小松正史
私たち現代人は、日々新しい情報に囲まれ、最新のトレンドを追いかけることに忙しい毎日を送っています。そんな中で、「古典なんて今の時代に必要なのだろうか」という疑問を持つ方も少なくないでしょう。しかし、私の教育者としての経験から言えることは、むしろ情報過多の現代だからこそ、古典の持つ普遍的な価値が輝きを増しているということです。今回は、古典の現代的意義について考えてみたいと思います。 原石としての古典 - その純度の高さが持つ意味大学で音・音環境やサウンドスケープ論を教えている
近年、動植物に音楽を聴かせることで様々な効果が得られるという話を耳にする機会が増えています。乳牛の生産性向上から、野菜の糖度アップまで、その効果は多岐にわたるとされています。しかし、音楽家であり教育者である私の立場から見ると、この現象には慎重に検討すべき様々な側面があります。今回は、音楽と生命の関係性について、科学的な視点とアート的な視点の両面から考察してみたいと思います。 音楽効果の真相を探る私たちの周りには、動植物に音楽を聴かせることで驚くべき効果が得られるという話が溢
音楽の世界には、表舞台では見えない数々の秘密があります。特に、演奏家たちが本番前に行う儀式的な準備は、その人の個性や哲学を如実に表すものです。今回は、私が長年培ってきたピアノ演奏前のルーティーンについてお話しします。これは単なる技術的な準備ではなく、心と体、そして空間との対話なのです。 ピアノとの対話:空間へのリスペクトピアノ演奏の醍醐味は、その場所、その瞬間にしか生まれない音楽を創り出すことにあります。そのためには、演奏する場所や楽器に対する深い理解と敬意が不可欠です。私
音との関わり方は私の人生の重要な部分を占めています。特に、移動時間や仕事の合間の音楽鑑賞や音声コンテンツの視聴において、イヤホンの選択は極めて重要な要素となっています。今回は、オープンイヤー型イヤホンを半年間使用した経験から、音響機器の選び方と使い方について、実践的な知見をお伝えしたいと思います。 イヤホン選びの旅:骨伝導からオープンイヤーへ私の音響機器との付き合いは、常に進化を続けています。以前使用していた骨伝導イヤホンを大学構内で紛失したことをきっかけに、新たなイヤホン
私たち人間は、つい目に見える情報だけで相手を判断してしまいがちです。髪を派手に染めた学生、個性的な装いをした若者、一見すると「普通」に見える人...。しかし、23年間の教育現場での経験を通じて、私は人間の本質は外見からは決して推し量れないという深い気づきを得ることができました。今回は、視覚的な思い込みを超えて、人との真の出会いを育むためのヒントをお伝えしたいと思います。 外見という「仮面」を超えて大学教員として様々な学生と接する中で、最も印象的だったのは、外見と内面のギャッ
朝、目覚めたばかりの頭の中で、その日のプランを練る。これが、重い腰を上げるための私の秘策です。寒い朝、布団から出るのが億劫な時こそ、この方法が効果を発揮します。具体的なイメージを描くことで、やる気が自然と湧いてくるのです。今回は、この朝の妄想タイムが持つ可能性と、それを活用する方法についてお話しします。 朝の寝床:創造力の源泉冬の朝、目覚めたばかりの頭は不思議なほど冴えています。一晩の睡眠で整理された脳は、新しいアイデアを生み出す準備が整っているのです。私は毎朝6時頃に目覚
私たちの日常に深く根付いた「癒し」という言葉。その響きは心地よく、多くの人々を魅了してきました。しかし、この言葉の裏側には、私たちが気づかないうちに陥っている罠があるのかもしれません。今回は、「癒し」という概念の変遷と、その商品化がもたらす影響について、音楽や社会の変化とともに紐解いていきます。そして、真の癒しとは何か、私たちはどのようにして自分自身を癒すことができるのか、その道筋を探っていきましょう。 癒しの語源と変遷「癒し」という言葉、皆さんはどのように使っていますか?
