詩　反転と上昇

詩　反転はんてんと上昇じょうしょう

　灰色はいいろの柔肌やわはだ
　放射線ほうしゃせんで壊滅かいめつする髪かみは波打なみうち
　地中ちちゅうを穿うがつ逆さかさ城じょう
　十五じゅうご秒びょうあれば人ひとを辞やめる
　一いち年ねんあれば懐中かいちゅうへ忍しのばせる
　ひとの生涯しょうがいを台だい無なしにする覚悟かくごで
　流血りゅうけつでも止とめられない
　ラビット・ホールの夢ゆめ
　落下らっか　身みに纏まとう矢印やじるしだけは昇のぼる
　睨ねめつけていた空そらへ
　わたしから抜ぬけ落おちるように
　目指めざす方ほうへ駆かけていく
　この時ときを待まっていた
　値千金あたいせんきんの
　すべてを尽つくして得えられるものを
　ただ瞬間しゅんかんのものではない大嘘おおうそが
　成就じょうじゅする瞬間しゅんかんを
　待まってた

『東方とうほう輝針城きしんじょう』に登場する天邪鬼あまのじゃく『鬼人きじん正邪せいじゃ』を基にした詩