マルセイユ5 浮遊する建築
コルビュジェが唱えた「近代建築の5原則」のなかで、私が最も好きなアイデアは「ピロティ」だ。水平連続窓や自由な平面、自由なファサードといった、技術の進歩で可能になったデザイン上の自由だけでなく、ピロティからは都市問題に対する強い願いを見出すことができる。建築を浮かせることで、地上をパブリックに開放する。その発想が好きだ。都会では、建築物に大地という大地を侵食され、屋外で人々が過ごせる場所は、隙間を縫うような道ばかりだ。富める者には快適な部屋、シェルターがあるから別に良いだろう。