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Photo by
sagako0302
夢を見る様に見慣れた風景1321日
雲一つないから寒く感じる冬の朝
田んぼの真ん中を走る
太陽も寝ぼけ眼でのぼりたて
家族よりも長い付き合いの太陽との関係は
いつまでたっても縮まる事もなく
互いに気が向くときだけ
目を合わせるような関係性
夢を見る様に眺める見慣れた風景でも
季節が変われば受ける印象も変わる
冬の朝は寒くて歯がかちかちと勝手に鳴りだすが
次第に体が温まってくるに従い収まっていく
枯れ木の様に立ち並ぶ電柱
電線に停まって羽を休ませているスズメたち
どこに向かって旅立つのか
僕は興味があるが話しかければ
きっと何も言わずに彼らは
どこかに飛んでいってしまうだろうから
そうなると話しかけたのが寂しくなる
何も聞かない
僕は黙ってその場を後にする
冷たい空気の中で悴む指先を
もう片方の手で揉みながら
温めながらいつものように
律儀にまっすぐに走っていく
行く当てはないが走っているだけで
満たされていくのは不思議な感覚だ
冬の朝の太陽が背中に
ふんわりとのしかかってくるのが心地よい