音楽家として活動を始めて20年以上。気がつけば、趣味だった音楽が副業として確立していました。副業を始めるには、計画的なアプローチと偶然の出会いの両方があります。私の経験から、副業の始め方と継続のコツをお伝えします。あなたも、好きなことを仕事にする可能性を探ってみませんか? 私の経験が、皆さんの人生攻略のヒントになれば幸いです。 副業との出会い:計画外から始まった音楽活動私の副業との出会いは、実は計画的なものではありませんでした。むしろ、自分の表現欲求を満たすための活動が、気
日々の生活の中で、私たちは膨大な情報の波に揉まれています。SNSのタイムライン、新聞の見出し、本屋での偶然の出会い、友人との立ち話...。これらの情報の波をどのように受け止め、自分の糧としていくのか。長年のフィールドワークや作曲活動を通じて培った、私なりの情報との向き合い方についてお話ししたいと思います。 情報との出会い:フローの本質私たちの周りには、常に予測不可能な形で情報が流れています。これを私は「フロー」と呼んでいます。例えば、新聞を読んでいると、目的の記事以外にも思
誰でもアーティストになれる時代 「音楽を作るなんて、特別な才能がないと…」そんな風に思っていませんか?実は、現代では、誰でも気軽に音楽制作を楽しめる環境が整っています。スマートフォンやパソコン、そして少しのアイデアさえあれば、オリジナルの楽曲を制作することができるのです。 音楽制作は、冒険の始まり 音楽制作は、まるで冒険に出かけるようなものです。未知の音楽の世界を探索し、自分だけのサウンドを作り出す。それは、ワクワクするような体験です。 音楽制作の第一歩 音楽制
音楽を奏でる全ての人へ。「継続は力なり」という言葉は、誰もが知っているものの、実践することの難しさも痛感している方が多いのではないでしょうか。私自身、作曲家として、また大学教員として20年以上音楽と向き合ってきましたが、その過程で培った「継続のための仕組み作り」について、今回は詳しくお話ししたいと思います。 継続の本質は意志力ではない多くの人は、「やる気」や「根性」で継続できると考えがちです。しかし、それは大きな誤解です。脳科学の見地からも、意志力だけで習慣を維持することは
私たちの生活の中で、会話は空気のように当たり前の存在です。しかし、その一つ一つを丁寧に紐解いていくと、そこには深い意味を持つ人間関係の縮図が見えてきます。特に印象的な話し手の背後には、必ずと言っていいほど優れた聞き手の存在があることに気づきます。私自身の経験を通じて、この興味深い関係性について考えていきたいと思います。 話し手として育った環境振り返ってみると、私は幼い頃から人前で話すことに比較的抵抗がありませんでした。それは決して生まれつきの才能ではなく、むしろ環境が私をそ
私たちの周りには、無数の音が溢れています。しかし、その豊かな音の世界に意識を向けることは、意外と少ないのではないでしょうか。今回は、京都の三条商店街から自宅までの10分間の音の旅をご案内します。この短い道のりで体験する音の変化は、音楽制作や創造的活動に携わる方々にとって、新たなインスピレーションの源となるはずです。さあ、私と一緒に音を探す旅に出かけましょう。 都市の音迷路へ夕暮れ時の三条商店街。アーケード街の中で、私は一旦足を止めます。観光客の話し声が、まるで音の万華鏡のよ
夕暮れ時の上賀茂神社で、私は川のせせらぎに耳を傾けています。人工知能による音楽生成が日々進化する中で、この神聖な場所の自然音は、私たちに深遠な真理を語りかけているように感じます。技術と自然、その境界線で見えてくる音の本質について、フィールドレコーディングの現場からお伝えします。 古都の聖地が奏でる水の調べ上賀茂神社は、京都の北部に位置する由緒ある神社です。近くには京都精華大学や京都産業大学があり、都市と自然が交差する独特の場所性を持っています。この場所で私が特に注目している
私たちの人生には、決して写真や映像だけでは捉えきれない、音の記憶が刻まれています。駅のホームに響く列車の轟き、懐かしい人々の声、季節の移ろいを告げる虫の音。そんな音風景を記録し続けてきた私の40年に及ぶ 大音の旅 を、録音機器との出会いを通してお話ししたいと思います。この物語は、単なる機器の進化の記録ではなく、音との対話を通じて見えてきた、人生の豊かさについての考察でもあります。 3歳の少年と声の魔法1980年代初頭、一台のテープレコーダーとの出会いが、私の人生を決定的に変
私たちの人生において、道具との出会いは時として運命的な巡り合わせのように思えることがあります。特に音楽家にとって、楽器との出会いは人生を左右する重要な転換点となることも少なくありません。今回は、私自身のピアノ選びの経験を通して、道具との深い関係性について考えてみたいと思います。そこには、単なる物質的な選択以上の、人生の質を高める重要な示唆が含まれているのではないでしょうか。 感性が導く楽器との出会い楽器選びにおいて、最も重要な要素の一つが触覚です。音色ももちろん大切ですが、