みかづき星雅 / Seiga

この瞬間だけでも、ほんの少しでも、強かな人を導く灯火に近づけますように。  毎日投稿…

みかづき星雅 / Seiga

この瞬間だけでも、ほんの少しでも、強かな人を導く灯火に近づけますように。  毎日投稿(2023/11/22~)  東方Projectの二次創作をしてます  noteでは詩歌/エッセイ/英詞和訳/レビュー  他では小説/絵  感情の起伏が激しい曲が好き

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    自作の詩・短歌・長歌。東方Project二次創作含む。

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    Seigaの好きな曲を手あたり次第和訳・英訳して、最後に感想や訳の理由など諸々記載。

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    アニメ、音楽など、既存作品に関する長文めのレビュー。

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    漫画を1巻読んで、好きなコマを模写とかして、感想を書く日課。

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なるたけ前向きな、さようなら

 東方Projectの二次創作詩集『境界渡り beyond boundaries』を頒布します。  詩集の表紙イラストはうずみび(@bankedfireXXX)先生です。厳しいスケジュールの中、みかづき星雅が体験した出来事を反映した、素晴らしいイラストを仕上げていただきました。絶えなく感謝です。  お別れの詩集、と題打ってXで告知を打ち出しましたが、「お別れ」というのは、この詩集の制作最終盤に出てきた語彙です。はじめは「負い目」とか、「隣の芝生」とか、「選べなかった未来」

    • 詩 翼の簒奪

      詩 翼の簒奪  翼の簒奪は  わたしの一部を誘拐して  みずからの懐に 隠してしまった  「いつか、綺麗に忘れられるから」  そんな言葉を 信じたくはなかった  満ちていた月は  いまは 半月の形になったまま  ぴくりとも動きはしない  繋がっていた円環は  いまは 姿さえ感じられない  願い  とは  こういうものだったの?  愛情  とは  こういうものだったの?  安穏だけが世界のすべてなら  平穏だけが救済のすべてなら  胸が締め付けられることはなかった  翼は

      • 詩 描き手

        詩 描き手  ぼくらはやがて星を描けるだろうか、星というのは  もはや夜空で留まっているものではなくて  ひとびとの目の前に  親指の通過ひとつで颯爽とあらわれる  煌びやかな配置  計算された舞踊  魅了のための 活動  あらゆるすべてを投資して  繊細な排斥による引き算を通して  高級料理のように  スタジアムライブのように  歴史的映画のように  整頓されたたたずまいで 発光するものなのです  ぼくらはやがて星を描けるだろうか、描くというのは  あるがままを映し出すこ

        • 詩 回路の熱

          詩 回路の熱  曖昧模糊な思考回路が常にわたしの肉体を焼いています  願うほど太陽は遠ざかり冬が、  来る 明けない冬が  永久凍土が手のひらを貫通して  血液を凝固させてもなお 回路は、  あらたな血流を掘削して膨張し  右腕からゆらゆらと焔が上がります  雪が、心臓に触れるまえに鼓動が、  走馬灯で時を止めています  これは、無限の試行の繰り返し  痛みと再起を何度も何度も往復  息苦しさを止めるには、肺が  はち切れるまで  両足で上半身を運搬することです  筋力の源

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          詩 トゥルー・カラーズ

          詩 トゥルー・カラーズ  雨上がりに整列するのは、四季折々、陰陽五行の皆々様が持つ、本来の色です。本来の色は、眠っていたり、隠されていたり、気付かれないままだったり、さまざまの境遇を経ています。一度も目覚めないことも、姿を現さないことも、気づかれないまま生涯を終えることも、あります。それら色彩のさまざまが、雨の上がりに土からのぼり天上へと集まって、市場ができるのです。それは、境界です。未練のある者も、未練の言葉も知らないものも、一様に集って無限の色を成すのが、ものごとの境界

          詩 トゥルー・カラーズ

          詩 一夜の狼

          詩 一夜の狼  鋭利な加害は  いままさに伸びていて  憚らぬ天幕は  いままさに伸ばされていた  本能は 細やかであれと願って  尽くした肌を 遠慮なしに貫く  これでも、人、を名乗りたいのは  たぶん 我儘に過ぎない  これでも、人、でありたいのは  たぶん 汲み取られることはない  この夜を過ぎたら  また一からやり直し、だ  望むなら皮膚を裂け  望むなら牙を剥け  この夜が明けたら  全身を覆った体毛が  抜け落ちたら  また、人、として歩み直す  だから  奪え

          明日9/17、詩集第二弾の告知およびセルフライナーノーツの記事を投稿します。 ここ半年くらいの集大成です。ぜひご覧ください。

          明日9/17、詩集第二弾の告知およびセルフライナーノーツの記事を投稿します。 ここ半年くらいの集大成です。ぜひご覧ください。

          詩 きみの横断

          詩 きみの横断  いままさに朽ちていく  きみのからだが 列車を横切った  ぼくの視線は 手元のモニターに注がれていて  3秒遅れで 過ぎ去る窓を見つめる  また、だ  過ぎ去っていくのは何もかもなのに  “きみ”の横断を見逃したときにだけ  夜はきりなく拡がって  収拾がつかなくなる  どんなに暖かいものを抱いても  最後に謝罪ばかりが零れて  そこでようやく 眠ることができる  朝陽がのぼって やるべきことに埋もれたら  何もかも忘れて モニターに目を注ぐ  そうして

