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詩 借り物 ぼたり落ちた屍体 スニーカーと得体の知れない液体 刺繍されたのは脇腹に浮…
詩 うちがわのゴースト 穏やかさな陽射しが許せないのか 鮮烈な鼓動が脈打つときのこと …
詩 餓鬼道より 何を勝ち得たとしても 虚しさに辿り着いてしまうのだろう という直感は…
詩 変身 茹だる熱気の中で 何かを為した という 形跡が必要だった 空想の世界の魔…
詩 ソーダ水の甘味たち 放逸するから求める甘味を 彼方の国へ 葬ってしまった ぼくの…
詩 毒瓦斯 何千往復もする畦道 山道 港 駅 車道 歩道 何万回でも目覚める部屋 …
詩 俯瞰者 嵐に凪ぐ海峡 焼け落ちた森林 音は衝撃を伴って 夢は頭痛を孕んで 落ち着き払うには早すぎる 憎悪に歪んだ時分を 間違いと扱って歩幅を縮めるには早計すぎる 心ごと堕ちてゆく地獄でなければ 酸素の薄い天界でなければ 熱情が手に入らないのなら 今でさえ 嫉妬と憎悪と一方的な羨望を背負って それでも修羅へ行くべきだ ぼやけた正常になんて ありふれた平常になんて とうに戻れない 望郷に苦しめられる気持ちごと連れて行け その先に何もなかった
詩 シュガー・ホイップ 茹だるほど甘味 胃袋の萎縮が聴こえる いくら喰らったって無事…
詩 毒善の幻想 号砲を外部に求めている限り けっして始められないことがある 暗黙の待…
詩 鋼鉄の浮島 みぎめの脈動を とめて かつて持っていたものを追い求めてふたたび震え…
詩 渦巻き 痛みを分かれない潮流が ビル街に 一人ひとりに 一子相伝に 体内で渦巻く…
詩 断線 返せもしないものばかり降り積もって 時効が訪れるまで逃げ果せるため 伏し目…
詩 静謐 赤く腫らした隈 皮膚らしからぬ発色 着信音 から逃避できない 誰にも邪魔…
詩 反転と上昇 灰色の柔肌 放射線で壊滅する髪は波打ち 地中を穿つ逆さ城 十五秒あれば人を辞める 一年あれば懐中へ忍ばせる ひとの生涯を台無しにする覚悟で 流血でも止められない ラビット・ホールの夢 落下 身に纏う矢印だけは昇る 睨めつけていた空へ わたしから抜け落ちるように 目指す方へ駆けていく この時を待っていた 値千金の すべてを尽くして得られるものを ただ瞬間のものではない大嘘が 成就する瞬間を 待ってた 『東方輝針城』に登場す