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詩歌

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自作の詩・短歌・長歌。東方Project二次創作含む。
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記事一覧

詩 わたしの一つ

やわらかな日差しに 踏みしだかれていると ずっとおもってた 屈託ない微笑みに つけ入られる…

詩 森の少女

髪の色と長さ 張り詰めた糸のうえ 訪れる落雷を 水平方向に歩ませて きみの頭上のおだやかさを…

詩 オブセッション

オブセッション                 純狐 ―――――――――――――――――…

詩 冬枯れの奏上

暖かさにほど遠い寒波は 冷たさにほど遠い季節にて 澱み 積層してきたものに由来している 熱…

詩 一炊の夢

盈月と虧月を往来し 苔生した巌でさえも 嵩を増した川面にのったりと沈みゆき その水面に一筋…

詩 焦げ落ちた星をながめて

満天を埋め尽くすひかりとともに 世界の屋根が崩れはじめてから もう何年も経ってしまった 星…

詩 牡丹雪

人いきれにより結露する車窓は走り去り 舗装されるはずだった坂に立ち尽くして 牡丹雪の降り積もるのを ただ指先をそっと前にかざしてみつめている 人前にさらけだすには 鋭すぎる瞳がきらめいて ここにはない草花の深緑を散らしながら 直線上に 指先の白雪へと注がれる 差した傘の中棒に頬をつける 熱を奪われることを望むかのように 白無垢らしき正装に身を包み 現実と夢想のはざまを 舞う華の吹雪に囲まれて いま空が暮れて焼け落ち 逆光に浮かぶ影になってくれればいい 生憎 どんよりと厚い雲

詩 淋漓

 淋漓 淀みをともない流れ落つる血の 淵源はいずこに 清水に混じりて清冽を混濁する 泉源は…

掌編+詩 不完全な獣牙

「そんなに見詰めることないだろ」  二の腕の膨らみ。滲む青い痕。それをまじまじと凝視して…

掌編+詩 存在を示す焚書

 一世一代、渾身の大論文が、大学に在籍する学者という学者から袋叩きにされ、陽の目を見るこ…

詩 暗きに落ちゆく明かりを臨む

渇く者は仰ぎ見る 世界を覆う天蓋から 永遠が滴り落ちてくる景色を 随喜渇仰、凝然と 拡散して…

詩 待ち人はおわりの時まで

 明日はぼくを待っていない。ぼくは浮かされるくらいの熱量が立ち去るのをじっと待っている。…

詩 鏡

 あるものが視線に反応しないとき、それは視る人にとっての鏡になる。視る人を構成する多面の…

詩 搔き消えていくその前に

ぼくは途方に暮れていた 真夜中の空に雲がまっすぐ伸びている それを肉眼は捉えることができる この地上よりはるか凍える上空の様相を いくつか知ることができる 怒りや喜びが喚起される それでも あの 真夜中の空にぼうと伸びる雲のように だれかにじっと見つめられ 悲しみや楽しさを呼び起こす存在に ぼくはなれたためしがない ぼくが必要とするものに ぼくはなれたためしがない ひとすじの雲は散っていき 情景と溶け合って一色になる ぼくがいま 果てしなく希求する存在も いつかなにかと混じ