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彼の声が聞こえたりするのかな?
ベランダのトマトを眺めながら返信した。
「ううん、なんかお祓いとかも考えたほうがよいのかな、とか、どうしたら子供たちにとってもっと居心地が良くなるのかなとかちょっと考えてたの。」
でも、本当に聞きたいのはこんなことではなかった。
戸惑いながら、書いては消して、を繰り返し、付け加えた。
「あとは彼の声が聞こえたりするなら知りたいなとか、笑」
心の底からに知りたかったが、「笑」をつけないとい
二度とお願いなんかするものか。
鍼治療が終わり、父の車に乗った。
東新宿の繁華街を通って、都市のコンクリート網を通りながら帰る。
気だるい梅雨の季節に突入しかかった都市のコンクリート網は重たそうだった。全てがグレーで、全てがじっとりしていた。息苦しくなり窓を開けるともわっとした梅雨の雨の匂いが生ぬるい風と共に入ってきた。
まるで5歳児を叱るように
「ほら、クーラーを入れてるんだから、窓は閉めなさい」
と父は言った。