未来の味蕾

Artist未来の味蕾(みらいのみらい)写真、デザイン、加工、現代詩などの作品を創作しています。芸術とグルメな日々。インスタでは食レポ練習中。お仕事やコラボの依頼はr.loves.kotsubu@gmail.com まで。

未来の味蕾

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マガジン

  • 未来の味蕾・ショートショート

    ショートショートの可能性に挑戦してゆくつもりです。

  • 未来の味蕾・artworks

    現代詩作品と写真加工した作品を中心にまとめていきます。

  • 今日の味蕾~news and diary~

    わたくし日記が大の苦手ですが、挑戦してみます。取れたてピチピチの味蕾をお届けします。

  • 未来の味蕾・レシピブック

    未来の味蕾がお届けするちょっと自慢のレシピ集

  • 現在進行形の味蕾・徒然草

    日々、考えていること、感じていることなどをコラム・エッセイなどにして、少しずつまとめていきます。

最近の記事

  • 固定された記事

詩『量産型社会』

私を大量生産するために、わたし、は産み落とされた。わたし、でありつづけることに、息が切れる上り坂。後ろ向きに転がり落ちないように、爪先にちからを充填してゆく。両足のブレーキを踏みしめながら、ぐっとこらえる。ご機嫌ななめな爪をなだめるためのフットネイル。曲がった足の親指。外反母趾が疼く。じり、じり、汗が時計に滲んでいる。手首に革ベルトの痕跡。押し返す弾力のある肌。生きている証明の生中継(L・I・V・E)パレットの上で、呼吸が破裂しそうだ。真っ黒なアスファルトに、モノクロの過去か

    • 掌編小説『瑠璃色の龍』

      血液はどこへ流れてゆくの。身体に乗せた文鎮に押し出されて、流れてゆくの。風はあかい海に漣を孕ませる。騒ぐ、騒げ、騒ごう、内なる風がアクセルを踏んで、黄色い産声を掲げる。 入り口はあおい母の産道で 出口もまたあおい母の産道だった 喜びも怒りも哀しみも楽しみも、同じ方角から湧き出して、それぞれのマグカップのなかに、すとん、と収まるのだ。ファミリーパックのスープみたいに、色とりどりできらきら輝いている。ビー玉がかちかち鳴って、毎日、ぶつかり合う。どんなに高価な宝石よりも、ビー玉

      • 嬉しい報告と感謝『ありがとうございました!』

        詩『季節泥棒』は先週、#デザインで特にスキを集めた記事です、というお知らせがありました。皆さん、たくさんのスキありがとうございました。 シロクマ文芸部のお題「爽やかな」でした。これはもうお題を見て、すぐに言葉が降りてきました。比較的、書きやすかったです。 これからも頑張ります。 2024.11.2 未来の味蕾 #シロクマ文芸部 #爽やかな

        • 詩『季節泥棒』#シロクマ文芸部

          爽やかな季節が盗まれてゆく。飴玉の缶詰、底に薄荷は積もるのに。ダイアモンド、ルビー、サファイア、エメラルド、アメジスト、アクアマリン、ローズクォーツ、キャッツアイ……色とりどりに輝く石が指や首、手首を彩るけれど、季節の色はひとつではない。そのなかでも清々しい秋や春が最近、ごそっと減ってきているのだ。夏が駆け足で始まり、秋を浸蝕する。冬が突然、吹き荒れて、春が遅刻する。つまり春夏秋冬のうち、過ごしやすい時間が蝕まれている。嘆息。春の淡いパステルカラーや秋の落ち葉のおしゃべり、季

        • 固定された記事

        詩『量産型社会』

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        • 君二、ミニ、味蕾ヨ、届ケ、咲ケ!
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        記事

          創作SS『秋色カレーライス』#シロクマ文芸部

           木の実と葉があちこちに落ちている散歩道。さく、さく、マロンミルフィーユをナイフで切断してゆくように、秋だまりに足を踏み入れてゆく。風がアスファルトを掃除してくれている。  残暑が厳しかった今年の秋。雨上がり。急に温度が下がって、肌寒くなった。秋風らしいかぜが吹いて、肌の表面をさささっと舐めてゆく。そろそろ長袖の季節。帰り道を急ぐ。  郊外のベッドタウン。家々の晩ごはんの匂いがあちらこちらから流れてくる。 『今日は残業だったし、時間も遅いし、晩ごはんは何にしようかしら…

