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島しょ部→フェリーの看板にときめく


 久しぶりに家族と外で会う。私の生活の変化と、誕生日が間近だからか、家族のみんなが買い物に連れ出してくれました。連れ出すといっても、港での待ち合わせ。過疎地での山暮らしを6年間していたので、移動はめっきり自家用車のため、久しぶりに公共の乗り物に乗る緊張で、何度も時刻表と料金表を見てそわそわしてしまいました。

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 朝、前の夜に準備しておいた服を着て、ピアスとネックレスを身につけて、磨いておいたレースアップシューズを履きます。自分が好きなものを身につけているとこころが軽い。少しドタバタと家を出たら、朝の海の横を走りながら、調べておいた島の港まで車を走らせます。
 港に着くと、渚と港のついた名前のお店が並んでいました。「はやしお」と書いてあるフェリーに乗り込み、その名前の通り、到着時間より10分ほど早く目的地に到着。


朝のフェリーはビロウドのフカフカの椅子と、小さめな窓、窓から椅子が少し沈んでいるからか、海面が近く、揺れていることがダイレクトに伝わってきて乗ってから早々に船酔いをしてしまいました。今私は船という箱に乗って、揺れる海面に浮いているのだ、と揺れる景色と自分の関係を頭の中で整理しているとやっと気持ちが落ち着きました。


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 帰り道もまた港へ。
 切符の販売機を求めて歩き回っていると、「島しょ部→フェリー」の看板が。
 そうか、私は島しょ部にいるんだ。島に暮らしているということを改めて。島へは橋がかかっていて、頭の中では分かっているのですが、陸続きの場所で暮らしているような気持ちになっていました。
 夕方5時半のフェリーに乗船したので、帰宅ラッシュを見兼ねてか、大きな車も乗るフェリーでした

 さつまいもが食べたくなる空

 食いしん坊なのでぼんやりと空をさつまいもと重ねてしまいます。海を進むと段々と日が暮れる。陽があったときは見えていた海面が真っ暗なものになって、大きな窓には船内が鏡のように写っています。遠くに見えるのは私の住む島の対岸の本土の街の灯り。その灯りが遠く、かと言って木々の間を走っているわけでもない、自分は今島しょ部に向けて、ぽっかりと広い海面を移動しているんだと思うと、ワクワクが止まりません。

 電車やバスと違う、エンジンの振動なのかもしれないけれど、その中にある水をかく感覚のようなものを感じました。


♩ナイトクルージング-Live
    フィッシュマンズ

1999年リリース「98.12.28 男たちの別れ(Live)」

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