詩『月泥棒』#シロクマ文芸部
今朝の月は
寝坊したあなたが囓っていった
昨夜、ベッドに入る前に
窓から覗いたときは
クッキーみたいな満月だったのに
遅れて起きたわたしは
ブランチをゆっくり食べてから
食器を洗っていた
太陽が廻る正午
真昼の月
半分透けた月に
歯型がうっすらついている
池の鯉が跳ねる
水飛沫
青空にざぶん、と飛びこむ我等
鳴り響く心臓は
一等星のときめき
庭の向日葵が首をかしげる
夏ももうすぐ終わるね、と
太陽のミニチュアみたいな花に水をやりながら
午後の対話が溶けてゆく
The sun will shine……、
乱反射。
一秒、一秒、が輝いて
水の生きた彫刻みたいだ
瞳のカメラで切り取ってゆく
あなたが帰宅して
歯型が一致したら
ブレスレットで逮捕してみせる
月泥棒にご用心
汗をかきながら
月がしずかに見下ろしている
photo:見出し画像(みんなのフォトギャラリーより、ParaoFirmamentoさん)
photo2:Unsplash
design:未来の味蕾
word&poem:未来の味蕾
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