詩『切手に接吻をひとつ』#シロクマ文芸部
布団からすこし頭を出して
微熱混じりの手紙を綴る
言葉を重ねるから
文面が透明になってゆく
吐息で眼鏡が曇る
書けば書くほど見えなくなる
行間と行間の森に迷いこんで
ごきげんよう
あなたの分厚い玄関をノックして
ごきげんいかが?
文字を搔き分けて進む
ちいさい文字が鳥になる
眠っているひかりを摘まんで
文字の鳥に乗せてゆく
パタパタ、パタパタ、
ママが早朝から
スリッパで駆けてゆく音
やわらかな光が瞬いている
腐るまえに、孵りなよ
腐った雛になるなよ
ポップソーダでロックンロール
身体が中心から沸騰しそうだ
きのうまでのわたし、が
がらがら、と崩れ落ちるから
まだ布団からは出たくない
天井の剥がれかけた星たちよ
真冬に牙を立てて
空白の林檎に囓りつく
弾けて、飛んで、春待ちの朝
跳ねた寝癖が踊っている
(ーーー欠伸ーーー)
もういちどあなたの夢をみたい
瞳を閉じて 切手に接吻を
photo:見出し画像(みんなのフォトギャラリーより、渡辺健一郎さん)
photo2:Unsplash
design:未来の味蕾
word&poem:未来の味蕾
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