詩 渦巻き
詩 渦巻き
痛みを分かれない潮流が
ビル街に 一人ひとりに 一子相伝に
体内で渦巻く
きみのことはきみがなんとかするんだよ
というだけで助け舟も出さない
溺れ死ぬ直前になってようやく心配性の素振り
全員いなくなれ
未練なんて無い
でも わたしのことを助けた人も 物語も
きっと渦巻きと闘っていた
無際限に降り注ぐ重圧の
歯止めに誰かがなっていた
そのことに気づく前から
わたしの身の上のために
塵になったひとがいた
システマチックに積み上げられた屍の上で呼吸してる
きみが好きでたまらなかった時間も
ぜんぶ誰かの屍の上で屹立してる
泣き叫ぶ資格さえ
安穏を願う権利さえ
所在のわからない迷い人たちが
ぎりぎり繋いで成り立っているのが
今日までの日常だった