「夢売り人(びと)」ー詩ー
夢売り人(びと)は
お金持ちの人には
法外な価格で
夢を売る
お金持ちは
渋い顔を しながらも
お札で 膨らんだ
財布を 取りだし
にんまりして
夢を受け取る
夢売り人は
悲しみで 生きる甲斐を 失くし
心が 枯れてしまった
人たちの 家にもやってくる
籠に詰めた 夢と
コップ一杯の
熱いお茶を おいて
黙って 去っていく
お金に 困っている人には
眠っている ときに
星のかけらの 夢を
ばらまいて いく
誰も 夢売り人が
どこに 住んでいるのか
いつ やってくるのかを
知らない
街の通りで
花を売る 幼い
少女だけが
夢売り人を 呼ぶ笛を
持っているという
言い伝えがあるだけだ
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