ミニトマト
送ったことを後悔しながら、メッセージを取り消そうか悩んでいると、「既読」になり、すぐに返信がきた。
「奈美、変なことじゃないよ。
変な感じは全く無かった。
むしろ、いい気が満ちていた感じ。
トマトがよく育つのが納得だったよ。
でも人の出入りがたくあると気になることがあるのかな?」
ありがたかった。
不思議なウイルスの時代になってから、夫はベランダで家庭菜園を始めていた。ミニトマトやピーマン、ししとうなどを植えて、子供たちと水やりをして、毎日声をかけながら育つのを楽しみにしていた。
M子が前の週に来てくれた時には、ミニトマトが勢いよく育っていて、緑の実がたくさんなり始めていた
植えていった本人はいなくなったのに、トマトたちはそんなことを気にする様子もなく元気に育っていた。
このトマトに命を与えているのは誰なのだろう、日に日に緑が生い茂っていくベランダを眺めながら不思議だった。