          創作SS『秋色カレーライス』#シロクマ文芸部

          『解答用紙のヒコーキ』#秋ピリカグランプリ2024

          飛行機が空を滑ってゆく 身体を透過する 肉体の質感がかるくなって 水平線の向こうがみえてくる (おかあさん、こどものころ、みたかったけしきは、こんないろじゃなかった、こんなかたちじゃなかった、こんなあじじゃなかった、ずーむいんしすぎた、ああ、ずーむいんしすぎてしまった、こうえんの、ばっくぐらうんど、おとなのひみつのそうだん、かがやかしいゆうえんちの、うらがわのくらがり、ひとみにあてたゆびとゆびのすきまから、かいまみえたもの、よみせのへいてんまぎわ、そーすがこげたにおい、ばん

          『解答用紙のヒコーキ』#秋ピリカグランプリ2024

          詩『カフェ「月の色」へ』#シロクマ文芸部

          月の色ーーー、お気に入りの穴場カフェ。扉を開けると、寡黙な店主がドリップの珈琲を淹れている。軽く会釈する。運ばれてきた檸檬水の酸味が風を起こす。なびく肌の表面、ざわついて、夏。降り頻る透明な粗目糖が瞳にぶつかって、弾ける。わたし、は早摘みの果実。腐るか程良く熟すかの微調整中。温度、湿度、ひかり、条件を精査してゆく。ゆっくり、ゆっくり、手塩にかけて。美味しいか美味しくないかは、主観的なもの。それをどれだけ共有できるか、もしくは作り手が計算した味をどれくらい享受できているか。味覚

          詩『カフェ「月の色」へ』#シロクマ文芸部

          詩『結石のネックレス』

          ユリイカ2024年9月号で選外佳作に選ばれました。 河原で拾ってきた石を 濃い灰で覆われたような石を 積む 空腹の中枢に 栗鼠みたいな頬袋に 曲がった外反母趾の角に 風や雨に削られて 廻ったり転がったり 研磨されていったシェイプ ふわふわ、と飛んでゆきそうな魂の碇を下ろす 石を積む 積んでゆく いつかみんな死んで腐敗して 形あるものは崩れてしまう 明日の風を読みながら 日々の頁を捲ってゆく 萎れたいのちに土を撒く 散ったいのちを炎で焼く 形のない死者の魂に観察さ

          ¥100

          詩『結石のネックレス』

          ¥100

          嬉しい報告と感謝『ありがとうございました!』

          詩『月泥棒』は先週、#デザインで特にスキを集めた記事です、というお知らせがありました。皆さん、たくさんのスキありがとうございました。 久しぶりにシロクマ文芸部のお題でした。これは書きやすかったです。色々とイメージが湧いてきて、それでいて表現にこだわった詩作でした。 これからも頑張ります。 2024.8.27 未来の味蕾 #シロクマ文芸部 #今朝の月

          嬉しい報告と感謝『ありがとうございました!』

          詩『月泥棒』#シロクマ文芸部

          今朝の月は 寝坊したあなたが囓っていった 昨夜、ベッドに入る前に 窓から覗いたときは クッキーみたいな満月だったのに  遅れて起きたわたしは ブランチをゆっくり食べてから 食器を洗っていた 太陽が廻る正午 真昼の月 半分透けた月に 歯型がうっすらついている 池の鯉が跳ねる 水飛沫 青空にざぶん、と飛びこむ我等 鳴り響く心臓は 一等星のときめき 庭の向日葵が首をかしげる 夏ももうすぐ終わるね、と 太陽のミニチュアみたいな花に水をやりながら 午後の対話が溶けてゆく The

