オルタナティブスクールのつくりかた②「金八先生は、目指さない」
「子どもの教育に携わりたい」とか、「子どもたちのために学校を創りたい」とか考える人は、「人がいい」方ばかりです。
「人がいい」とどうなるか、
まず、目の前の困っている人をほっておけません。
次に、何でも引き受けようとしがちで、いろいろと役に立とうとします。
さらに、日本には、「おせっかい」という文化と、「金八先生」にはじまるドラマが作り出した「先生像」があるため、子どものことを丸ごと抱え込んで寄り添おうをする熱心な教師像が求められるところがあり、私たち自身もどこかで「そうなりたい」あるいは、「自分なら、そうなれるんじゃないか」と思っているところがあります。
この感覚を持ち続けているとどうなるか…
「フランス料理のジビエレストラン」となるはずだったオルタナティブスクールは、いつしかフードコートになっていきます。
オルタナティブスクールを開いたら、いろんな保護者の方が問い合わせてきて、お子さんを入学させたいと希望されます。ところが、「オルタナティブスクール=少人数で手厚く見てもらえる」「公立が馴染まないから、どこか別の場所」という動機で問い合わせてくる方が多いのが現状なのです…
そして、みなさん、本当に困っておられます…
そうした方々のお話をお聞きしているうちに、「何とか力になってあげたい」と思うし、困っている人に手を差し伸べたくなります。
でも、「フランス料理のジビエレストラン」であるオルタナティブスクールを創りたければ、それ以外の料理を求めていらっしゃる方は、別のレストランをご紹介し、自分たちのレストランを丁寧に創り、質を高めていくしかありません。
つまり、自分たちのビジョンとミッションを明確にするとともに、自分たちの「分を知る」必要があるのです。
それぞれの家庭がかかえる問題とは、とても複雑です。
それらの問題は、私たちの目の前に現れたからと言って、私たちが解決できないものもあるのです。そうした問題は、たくさんの人や団体さんとつながって、あるいはお任せをして、みんなで解決していく問題でしょう。
私たちが、いろいろなご家庭のサポートやお子さんのサポートに困ったとき、子育てハッピーアドバイスで有名な明橋大二さんに相談したことがあります。
そのとき、明橋さんから「出会った子の、2割は救えない」という言葉を教えていただきました。
私たちが、できることとできないことを区別し、できないことはいろんな方や団体さんにお任せをし、己の分を知るときに大切にしている言葉です。
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オルタナティブスクールづくりを目指している方へ。
11月25日(金)19時30分~ 大分のオルタナティブスクール「ここのね自由ながっこう」のこうちゃん(山下浩二さん)のお話をお聞きします。
これからの学校教育について考えたい方へ。
12月2日(金)20時~ 長年、教育を取材されてきた、朝日新聞編集委員の氏岡真弓さんのお話をお聞きします。