私を抱いた男の香りをつけてるの」 男は少し眉根を寄せたが、すぐに微笑んだ。 「その男は、いくらでお前を買ったんだ」 「6万円だったかしら。もちろんコロンもプレゼントしてもらったわ」

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【掌編小説】夜の波間に君を呼ぶ

「ねぇ、起きてる?」 深夜2時の電話に出た彼女は無言だった。 でも、ボクはそれでもいいと思った。 なぜなら、今日ボクは彼女の夢に登場する。 夢に登場して、虹色の絵の具で世界を塗りたくってやるんだ。

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(掌編小説)友と猫とコーヒーと

学生時代、僕に猫を託して消えた友達。死んだと思っていた彼からの電話。僕は彼に会いに行くことに…。  僕の携帯電話が突然鳴った。午前3時、妻は目を覚まさなかった。僕はその見知らぬ番号の電話をとって声を聞くと、早足でリビングに下りていった。もう20歳になる三毛猫のつや子が、僕の足元でじゃれつく。 「早野?生きていたのか!」 「三谷、すまん。こんな時間に。生きていたよ俺は」  大学時代に突然消えた友達は、電話口で少しはにかみながら笑った。あれからもう15年か、とりあえず生きていて

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チョコレートな恋

「これ、食べる?」  と彼女はバツが悪そうに僕にチョコレートの包を差し出した。

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パパの「DESU NOTE」【短編小説】

いつも仕事から帰って来たらビール飲みながらテレビを見てる。 そうじゃないときは、パソコンでカタカタやってる。 たまに口を開けば 「どうだ学校は?」がおきまり。 私やママが話しかけても 「ああ」「そっか」ばかり。 そんな男だが外で遊んでいる風でもないしマジメなのだろう。 先日、パパが出張で珍しくいなかった。 私はチャンスとばかりにパパの部屋にこっそり入ってみた。 風俗店の名刺があるかもしれない。 もしかしたら浮気の影を見つけてしまうのではないか。 ドキドキ

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沈黙の水

小さな町に伝わる奇妙な噂がある。 「井戸の水を飲むと、過去の記憶が見える」 それが本当なら、俺にとっても都合がいい。 新聞記者の俺は、ふとしたきっかけでこの町に戻ってきた。昔住んでいたことは覚えているが、それ以外の記憶は曖昧だ。取材のつもりで、噂の井戸を訪れる。 さっそく手桶で水をすくい、一口含んだ。 視界がぐらりと揺れ、目の前に鮮明な映像が広がる。 ──夕暮れの井戸の前に、少女が立っている。 長い髪を揺らし、何かを話している。けれど、その言葉が理解できない。 少女

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(掌編小説)猫が好きだから、とっても好きだから…

猫が大好きな鈴木家は、亮介(33歳)、妻(30歳)と娘(5歳)と猫ちゃんの3人と1匹で、なかよく暮らしていた…はずだったのに…  郊外の閑静な住宅地の一角で、かわいくニャーンと鳴く黒猫ちゃん。娘のまどかちゃんが生まれる少し前に、鈴木家にもらわれてきた女の子だ。名前はタマちゃん。まどかちゃんと一緒に育ってきた大事な家族。だけどまどかちゃんは最近外で遊ぶのが大好きで、今日も近所のお友達の家に行ったきり。奥さんの華さんの膝に座っていたタマちゃんは、気持ち良さそうに眠り始めた。 「

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