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音楽創作と自己表現

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音楽作りは畑仕事:メロディーの耕作術

音楽作りは畑仕事:メロディーの耕作術

音楽と農業。一見まったく異なる分野に思えるこの二つの世界に、驚くべき共通点があることをご存知でしょうか。作曲家であり大学教員でもある小松が、自身の経験を通じて語る「音楽作りは畑仕事である」という独自の哲学は、創造性と自然の調和を探る旅へと私たちを誘います。

畑に育まれた感性私の幼少期の記憶は、豊かな自然に彩られています。京都府北部の丹後半島。天橋立が眼下に見下ろせる丘に位置する家の前には、竹やぶ

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作曲するのにメロディとコード、どっちが大切?

作曲するのにメロディとコード、どっちが大切?

※この記事は音声プラットフォームVoicyで配信した内容を元に文章化しています。是非、Voicyの小松番組のフォローをよろしくお願いいたします!!

「作曲において最も重要なのは何か?」これは私がよく受ける質問のひとつです。メロディーか、それともコードか。この永遠のテーマに対して、私自身の体験や考え方をもとに、作曲の本質について語りたいと思います。

メロディが音楽の本質を形成する作曲について多く

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禅の心で音楽を生み出す:即興と偶然の力

禅の心で音楽を生み出す:即興と偶然の力

音楽を作るとき、意図を排除し、偶然性に身を委ねることは、新しい創造の道を開く鍵となるかもしれません。禅の思想を取り入れた作曲の方法についてお話しします。意図せずして生まれる音、その瞬間の流れに身を任せることで、どんな音楽が生まれるのか、想像してみてください。

偶然から始まる音楽の旅今日は、少し哲学的なテーマについてお話ししてみたいと思います。タイトルの通り、禅のように音楽を作る、という話です。禅

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毒となる要素を入れると表現は深くなる

毒となる要素を入れると表現は深くなる

音楽表現の世界で、「毒」が新たな表現の扉を開くことがあります。違和感や不協和音、ノイズ。これらは往々にして避けられがちですが、実は創造性を刺激する重要な要素なのです。

聴きやすさの先にある魅力音楽を聴いていると、時に「何か違う」と感じる曲に出会うことがあります。一般的には聴きやすい曲が好まれる傾向にありますが、実はその「違和感」こそが、私たちの耳を惹きつける要素なのです。

初心者の方は往々にし

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新しい道具で切り開く、音楽創作の未来

新しい道具で切り開く、音楽創作の未来

皆さん、新しいツールを使うことが、創作の世界をどれほど広げるかを考えたことはありますか?伝統と新技術を融合させることで、作品の質が飛躍的に向上することがあります。私は、京都の伝統工芸師の一言がきっかけで、ピアノとコンピューターを併用した作曲に挑戦し、その結果、音楽制作のアプローチが大きく変わりました。この経験を通じて得た洞察を、皆さんにお伝えしたいと思います。

伝統と革新の狭間で私は作曲を始めて

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3つの「寝かせる」知恵:感情、創作、仕事のバランス術

3つの「寝かせる」知恵:感情、創作、仕事のバランス術

日々の生活や仕事の中で、つい感情的になってしまうことは誰しもあります。また、創作活動においても、何かを作り上げる瞬間が訪れる一方で、アイデアの断片が散らばることも多々あります。さらに、仕事が複雑に絡み合って、どうにもならなくなる時もあるでしょう。そんな時、少し立ち止まって「寝かせてみる」という選択が、意外な解決策をもたらすかもしれません。今回は、私が日々の経験から学んだ「寝かせる」知恵についてお話

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あまり知られたくない、小松が作曲する本当の理由

あまり知られたくない、小松が作曲する本当の理由

音楽家は、なぜ創作活動に身を投じるのでしょうか。その理由は千差万別で、時に言葉にするのが難しいものです。今回は、音楽創作の根源的な動機について、率直に語ってみたいと思います。

演奏技術の限界が生んだ創作の衝動私が作曲を始めた理由、それは意外にも自分の演奏技術の限界にあります。正直に申し上げますと、私はピアノの演奏が得意ではありません。クラシック音楽の名曲、ドビュッシーやベートーヴェン、バッハやモ

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