ギャラリー展示に関してのDMがきた。 怪しいと思い検索をすると、案外まともそうなところからだった。 展示会から声がかかるのはすごく嬉しい。 絵を描き始めてどのくらい経ったのだろうか。 とにかく図工や美術の時間はあまり好きな方ではなかったな。自分の作ったものを並べられるのは嫌だった。 確か四年生のときだったかな。夏休みの自由研究でのアイデア貯金箱を作った。作ったと言ってもお母さんが主体なんだけども。割り箸をボンドでくっつけて面を作り、箱状にしてペンギンを表現した。それが見事
一人で飲んでも、ずっと笑ってる。そう考えると笑い上戸って幸せものかもしれないな。 駅前の焼き鳥屋。カウンターに座り、焼鳥と日本酒をチビリ。うん。美味い。 しばらくして、ふわふわになってきたから、シメの焼きおにぎりを食べて駅に向かう。目に映る全てが面白く、一人でブツブツ喋りながらケラケラ笑っている。完全にやばい奴。そいつが電車に乗っても、ケラケラ笑っている。でもまぁ、田舎の車両で良かったよ。人も少ないからね。 とにかく楽しくて、でも一人。尾崎放哉の自由律のようだな。
目隠しをして歩いているようだ。 駅の構内で立ち食いそばに入り、山菜そばの大盛りなんかを啜る。そんな日があってもいい。 今日は休日。何もやることがなく、目覚めると12時を過ぎていた。日差しだけが暑いが気温は低い。漫画を読む気にもなれなく、ただ漫然と流れるyoutubeをBGMに時間が過ぎるのを体感するだけ。外に出ようにも足が上手く進まない。別にいいのだ。これで。 15時を過ぎるといよいよ外に出たい欲が湧いてくる。やらなくちゃいけない仕事を片隅に思い浮かべながら、そんなことは露知
そういえば、嫌いな話。 クラスでとある奴が「先生が誕生日だから、みんなでプレゼントあげようと思って、一人五百円だから、来週までに集金します」。 これ、これが嫌いだった。 お前が、お前らが気持ちよくなるために、どうして五百円も、出さなきゃいけないんだって。 そこからだ。こういう文化というか慣習というか、まぁ大嫌いだ。 職場でもある。誰々が辞めるから、最後にプレゼントをしましょう。 バカでねぇか。 今になってよく考える。そいつがいなくなるから、余計に大変になるのはこっちだ。私
久しぶりに平日の遅番シフトを踏んでいる。お昼に食べたオムライス2つが血糖値をグングン上げていき、今は眠気が襲ってくる。グワングワンと腹の底からエネルギーが湧いてはくるが、その半面眠くてたまらない。 新人さんを教えている日だが、あまりパワーは湧いてこない。新人さんは素晴らしい僕の2倍の年齢の初心者。でも丁寧な仕事で、落ち着いている。もちろんまだ全部を任せているわけじゃないから、慌ただしさの荒波に溺れるような介護を体験していない。あれをなんとかすることで一人前として認められる。1
さぁいよいよ秋か。と思った矢先に、半そでの方かいいのかなという気温が襲ってきた。暑かった。その半面で、この時間は涼しいというよりちょっと寒い。 相変わらずに、今日もチーズとクラッカーは美味いし、休みの日だからと言って職場から電話はかかってくる。もう慣れてしまったと言ったら、それまでだが。 お昼にサイゼリヤに行ったら、入り口に「トイレ故障中」の文字。それでも賑わっていたのだから驚きだ。故障中の貼り紙に加えて、スタッフさんが入り口から入ってくるお客さんに口頭で説明をしている。何組
急に暑いな、今日は。 フェーン現象による夏が再来したのか。日陰はカラッとしているが、風が熱を運んできやがる。涼しいと暑いの境目。 夜勤明けの翌日は一日フリーだから、頭の中を空っぽにしたまま過ごせる。よく寝たと思えるから、身体も軽く感じる。7時から8時に目が覚めるから、一日が長い。何をしようか考える前に、目の前のノートパソコンはYou Tubeを再生している。 毒されている。日常に流れる毒。 毒されたまま、外に出る。もちろんなんの準備もせずに。誰に会うわけでもないから、寝癖な
涼しいはずの長雨に、汗まみれでウダウダしている。雨の日の憂鬱な感じはいつまで経っても拭いきれないし、教室から見る灰色の校庭みたいだ。 賑やかなのは一部の奴らだけ。喫煙所の地面は相変わらず泥濘んでいるし、パラパラと小雨が降り注ぐ。いつの間にか霧雨に変わっているが、傘嫌いの僕のメガネは細かい水滴に纏わり付かれている。憑き物。 コンタクトにしてみたいけども、何だか怖いなって子供みたいなことを思いながら、今日もメガネだ。 フロントガラスに雨が当たり、ワイパーで除けるけども見にくさは
