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やわらかな日差しに 踏みしだかれていると ずっとおもってた 屈託ない微笑みに つけ入られる…
髪の色と長さ 張り詰めた糸のうえ 訪れる落雷を 水平方向に歩ませて きみの頭上のおだやかさを…
オブセッション 純狐 ―――――――――――――――――…
暖かさにほど遠い寒波は 冷たさにほど遠い季節にて 澱み 積層してきたものに由来している 熱…
盈月と虧月を往来し 苔生した巌でさえも 嵩を増した川面にのったりと沈みゆき その水面に一筋…
満天を埋め尽くすひかりとともに 世界の屋根が崩れはじめてから もう何年も経ってしまった 星…
人いきれにより結露する車窓は走り去り 舗装されるはずだった坂に立ち尽くして 牡丹雪の降り積もるのを ただ指先をそっと前にかざしてみつめている 人前にさらけだすには 鋭すぎる瞳がきらめいて ここにはない草花の深緑を散らしながら 直線上に 指先の白雪へと注がれる 差した傘の中棒に頬をつける 熱を奪われることを望むかのように 白無垢らしき正装に身を包み 現実と夢想のはざまを 舞う華の吹雪に囲まれて いま空が暮れて焼け落ち 逆光に浮かぶ影になってくれればいい 生憎 どんよりと厚い雲
淋漓 淀みをともない流れ落つる血の 淵源はいずこに 清水に混じりて清冽を混濁する 泉源は…
「そんなに見詰めることないだろ」 二の腕の膨らみ。滲む青い痕。それをまじまじと凝視して…
一世一代、渾身の大論文が、大学に在籍する学者という学者から袋叩きにされ、陽の目を見るこ…
渇く者は仰ぎ見る 世界を覆う天蓋から 永遠が滴り落ちてくる景色を 随喜渇仰、凝然と 拡散して…
明日はぼくを待っていない。ぼくは浮かされるくらいの熱量が立ち去るのをじっと待っている。…
あるものが視線に反応しないとき、それは視る人にとっての鏡になる。視る人を構成する多面の…
ぼくは途方に暮れていた 真夜中の空に雲がまっすぐ伸びている それを肉眼は捉えることができる この地上よりはるか凍える上空の様相を いくつか知ることができる 怒りや喜びが喚起される それでも あの 真夜中の空にぼうと伸びる雲のように だれかにじっと見つめられ 悲しみや楽しさを呼び起こす存在に ぼくはなれたためしがない ぼくが必要とするものに ぼくはなれたためしがない ひとすじの雲は散っていき 情景と溶け合って一色になる ぼくがいま 果てしなく希求する存在も いつかなにかと混じ