藤田 美保

『窓きわのトットちゃん』を読み、自由な学校に憧れる。小学校教諭を退職後、2004 年に「わくわく子ども学校」を立ち上げ、2009年から箕面こどもの森学園校長。2023年より認定NPO法人コクレオの森代表理事。学校法人あけぼの学園と「六瀬ほしのさと小学校」の設置を目指す。

藤田 美保

『窓きわのトットちゃん』を読み、自由な学校に憧れる。小学校教諭を退職後、2004 年に「わくわく子ども学校」を立ち上げ、2009年から箕面こどもの森学園校長。2023年より認定NPO法人コクレオの森代表理事。学校法人あけぼの学園と「六瀬ほしのさと小学校」の設置を目指す。

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学校を創りたいと思った理由③「当事者に主権がある」とはっきりと思うようになった

人権サークルでは、「障害のある子の普通学級で学ぶ権利」ついて、話し合われていた なぜか、物心ついたときから、「権利」について人一倍敏感だった私は、「人権」という言葉に惹かれて、同僚の柳川先生が既に入っていた、「人権サークル」に入りました。 その人権サークルで話し合われていたことは、「障害のある子の普通学級で学ぶ権利」について。 人権サークルに行って、その時初めてわかったのですが、私が赴任した海蔵小学校には、Mちゃんという重度障害をもつ子(障害が重く自分の意思を伝えること

    • 学校を創りたいと思った理由②「藤田さんって、障害がある子が普通学級で学ぶことについて、どう思う?」

      「人権サークル」を選んだことが、大きな分岐点となる 当時、四日市では、小学校教員が月に1回、放課後に教科やテーマごとに集まって、一緒に実践報告や学習会をする教員の学習サークルがありました。 私もどこかの学習サークルに入ることになったのですが、サークルは市内のいろんな学校で開催されるし、自分の車を持っていなかったので、だれか同僚の先生がいるサークルで、車に乗せてもらう必要がありました。 最初は、詩が好きで、子どもの言葉が好きだったので、「詩の授業がしたい」と考え、国語サー

      • 私が学校を創りたいと思った理由①「職員室に足を一歩踏み入れた瞬間、愕然とする」

        最もなりたくない職業だった、教員になってしまう 両親共に教師で、小さいときから、「ミホちゃんも、大人になったら、学校の先生になるんやよね?」と周囲からよく言われていた私にとって、教師は、この世で最もなりたくない職業でした。 にもかかわらず、私が、大学卒業後、公立小学校の教員になってしまったのはなぜかと言うと… 大学を卒業するときに、自分がここから先、どう進みたいのかわからなくなり、教員免許も持ってるし、周りは採用試験の勉強してるし、結局は自分にとって一番身近な職業だし、

        • 国立大付属学校の役割とは 「生きる力、学びのその先へ」

          国立大学付属学校は、国立大学法人によって設置・運営されています。 全府連(「全国国立大学附属学校連盟)」とPTAの保護者と教職員で組織する「一般社団法人全国国立大学附属学校PTA連合会」の合同組織)によれば、 そもそも国立大学法人が、付属学校を持っている理由としては、 実験的で先導的な学校教育への取り組み、教育実習の実施、大学や学部における教育に関する研究への協力などとされています。 文科省においても、国立大学付属学校の役割は、同様のものであると定められています。htt

        • 学校を創りたいと思った理由③「当事者に主権がある」とはっきりと思うようになった

        • 学校を創りたいと思った理由②「藤田さんって、障害がある子が普通学級で学ぶことについて、どう思う?」

        • 私が学校を創りたいと思った理由①「職員室に足を一歩踏み入れた瞬間、愕然とする」

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        • みんなで創る ミライの学校
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          金太郎飴みたいになることを押し付けられて、一つのものさしで人と比べられる場所に、行きたくないのは当たり前だと思う