蒸し暑い9月1日。防災の日らしいが、世間は災害だらけだ。 人の機嫌ほど読みたくないものはないだろう。どうあがいても人災だ。機嫌の良し悪しとは、一体なんだろうか。そんなもの知るか。みんな毎日を平和に過ごしたいだけ。自分の感情を表に出すなよ。滲み出でくるから仕方ないか。ジワジワと。石肌を撫でる水のように。 今日から肩書が変わった。つまりは昇格というやつだ。でも肩書はあくまでも肩書。他者が見てなるほどと頷くようなものだ。嫌いだ。肩書。 同じ音楽をリピートしながら、リラックス。秋を
夏真っ盛りの気温はだいぶおさまったかなと。 それにしてもここ最近は秋なんてないかのように、暑いからの寒いに移行していく。寒くなったらタバコが美味くなる。そう思うのは僕だけだろうか。 今日は夜勤明け翌日の朝からZoomでの会議。身体はスッキリしているのに、せっかくの休みを蔑ろにしている感。 もちろん明日からは通常勤務。うんにゃ。 久しぶりに文章を書くと、なんだか頭がまとまる感じがする。散文だけどもね。 セミがジージー鳴いているのが、イヤフォンをしているのに聞こえてくる。暑す
どんなにあり得ないことが起きたとしても、日常は流れていく。 夕方にテレビでワイドショーをボーっと眺めていると、突如、緊急放送に切り替わった。 どうやら怪獣が現れたらしい。 都内のビル群を破壊しながら、ズンズン突き進む怪獣の映像が画面いっぱいに映し出される。さっきまで、暇で暇でしょうがなく、床に同化しそうになっていた。なのに、数秒後には日常が崩れていく。怪獣。なんだ、あれは。 美咲は丁度、夕飯のおかずを買いに出かけたばかりだ。 「今日何がいい?」 いつものように聞かれたので、
犬を散歩させるとき飼い主はリードをつける。牢獄では囚人に足枷を嵌める。賑やかな場所では親は子供と手を繋ぐ。宝物は鍵をかけて保管する。恋人たちは愛し合い、肩を寄せて街を歩く。どれも理由は同じもの。 とある街に貧しい少女が住んでいた。名前は無い。両親からは「おい」とか「お前」とか「クズ」と呼ばれていて、後は叩かれるか物を投げつけられるかで呼ばれていた。 ある日少女がいつものように口の周りを血の味にさせて、目を腫らせ、耳を抑えながら腐った牛の毛皮にくるまって夜を過ごした時、夢を見
変だ。変だ。何かが変だ。奇妙な感じ。不気味な感じ。空気感が淀むような、二日酔いの朝方みたいな、霧の中を歩くような、酩酊しているような。 人間生きていると様々な【不思議】に出会い、それを【経験】する。 それは夢なのか現実なのか幻なのか。なんだか江戸川乱歩みたいなことを言っているけども。でも、事実は小説よりも奇なりって言葉が存在するように、変なことばかりあるのが現実で、それを受け入れて生活しているのが日常なんだ。毎日がどこかしら変で、他の人から見れば誰しもが狂人に見える。 人間
お父さんが疲れた表情を浮かべながら、帰ってきた。僕らはそれを受け入れ、迎い入れる。 「おかえりなさい」 お父さんは袋を取り出すと、僕に渡した。 「今日は3本だけだったよ。すまないね」 残念そうに溜息を洩らす。このところ、本数が減っているのは僕にもわかる。取れなくなりつつあるんだ。 「お母さんは台所か」 僕は頷いた。 夕飯の前にお父さんとお風呂に入る。 「最近はどうも上手くいかなくてな。本数が減ってるんだよ。こればかりは支給物資に含まれないからな。とりあえず、俺たち家族分だけ
映画が流されている。映画が。それは子供さへも嫌悪感を抱く内容で、椿の花が乾いたアスファルトに落ちていくものだった。溜飲を下げることはできない。虫唾が走る。赤子の首を落とすかのように、理路整然と並べられたドミノが一気に倒れて行った。向かう先は、矛先は誰だろうか。 レイトショーを見終わると、外には人が疎らで、曇天からポツポツと小雨が降り落ちてきた。傘をバックから探すが、見つからない。職場のロッカーにいれっぱなしだった。溜息が冬の空気に冷やされ、白く濁っている。 鈍色の空と無人の
少女は少年に憧れて、幼いころから伸ばし続けた髪の毛を無造作にハサミで切り落とした。放課後の教室。床にばらつく細い猫っ毛が、窓からそよぐ風に流れていく。 こんな辛い思いをこれからも続けていくのなら、いっそこうやって卒業してしまえばいいんだ。 不意に目からあふれ出す生理液に驚きながらも、少女はじょきじょきと切り続けた。 二度と思い出したくないような経験。誰にも干渉されない世界に飛び込めたら、この劈くようなノイズから解放されると信じて。現実にさようならできるのなら、夢の世界に、想像