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2021年12月の記事一覧

わたしがパンを焼くとき

わたしがパンを焼くとき

 パンを焼いた。この小麦で今年収穫した麦を使い終わることになる。私のパンは、私が昨年の晩秋に種を畑に撒いて、収穫して、石臼で挽いた小麦粉を使う。
 品種は「ゆきちから」という品種。秋、麦を蒔いて、厚い厚い雪の下で冬を越し、春になったらぐんぐんと伸びていく麦の芽たち。
 石臼は、近くの石屋さんに特別に作ってもらった、墓石のように磨かれた石臼だ。石臼でゴリゴリ挽くときは、麦の種が少しずつしか挽けなくて

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ハッピーを見つける探偵になれそう。

ハッピーを見つける探偵になれそう。

 久しぶりにアイドル的に好きになってしまった人に出会いました。それはマーティン・フリーマン
  動きがとても可愛いのです。鼻の大きさとか、口をムッとしたときの口横の皺とか、ペンギンみたいな体を上下させながら歩いている様子とか。ほんとうに全てがかわいい。

 それはさておき、ドラマ「シャーロック」を観ています。Netflixで、1話約1時間半の長編、1シーズン3話の4シーズンまで配信されています。

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ヒリヒリするのはチャンスかもしれない。

 人との連絡のやりとりで、よく使うLINEやメッセンジャー、Instagramや Twitterのダイレクトメッセージ機能、略してDMと呼ばれるもよく使われる。

 このような連絡の取り合える機能はとても便利だ。便利だからこそ改めて気をつけないといけないな、と思うのが言葉が表す意味やその言葉の使い方。なかでも、自分はそういう風なニュアンスで使っていなかったものでも、相手にはネガティブなニュアンスで

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ひとの過去に触れながら空き家で生きる

ひとの過去に触れながら空き家で生きる

 私は今、曾祖父の家に住んでいます。曾祖父は10年前に他界して、この家はそれからずっと空き家になっていました。空き家になったといっても、私の祖父母が定期的に管理をしに来ていたそうです。

 この曾祖父の空き家に住み始めた頃、生前使っていたものや、祖父母が家で使わなくなった家具家電を持ち込んでいて、家の中は物で溢れていました。移動するのにもやっとなくらい所狭しと置かれた物たち。私も持ってきた自分の家

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しいんと静かなみずうみを持つ

しいんと静かなみずうみを持つ

 不意に6年前の写真をもらいました。「懐かしいの出てきた」というメッセージと一緒に届いた、私の昔の写真。カバーの写真は友人の写真家の人と、島サイクリングをしたときの写真です。

 本日27歳の誕生日を迎えました。周りの友人たちは結婚して、新しい家族ができて...そういう年齢になったんだ、というのは同年代の友人たちともよく話題になることです。
 この写真の頃の私は、「山で猟をして暮らす」ということに

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毎日800字書こうと思ったわけ

毎日800字書こうと思ったわけ

 毎日800字の文章を書こうと思ったのは、800字の雰囲気を自分の頭の中から無くしたくなかったからです。

 新聞の連載も800字という形式が決まっていて、それぞれのテーマについての最初の導入から起こったことや取り組んでいること、最後に自分の考えをまとめる流れで、だいたい800字を少し越すくらいのテンポが自分の中にできてきた感覚がありました。毎週の連載だったので、2年弱の連載で80回になり、繰り返

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島しょ部→フェリーの看板にときめく

島しょ部→フェリーの看板にときめく

 久しぶりに家族と外で会う。私の生活の変化と、誕生日が間近だからか、家族のみんなが買い物に連れ出してくれました。連れ出すといっても、港での待ち合わせ。過疎地での山暮らしを6年間していたので、移動はめっきり自家用車のため、久しぶりに公共の乗り物に乗る緊張で、何度も時刻表と料金表を見てそわそわしてしまいました。

・ ・ ・

 朝、前

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朝、パン屋さんの窯入れを見学して、草刈りをバリバリやった日

朝、パン屋さんの窯入れを見学して、草刈りをバリバリやった日

 朝6時半、パン屋さんへ向かう。もちろんまだオープンされていないのですが、昨日見学をお願いして見せていただけることになった。
 ただただ、今日の日記です。

         ・ ・ ・

 暗くて、あまり慣れない道を進むと、パン屋さんの窯のお部屋にオレンジの光がぼんやりと見えた。ワクワクしながら扉を叩くと、「どうぞ」と優しい笑顔が見えました。中に入ると、ボワッと熱

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自転車でパンを買いに

自転車でパンを買いに

 昨日、自分の過去と今の状況に鬱々と向き合って、絞り出した言葉を書いてしまったので、今日は明るく軽快な自転車と、素朴なご飯のように食べるパンの話を書きたいと思います。

 5年くらいの付き合いになるFujiのピストバイク。フジフェザー
白くて細くて軽くって、ナウシカのメーヴェに乗っている気分です。

 少し遠出して、しまのパンsouda!さんへ。
地域おこし協力隊として活動されていた女性が開かれた

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散弾銃で死のうと思ってしまった

散弾銃で死のうと思ってしまった

 今年の春、猟銃を手放すことに決めました。猟師をしたくて山で暮らし始めてから6年目の春でした。
 猟師を目指すことに決めたのは、猟師を仕事にしたり、有害駆除と呼ばれる取り組みに参加して、お金を得るためではありませんでした。単純においしいお肉を自分の手で捌いて食べたい。自分も山で1匹の生き物として他の生き物と対峙したいと強く思っていました。

 実際にカモを撃ったり、イノシシを山でとって、里まで引っ

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水先 今日の散歩の記録

水先 今日の散歩の記録

 今日は25,000歩。
 歩くのは好きです。そして、自分のこころの中のモヤモヤがどうにも抑えられなくなった時にひたすら歩きます。
何年か前は京都4泊5日で、1日平均50,000歩歩いたことも。新撰組のゆかりの場所歩き、この話もおもしろい(私が思い出すのが)ので、また機会があれば書きたい。

 寒いかな、と思いつつ青い厚手のセーターだけ。いつものジャンパーは羽織らずに、お気に入りの軽いリュックを背

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美しかったろうな。

美しかったろうな。

 毎日を暮らしていくうえで、1日を棒に振ってしまうのが怖くて、最低限のやることを書き出すことにしました。
 書いておくと、いったんやるべきことが自分にしみ込むような感じがします。今日は他に郵便局へ行く、とか、フェリー乗り場の下見をしに行くこともやったから、120点満点。

 やり終えたらチェックを入れる。力強くピピっとブイをいれました。

 掃除をしていると、思わず手を止めてうっとりとしてしまうも

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頭のなかにあるなんとなく 

頭のなかにあるなんとなく 

 指のカサブタが、そろそろだよっていうように膨らんできました。中指の節の下にあるお米より一回りほど大きなカサブタ。でも早くと焦って剥がしてはいけない。これくらいの固さと、固さの下にあるカサブタの足の先のあたりがまだ柔らかくて、新しい皮膚の上にまだ立ち上がっていない気がするのです。
 私はカサブタは早くに剥がしてしまうタイプの人でした。膝っこぞうのカサブタは、何度も早く剥がしすぎて、膝に三角の「きっ

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