結城りんね

愛とユーモアだけが友達。 小説とエッセイっぽいのを書いています。

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    noteの本屋さんです! 小説、詩、絵、音楽、動画を販売してます! あなたは本を買いますか?  あなたは本を売りますか? ルールは以下です。 ・自作の小説・詩・絵・音楽・動画の有料記事のみを投稿してください。 ・全文が無料で読める記事は有料記事とは認めません。 ・連載小説は、完結したものをマガジンとして販売してください。  (単体の作品の販売は禁止です) ・マガジンの販売は、紹介記事を作成し、その記事を1つだけ投稿してください。  (記事のトップに値段、記事数を記載してください) ここで販売をしたい人はトップ記事のコメント欄に参加希望と書いてください。 参加無料! 収益は作者のもの。 さあ、買いましょう。売りましょう。

  • 一期一会

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「ドリンクバー」小説

「ドリンクバーで烏龍茶飲む人ってほんとに嫌い」 彼女は吐き捨てるように言う。 「烏龍茶だって立派なドリンクだよ」 我ながら頼りない声で答え、メロンソーダをひとくち飲んだ。 「じゃあどうしてこんなに腹が立つの?ドリンクバーを頼んで烏龍茶を飲む人を見ると」 彼女は真剣に怒っているようだった。 「麦茶派だからじゃない?」 「私は緑茶派よ」 彼女はアイロンで器用に巻かれた髪を執拗にかきあげる。僕には関係ない話なのだが、なんとなく申し訳なさそうに僕はメロンソーダを飲む。 僕ら

    • 「君の歌声だけがすべてで」【小説】

         彼女が静かに歌い始めた。その瞬間にそれ以外の音が消える。僕の目に映る景色もすべて意味を失う。やがてそこは彼女の歌声だけが意味を持ち、彼女の歌声だけが確かな世界となる。  僕は抵抗することなくその世界を受け入れる。そしてこの世界も拒むことなく僕を迎え入れる。こうして僕はこの世界の一部となり、彼女の歌声とひとつになる。そのとき、僕の過去も意味を失う。標的の定まらない怒りや何かに対する底知れない諦めもすべて。

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      • ちっぽけなプライドは捨てて。

        こんにちは、今日もお疲れ様です。結城りんねです。 この凶悪な猛暑の中、なんとか勇気を振り絞って本屋へ向かいました。 ワンピースの最新刊を手に入れるためです。 命からがら駅にたどり着き、しっかりと冷房の効いた本屋に入店。 発売初日だったのもあり、店内でもっとも目を引くようにワンピースの最新刊は積み上げられていました。 僕には目的の行動をあまりにも無駄なくスマートにこなしすぎてしまうところがあるので、なにも考えなければまっすぐワンピースを手に取り、まっすぐレジに向かってしま

        • 「天職」小説

           革靴が病的に好きだった。余ったお金はすべて革靴につぎ込んだ。余らなくてもそうした。ちょっとした体調不良なら革の匂いを嗅いでいれば良くなったし、嫌なことがあれば黙って革靴を眺めていれば忘れられた。眠れない夜に多くの人が酒を飲んでやり過ごす中、僕は革靴を磨いた。  こうして僕は革靴のために生き、革靴は僕を生かすためにあった。

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        記事

          「海の妖精」小説

           呼吸が必要以上に重くなったときに、必ず訪れる場所がある。そこは何よりも大きく、静かなところだ。それはその大きさを誇示することもなく、それでいて後ろめたく思う様子もない。ただそこにありのままにあるだけだ。その場所は何度も僕の呼吸を軽くし、乱れてしまったものをゆるやかに元の位置に戻してくれた。この場所がなければ不足は永遠に満たされることなく、乱されたものはそのままに、見るに堪えない姿に僕はなり果ててしまっていたと思う。  月がちょうど他の海にかかりきりのようで、その海の存在感

          「海の妖精」小説

          青春

          こんにちは、今日もお疲れ様です。結城りんねです。 「福毛」って知ってますか? 身体のどこかに不自然に一本生えてくる白い毛のことなんですけど。 小さい頃からこの福毛がよく生えるんです。自慢じゃないですけどね。 生える場所は肩だったり顔だったり肘だったりと実にさまざまで、毎度僕の想像を超えてきます。 気づいたらいる。それも結構長さがあったりする。 まあ不気味なんですよ。 そこで今日は1番思い出深い福毛の話を。 中学生の時です。さて、どこに生えたでしょう。 そうです

          「食パンが買えないあの人」小説

          「食パンください。厚めのやつ」 「悪いけど、もう売り切れちゃったよ。薄めのやつもね」  その女性はひどく落ち込んだ顔をした。罪悪感でこちらが3日は引きずってしまいそうなほどに。 「ロールパンならまだ残ってるけど。うちの1番人気だよ、一応」  求められていないことはわかっていながら僕は提案した。彼女は大きく首を横に振り、軽蔑ともとれる視線を僕に向けた。僕は心からの謝罪の気持ちを顔に映し出し、それをやり過ごすしかなかった。  この一連のやり取りがかれこれ1ヶ月は続いている。彼