          私は、公立小学校の教員になった1年目に、不登校になったことがあります。 ある障害をもつ子どもの権利が、どう考えても踏みにじられていると思うデキゴトが起き、職員会議で「当事者主権が尊重されていない」と発言したら、先輩教師二人に湯沸かし室に呼び出され、「職員会議で発言しないで」と言われ、自分の心が音を立てて割れたからでした。 不登校で学校を休んだ日は、とてもいい天気でした。 ボーッと、車の洗車をしていたことを今でもよく覚えています。 心配してやってきた同僚に「学校に行きたく

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          不登校特例校が、学びの多様化学校とされることについて

          この動きについて、「大賛成」という人と「懸念がある」という人がいますが、私は「懸念がある」と感じている側です。 なぜかと言うと… 学びの多様化が、不登校対策の文脈でとらえられる というように見えるからです。 教育機会確保法とCOCOLOプランができたことにより、不登校児童生徒であれば、不登校特例校だけにかかわらず、民間のフリースクールや、家庭でICTで学ぶことや、私たちが運営するオルタナティブスクールで学ぶことが権利として認められるようになりました。 ここでポイント

          不登校特例校が、学びの多様化学校とされることについて

          オルタナティブスクールのつくりかた②「金八先生は、目指さない」

          「子どもの教育に携わりたい」とか、「子どもたちのために学校を創りたい」とか考える人は、「人がいい」方ばかりです。   「人がいい」とどうなるか、 まず、目の前の困っている人をほっておけません。 次に、何でも引き受けようとしがちで、いろいろと役に立とうとします。 さらに、日本には、「おせっかい」という文化と、「金八先生」にはじまるドラマが作り出した「先生像」があるため、子どものことを丸ごと抱え込んで寄り添おうをする熱心な教師像が求められるところがあり、私たち自身もどこかで「そ

          オルタナティブスクールのつくりかた②「金八先生は、目指さない」

          オルタナティブスクールのつくり方① 「やりたいのは、ジビエレストランか、フードコートかを確認する」

          ありがたいことに、「箕面こどもの森学園さんのような学校を創りたいんです」という方が、見学に来られていろいろご相談を受けることがあります。 その場合に共通するご質問やアドバイスをnoteにまとめていこうと思います。 オルタナティブスクールを創りたい場合、一番初めに大切なことは、実は、まずこの問いに向き合うことです。 「本当にオルタナティブスクールを創りたいのか?」 立ち上げ期の場合、よくこういうことをみなさんおっしゃいます。 「とりあえず、来てくれそうなお子さんを集めて、

          オルタナティブスクールのつくり方① 「やりたいのは、ジビエレストランか、フードコートかを確認する」

          代表にはなったけど、少しも重荷を感じないわけ

          ここしばらく不思議だな~と思っていたことは、 「コクレオの森という認定NPO法人の代表になったけど、重荷というか、何か背負っている気が全くしない」ということ。 「どうしてなんだろう~~~」と考えたとき、思いついたことがあります。 そのうちの1つが、自分が何かをするというよりは、「場の力に委ねている」という感覚がすごくあるから。 コクレオの森は、そこに集まった人が紡ぎ出す「場の力」みたいなもので、動いていると思っていて、それ以上でもそれ以下でもないと心底思っているのです。

          代表にはなったけど、少しも重荷を感じないわけ

          法人名が「箕面こどもの森学園」から「コクレオの森」になったわけ

          オルタナティブスクール「箕面こどもの森学園」は、「コクレオの森」という認定NPO法人が運営しています。 箕面こどもの森学園という学校名と同じ法人名から、「コクレオの森」という法人名になってから、3年が経ちました。コは、英語でともに。クレオは、エスペラント語で創る。「ともにつくる」という意味を込めています。 法人名を変更した理由は、3つあります。 一つは、関東などにも研修などで行くことが増えたのですが、「箕面」という字を、「何って読むんですか?」と何回も聞かれたこと。 「読

