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詩 毒善の幻想
詩 毒善の幻想
号砲を外部に求めている限り
けっして始められないことがある
暗黙の待てを貫通する勢いで
開け放つ窓の衝撃でしか
信じてもらえないことがある
これが真理だと何食わぬ顔で言い切る態度
辻褄合わせ
正解を引くのではなく正解にする
薙ぎ倒した犠牲者ごと連れ立つ覚悟
あるいは無視
「意気地なし」が脳裏を木霊する
清濁綯い交ぜの濁を背負う決心もないまま
何十年も生き永らえただけ
焼け落ちてしまえ
なんて自分の内心にしか言えた試しがない
だから焼け落ちるのは
世界でなくて 他人じゃなくて
潔癖で何もかも育めない
自分のほうだった
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