          「食パンが買えないあの人」小説

          無名のスーパースター

          こんにちは、きのこの山派代表の結城りんねです。 今日は僕の中学生時代のお話を。 以前どこかでお話しした気がしますが、僕の地元はいくつか歴史的建造物的なのがあって、通学路に観光客がいるのが日常だったんです。 彼らとのふれあいは当時の僕にとってそれなりに刺激的で、中学生という難しい時期をより鮮やかで爽やかなものにしてくれたような気がしています。 その日の僕は部活を終えて帰路についていたんですが、なんとなく毎日の通学路に飽きてしまい、いつもは通らない川沿いの道を帰ることにし

          無名のスーパースター

          あなたに探してほしいもの。

          こんにちは、今日もお疲れ様です。結城りんねです。 最近、巷で話題の「会食恐怖症」。 僕はこの言葉を知った時、長年の苦しみが報われたような気持ちになりました。 僕が抱えていた地獄に名前が与えられ、やっとその存在が認められた気分になったんです。 僕はいつからか、人との食事となると、到底無視できないほどの緊張感を持つようになりました。 誰かと食事をともにすると、自分でも信じられないほど食べることができなくなるからです。 その日のコンディションにもよるんですが、基本的に友達

          あなたに探してほしいもの。

          あだ名。

          こんにちは、今日もお疲れ様です。結城りんねです。 あだ名。みなさんお持ちでしょうか。 生まれてこのかた一度もあだ名なんかつけられたことがない!という人もいれば、コミュニティごとにいろんな愛称で呼ばれてますって人もいるかも。 かくいう僕もこの20数年間でいろんなあだ名をつけられてきました。 もちろん中には、明らかに悪意を含んだものもいくつかあった気がしますが、純粋にリスペクトと親しみが込められたものであればそれほど悪い気もしないものです。 今日はその中で最も印象深いも

          「個別相談」(最終話)小説

          (前回までのお話) 「個別相談」(1) 「個別相談」(2)  人は基本的に自分が話したい生き物なのだ、というのが橘の持論だった。なにか話したいこと、言いたいことがあるというのが、ある意味人の健康的な状態であるとまで考えていた。それで言えば、橘は基本的に不健康な状態にあった。  朝倉も彼と同様の状態にあると橘は思っていた。そして目の前の彼を見るに、いよいよその不健康な状態が限界を迎えてきているという、切羽詰まった雰囲気を感じ取ることができた。 「どこかを旅した話なんかど

          「個別相談」(最終話)小説

          ルールとテーマ

          こんにちは、今日もお疲れ様です。結城りんねです。 趣味友っていますか?みなさん。 僕の人生を振り返ってみると、案外趣味友っていなくて、長く付き合いがあるのはどっちかというと趣味が合わない友人だったりするんです。 これはどうしてなんだろうか。 これについて考えるにはまず、趣味ってのはどういうものなのか。ここから考える必要があるでしょう。 趣味といってもいろいろありますよね。 何かをコレクションしたりだとか、スポーツをしてみるだとか、誰かを推してみるだとか。 まあ挙

          ルールとテーマ

          道後記念

          こんにちは、今日もお疲れ様です。 以前、愛媛の道後温泉に旅行に行きました。 なんだかんだ旅行は温泉に限るね。 温泉に浸かるのって人生有数の「生きててよかった」と思える瞬間ですよね。冗談抜きで。 道後温泉には特急しおかぜという列車に乗って向かった。 実は初特急だったんだけど、なかなかよかった。 座席が新幹線っぽくて好みでした。 なんと言っても窓から見える海が素晴らしくて。まさに感無量というところ。 しかしそんな特急しおかぜくんの手によって、僕は手厚い洗礼を受けるこ

          黒猫の知らせ

          こんにちは、今日もお疲れ様です。 虫の知らせとよくいいますが、なにかよくないことが起こる予感みたいなのって、みなさんキャッチできるタイプですか? 僕は基本的にネガティブなので、嫌な予感がする!というより、うまくいかないイメージしか湧き起らない、、、みたいなタイプです。 そんな人には、これは何かいいことが起こるぞ!となんとか前を向けるようなものが示されてほしいと思う今日この頃です。 僕は大学1年の終わりから2年にかけて10回くらい連続でバイトを不採用になるという功績を残

          黒猫の知らせ

          「個別相談」(2)小説

          (前回のお話)  俺に似ているんだ。  橘は朝倉の顔を見て、そのことを思い出した。橘が生徒について記憶している情報は非常に限られていた。名前と彼が教える地理の試験の点数のみである。しかし朝倉のことだけは、顔と雰囲気までもが印象に残っていた。朝倉も橘と同じように基本的に表情を作らなかった。整った顔立ちをしており背も高かった。決定的に橘と違うのは、無表情ではあるが無ではないところだった。橘にはない人間味のようなものがそこにはあった。  こいつは好かれるだろうなと橘は素直に思った

          「個別相談」(2)小説

          結城りんねのアルバム

          僕の文章のサイトマップみたいなのをせっかくなので作っておこうと思います。 僕がこれまで生み出してきた記事たちは、とにかくノージャンルです。和洋折衷です。ぜひ気になったタイトルからどんどんいっちゃってほしいです。 ノージャンルではありますが一応、エッセイの方を精一杯カテゴリ分けさせていただいて、4つのアルバムにしています。 それぞれのアルバムで一番多くスキをいただいているものをトップに持ってきてますので、迷っちゃう〜って方はトップ記事からいきましょう。 1st Albu

          結城りんねのアルバム