          法人名が「箕面こどもの森学園」から「コクレオの森」になったわけ

          窓ぎわのトットちゃんから始まった学校づくり

          ベストセラーでもある黒柳徹子さんの「窓ぎわのトットちゃん」が刊行されて40周年だそうです。それを受けて、共同通信社が「トットちゃんに影響を受けて、トモエ学園のような学校を創った人がいないか」探したところ、影響を受けた人はたくさんいるけれども、実際に学校まで創った人はなかなか見つからなかったと言って、私のところに連絡があり、その影響を受けて学校を創った人として、私が取材を受けることになりました。 今回は、私がなぜ「窓ぎわのトットちゃん」に憧れたのか、何を考えて学校を立ち上げた

          窓ぎわのトットちゃんから始まった学校づくり

          コロナ禍で、子どもたちに身につけてもらいたい力とは?

          コロナ禍で、子どもに身につけてもらいたい力って、どんなことだと思いますか?  手指の消毒や体温管理、マスクの着用、ソーシャルディスタンスなどの、自分や人を守るための方法なのか、それとも、「大変なときだから、行きたいことができない、やりたいことができないってあるんだよ」という行動制限への理解なのか、それとも、「ピンチはチャンス!コロナよ、ありがとう~」という気持ちでデキゴトをとらえ、マインドセットする力なのか… いろんな人がいろんなことを主張する中で、私が一番違和感を感じて

          コロナ禍で、子どもたちに身につけてもらいたい力とは?

          「勉強するのは、何のため?」と聞かれたら?

          「勉強するのは、何のため?」と、子どもたちに聞かれたら、みなさんはどう答えますか? 「大人になっても困らないため」とか、「受験に必要だから」とか、「いい大学にいくため」とか、いろんな答えがあるかと思います。 先日開催したイベントで、この問いについて参加者と対話をしたところ、参加していた小学生と高校生が、「将来の選択肢を広げるためだと親からも言われるし、自分でもそう思う」「いい大学に行くことが将来の選択肢を広げることで、いい大学に行かないと選択肢が狭まる」というようなことを、

          「勉強するのは、何のため?」と聞かれたら?

          オルタナティブスクールって、何?

          オルタナティブスクールとは、「もう一つの学校」という意味で、一般の学校でない学びの場で、特定の教育理念と教育方法を持ち、「学校」として運営されているものを指します。 フリースクールが、一人ひとりの子どもの実態に合わしていくことを大切にしているのに対し、オルタナティブスクールの場合は、そのスクールが掲げる教育理念の実現を目指しているという特徴があります。 実は、一口にオルタナティブスクール、オルタナティブ教育といっても、またさまざまな種類があり、私立学校として学校法人化され

          オルタナティブスクールって、何?

          どう選ぶ?フリースクール・オルタナティブスクール  ~フリースクール編~

          フリースクールやオルタナティブスクールは、NPOや一般社団法人など主に民間が運営する教育機関です。学習指導要領によらず、カリキュラムを自由に決められるという特徴があります。学習を重視するところもあれば、子どもの意思を尊重して自由時間や体験活動を多く取るところも。内容は、まるで色鉛筆のように多彩です。 たくさんありすぎて、一体全体、どこのスクールをどう選んだらいいのか悩みますよね。 まず最初に、フリースクールとオルタナティブスクールの違いを理解しましょう。日本でフリースクー

          どう選ぶ?フリースクール・オルタナティブスクール  ~フリースクール編~

          曲がり角の向こうには、きっと最善がまっている

          法人名が「箕面こどもの森学園」から、「コクレオの森」に変わり、4か月に1回のペースで発行している通信も、「こどもの森通信」から「コクレオてらす」に変わりました。 今回、第2号目のコクレオてらすの1面の記事を担当することに。 てらす担当のまるちゃんから、「なんでもいいので、ミホさんが今思っていることを書いてください」と言われ、どうしようかな~といろいろ悩んだのですが、最近、なんとなく感じていることを書いてみました。 よろしければ、ぜひ、お読みください!! 青い屋根の小さな一

          曲がり角の向こうには、きっと最善がまっている