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Photo by
hoho8888
月明かりの下を走る
今宵も夜空にはお月様
黄色い輝きを放つ球体
見上げて話しかけても
やっぱり今日も何も言ってはくれないけれど
その寡黙さがむしろ魅力的
そこが気に入っている
返事が無くても話しかけたくなってしまうのは
気になるあの娘に振り向いてもらいたい
心境にも似ている気がする
真夜中の河川敷をランニングしている時
僕の姿は彼女からはどんな風に
うつって見えてるのかな
何やら小さな生き物がしきりにこちらを
振り返っては見てくるなあと思うのか
興味はないがとりあえず笑顔を見せておこう
とでも思っているのか僕には分からないが
月の明かりはとにかく全くあいかわらず美しい
足を動かしては確かめる
前に進んでいると言う感覚
心臓を高鳴らせては肺を動かし
息を吸っては吐いて
全身に巡らせる血潮
じんわりと背中に汗の感触
どこまでも走れそうな明るい夜だった
どこまでも走ってやろうと昂る夜だった
昼間の熱が嘘かのように
涼やかで走りやすい夜だった
月に見つめられていると
思うだけで嬉しいと感じるのは
僕が単純だからか
はたまた男の子だからか
黄色い声援は聞こえないが
そこにいてくれるから
僕はまだまだ走れる
彼女が西の空に沈むには
まだまだ夜はこれから
深まりにハマる僕は
夢を見ているかのように走っていく
明るい夜の河川敷を走り続けていく