          詩『月泥棒』#シロクマ文芸部

          エッセイ『いじめサバイバーとして書く夏』

          私にとって、夏は特別だ。あついあつい夏、毎年、胸がしめつけられる日がある。広島に原爆が投下された日、長崎に原爆が投下された日、そして終戦記念日。戦争体験者がどんどん亡くなってゆく、被爆者もどんどん年老いてゆく。修学旅行の行き先が広島や長崎ではなくなって、ディズニーランドや海外旅行になってゆく。これではいけない。私は二十代前半の時に、危機感を抱いた。 いつの時代も、どこの世界でも、戦争は終わって、またとこかで始まる。でも私は決して諦めたくない。戦争はなくならないけど、なくなら

          エッセイ『いじめサバイバーとして書く夏』

          詩『あかい戦争』#創作大賞2024応募作品

          (令和六年八月十五日午前零時) Harajyuku,Tokyo. 『赤髪がすき、きらい、すき、きらい、きらい、きらい、もすきのうち?』 怯えた上目づかい 服のしたにかくした痣 はなびら千切って 決意の縄を括って 宙をバタ足金魚で泳いで 舌をかみ切って 紺色の芝居にピリオドを打つ   赤字の遺書とぶら下がった制服 扉を開いた両親は泣きながら 干涸らびた金魚の亡骸を拾う ⚫ (昭和二十年八月十五日正午) 東京から全国へ。 白黒の粗い映像 ラジオから流れる声 固唾を呑んで聞い

          詩『あかい戦争』#創作大賞2024応募作品

          嬉しい報告と感謝『ありがとうございました!』

          詩『最後の手紙』は先週、#哲学で特にスキを集めた記事です、というお知らせがありました。皆さん、たくさんのスキありがとうございました。 シロクマ文芸部のお題『手紙には』でした。このお題は、結構スラスラ書けました。引き続き創作大賞2024にも参加しております。よろしくお願いします。 これからも頑張ります。 未来の味蕾 2024.7.14 #シロクマ文芸部 #手紙には

          嬉しい報告と感謝『ありがとうございました!』

          詩『最後の手紙』#シロクマ文芸部#創作大賞2024

          手紙にはそのひとの色が滲む、音が泳ぐ、言葉が香る、温度が漂う、そして息遣いが隠されている。誰かを想って、文面にしたためる時間。誰かに想われて、文面にしたためられた空気を読む時間。濃密なときを過ごす。冷凍されていた感情が解凍されてゆく。息を吞む。太陽が昇る。柔らかなひかりの帯が差し込んで、解剖するように咀嚼するのだ。 + 色褪せたインクの文字を目でなぞって 奥に刻まれている記憶を呼ぶ くるり、くるり、くるり、と 体内時計が廻りだす あなたに触れられた肩、腕、耳朶、頬、 に

          詩『最後の手紙』#シロクマ文芸部#創作大賞2024

          創作SS『七月へと架ける橋』#シロクマ文芸部

           紫陽花を撫でるように、しとしと降る雨音。六月三十日、誰もいない昼下がり、そっと瞳を閉じる。同じ空の下から、あの懐かしい家へ届けて頂戴。   +    いつまでたっても、どんなに背伸びしても、完璧なお母さんには敵わない。でも競争はしなくていい、真似もしなくていい。私はわたし、の町で、ちょうどいい歩幅を見つけた。  春や夏には庭で栽培したハーブを摘んで、美味しい手料理をつくる。育ち盛りのこどもたちは賑やかな悪戯をやらかしてくれる。毎日、バタバタと忙しいけれど、この暮らしも悪く

          創作SS『七月へと架ける橋』#シロクマ文芸部

          詩『雨、そしてワルツ』#シロクマ文芸部#創作大賞2024

          雨を聴く、 雨  、  雨  、  雨  、                                       雨。。。。。雨        雨。。。。。雨        雨。。。。。また雨 (AM)  雨、 しとしと、薄暗い部屋の窓を濡らして、 女が啜り泣くように降る、  雨、      1日の始まりから跳ねあがる、しずく、点々と。ブラウスに抽象的な水染みが広がってゆく。重なり合う斑な染み。ひとーつ、ふたーつ、みーっつ……数えて、草臥れたソファに

          詩『雨、そしてワルツ』#シロクマ文芸部#創作大賞2024