          詩 何も

          詩 何も  何もわからない!  手に取るものの輪郭さえ  視界に差し込む色彩さえ  何一つを取っても 茫漠ばかりだ  わかろうとする試みによって  理解に漸近したと思えば  重力から離れていくみたいだ  何もわからない  わかるはずもない  けれど、わかるかもしれない、という  朝ぼらけよりも幽かな願望を  抱かずには  芥子の実を喰らって 埋没していくだけ  けっして口にできない楽園の果実が  ぼくらの額の真ん前で  縄梯子のようにぶらぶらしてる  掴まれもしないのに  

          詩 一筋の真鍮

          詩 一筋の真鍮  思い違いで失くした時間を  うず高く積み上げれば  なれたはずの未来に届くでしょうか、  理由をつけて飛ばした予定を  余すところなく実行していれば  違う世界に辿り着いたでしょうか、  散逸して 焦点の合わない思考を  もう一度繋ぎ合わせれば  今からでも目指せるでしょうか、  生まれてこの方 一度も手にしていないものに  持てる最大の速度で向かったら  死ぬまでに光明を見れるでしょうか、  お別れは  まだできますでしょうか、  初めましては  まだ言

          詩 綺麗な石ころ

          詩 綺麗な石ころ  すべてを捧げると  途方もなく甚大な  見返りを渇望してしまう  綺麗な石ころを  ビオトープのアメンボを  制約なく見回す といった  小さな 幼心の手を引いて  その欲求が肥大化するまえに  思考を裁断する  すべてを捧げるには  きみの視線を遮る必要があって  そこで得られなかった栄養の分だけ  あるいは それ以上の利子をつけて  何かを得なければならない  さもなくば 遮光カーテンを突き破って  赤子だったものが 怪物になり  ぼくを呑み込んで

          詩 綺麗な石ころ

          詩 無名の大岩

          詩 無名の大岩  いま目の前で横たえている大岩の  全貌もわからず 正体も掴めず  名前さえも付けられない 時間に  喉の渇きだけが積もる  皮膚の湿り気が喪われる  喪失の自覚さえないままに  暇を過ごすことだって ぼくにはできる  それがおそろしい  阻まれても なんの気も起こらずに  ただ自分自身の調子だとか  気持ちの入れ替え一つでなんとかやり過ごそうとする  そんな自分の習性がおそろしい  放っておくことだってできる  悪いことなんかじゃない  けれどいま その大

          詩 吹き溜まる季節

          詩 吹き溜まる季節  季節が留まっている  ふと目を離しても  まだ 季節が留まっている  気がつけば「一年あっという間だった」と言っているのに  今目の前で、温度と湿度は  しぶとく 留まっている  願っても動かない  思うようには移り変わらない  夜の水底に沈み続けなければ  季節は流れない  いずれ 流れる風の変化は  さもしさを吹き飛ばしてくれるだろうか  だが 願っても  野分は来ない  木枯らしは吹かない  水底へ 息を止めて潜れ  季節も 温度も 痛みも  ど

          詩 吹き溜まる季節

          詩 対価

          詩 対価  夜も灯り続ける街の明かりを  いくぶん食らって 詩を吐き出す  火に焚べる燃料を取るため  摩耗する人々の生気を  いくぶん食らって 詩を吐き出す  眠る我が子の限られた表情を  記憶に刻むための 上司の時間を  いくぶん食らって 詩を吐き出す  世話になった親からかけられた  期待と安心を売り払い  いくぶん細って 詩を吐き出す  だから  そこに意義を求める心が生まれて  そこに成果を要する概念が生まれて  そいつらは ひとりでにぼくが生んで  ぼく自身を食

          詩 名付け

          散文詩 名付け  名を付ける、という行為は、ある事象の性質を説明し、対処するだけの力を持つ。正体不明の事象にとっては、名を付けられることは、束縛であり、呪いとも言えるだろう。いっぽうで、人間の個人個人に対する名付けでは、これら事象に対する束縛的な効果は著しく弱まる。名付けの拘束力が及びにくい。それは、彼らが、思考を基盤として、激しい移ろいや迷いを繰り返す生き物だからだ。やさしく育つように優と名付けたり、何かを愛せるように愛と名付けても、その性質通りになるとは限らない。それら

          詩 溶炉

          詩 熔炉  どろり 溶け落ちて  おそろしい痛覚が訪れるのは  すでに肉体を喪った、後  熔炉にまじって  わたしだったものが 撹拌される  ばいばい あなたを映した瞳  ばいばい あなたを握った指  ばいばい あなたの手でつくられた  うつくしい髪  モノだけなら 要らない  肉体だけなら どうだっていい  けれど、いま  揺らすことのできない、溶け落ちた手には  この世の何より大切にした  あなたを想って磨いた 爪があったのです  あなたに捧ぐためだった 信仰があったの