魂の叫び かつての夏を思う
半ばやけくそ気味に聞こえるセミの声
照りつける日差し
昼日中の時間帯
誰もいない空っぽの公園
セミたちだけが鳴いている
かつては虫取り網を手に持った
子どもたちの姿を公園内の
あちらこちらで見かけたのに
最近じゃもう虫取り網を
手に持つ子どもの姿を探す方が難しいくらい
好奇心煌めく眼差しで
セミが鳴いている木々を探しだし
ワクワクしながら虫取り網を振り回していた
彼らはどこに行ってしまったのか
セミたちは呼ぶ
かつてのひりつく生命のやり取りを
再び楽しみたいのに
子どもたちが居なければ味わえないから
自分たちを求めて見上げる
あの一途なまでの熱量も
子どもたちが居なければ味わえないから
帰ってきておくれ
戻ってきておくれ
また一緒に遊んでおくれよ
かつての夏の取り戻す為に
必死に半ばやけくそ気味に
セミたちは今日も鳴いている
誰もいない空っぽの公園で
虫取り網片手に握りしめた
子どもたちの姿を待つ様に
セミたちは今日も鳴いている
燃え盛る球体から降り注ぐ熱光線
本日もぐんぐん気温は上昇していく
地面の上でゆらゆら揺れる大気
セミたちは負けじとシャーシャー鳴いている
思いよ届いておくれ
願いよ叶っておくれ
魂の叫びがこだまする
心揺さぶる歌声が
誰もいない公園を夏色に染め上げている