見出し画像

あまり知られたくない、小松が作曲する本当の理由

音楽家は、なぜ創作活動に身を投じるのでしょうか。その理由は千差万別で、時に言葉にするのが難しいものです。今回は、音楽創作の根源的な動機について、率直に語ってみたいと思います。

演奏技術の限界が生んだ創作の衝動

私が作曲を始めた理由、それは意外にも自分の演奏技術の限界にあります。正直に申し上げますと、私はピアノの演奏が得意ではありません。クラシック音楽の名曲、ドビュッシーやベートーヴェン、バッハやモーツァルトの作品など、素晴らしい曲が世に溢れています。しかし、私にはそれらを満足に弾きこなす技術がないのです。

音楽大学に入学できる演奏レベルにも程遠く、競争を通じて技術を磨いてきたわけでもありません。私のピアノとの関わりは、まるで呼吸するかのように自然な形で始まり、今もそのスタイルを貫いています。そのため、人前で演奏することと私の技術レベルの間には、大きな矛盾が生じています。

自己表現の新たな道を探して

しかし、音楽への情熱は技術の壁を超えて、私を創作の世界へと導きました。自分の耳で聴きたい、自分の手で奏でたい曲があるのです。音楽フェチである私には、自分の手で音を生み出し、その響きを自己の内部で循環させたいという強い欲求があります。

大学生時代、ニューエイジミュージックに魅了され、西村由紀江氏、村松健氏、和泉宏隆氏、中村由利子氏など、多くのアーティストの楽譜を購入しました。しかし、それらを弾こうとしても、指が思うように動かない。電子オルガンからピアノに転向したばかりの私には、高度な技術を要する曲は手に余るものでした。

創作という解決策

そこで思いついたのが、自分で曲を作ることでした。自分のレベルで弾ける、しかも自分が満足できる曲を作れないだろうか。そんな思いから生まれたのが、私のファーストアルバム「The Scene」です。これは単なる衝動的な創作ではなく、自分の演奏レベルに合わせた、自己表現の新しい形を模索した結果でもありました。

気がつけば、300曲、400曲と、自分のレベルで弾ける、自分の呼吸に最も合った響きを持つ曲を作り上げていました。私の曲の多くは、技術的には初心者でも弾けるレベルです。しかし、その表現や呼吸法は、意外に難しいと言われています。

簡素さの中に潜む深い表現

意外な話になりますが、私の曲は一見シンプルで弾きやすそうに見えて、実は非常に繊細な表現を要求します。YouTube上には世界中の方々が私の曲を演奏する動画がありますが、正直なところ、私の意図する表現を完全に再現できている演奏にはまだ出会ったことがありません。

これは「小松トラップ」と呼べるかもしれません。簡単そうで、実は極めて難しい。それは、歌心や呼吸感、身体性といった、言葉で表現しづらい要素が重要だからです。私の曲を本当に演奏するには、空気や水の中を漂うような、風になって流れていくような感覚が必要なのです。

創作の真髄:自己との対話

結局のところ、私が作曲を続ける理由は、自分自身との対話にあると言えるでしょう。技術的な限界を克服し、自分の内なる音楽を形にする。それは、自分自身を深く理解し、表現する旅路なのです。

私の音楽創作は、単なる趣味や職業を超えた、自己実現の手段となっています。技術的な制約がある中で、いかに自分の感性を音に乗せるか。その挑戦が、私を作曲家として成長させ続けているのです。

音楽は、演奏技術だけでなく、心と体全体で表現するものです。私の曲が、技術的には簡単でありながら、深い表現を要求するのは、まさにこの理由からです。これからも、自分にしか作れない、自分にしか表現できない音楽を追求し続けていきたいと思います。

皆さんも、音楽を通じて自己表現の新たな可能性を探ってみてはいかがでしょうか。技術の壁に阻まれても、創造性を発揮することで、必ず道は開けるはずです。音楽は、私たち一人一人の内なる声を世界に届ける、素晴らしい媒体なのですから。

🔸書籍【Amazon】
https://amzn.to/3H3a864

🔸音楽【Spotify】
https://open.spotify.com/intl-ja/artist/6EeYq4J3QdKusSaCarhC80?si=btsjwTi-TK-ecDKMc6muWQ

🔸音楽【CD&楽譜】
https://nekomatsu.shopselect.net

🔸動画【YouTube】
https://www.youtube.com/channel/UCzy0noHLCgUe-xLnn0ig3Cg

🔸お仕事依頼&質問フォーム
http://www.nekomatsu.net/contact/


いいなと思ったら応援しよう!

小松正史
よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!