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#183 「質問力」を身につける、障害と対策(実践編)
「質問」。交渉でもコーチングでも重要とされ、多くのHow to本も出ています。でも、「質問」は相手があることですから、うまくいかないことも。
これまでの営業経験で散々失敗して来た経験から、How to本には意外と載ってない障害と対策、をメモ。
1、そもそも「質問」って意外とできないもの。
「質問、大事だなぁ、よし質問しよう!」と思っても結構難しいものです。
その理由ですが、大きく2つあります。
☑️ 準備が大変
☑️ 「想定外の答え」が出てくる
1つ目の準備が大変、というのは、話すこと、は自分が喋るだけの1パターンの準備で良いですが、「質問」は相手の答えによって枝分かれするので多くのパターンを考える必要があるから、ということです。
「質問なんて準備しなくてもできるよ」という方はいいのですが、多くの場合、出だしは「質問」でスタートできますが、そのうち「アンケート」か、「語尾が疑問形で終わる説明」になってしまい、そもそもの「質問」の目的である、「相手に考えてもらって気づいてもらう(そしてできれば行動に移してもらう)」から遠ざかってしまうものです。
「アンケート」とは何か?というと、相手が考えなくても答えられる事実を聞く質問のことを指します。
「語尾が疑問形で終わる説明」とは何か?というと、文字通り、長々と説明した後に「〜と言われていますが、いかがですか?」で終わるようなものを指します。
こうなってしまうと、本来の「質問」の力は発揮できません。
ですから、特に初めのうちは、面倒でも準備は必要です。ある程度場数でカバーできますから、準備はだんだん楽になるはずです。
2つ目の、「想定外の答え」が出てくる、というのは、いくら事前に想定問答を用意しても、「想定外の答え」が出てきて対応に困ることです。
相手があることですから、当然、起こり得ます。
実は「質問」を挫折してしまう1番の原因はこれです。
「想定外の答え」が出ると、事前準備をしっかりしていればしているほど、思考停止に陥ってしまいます。
なぜなら、「この質問をしたら、答えはAかBかCで…」と考えているところに、「甲」とか「乙」とかが返ってくる訳ですから。
How to本にもこの対処法が書かれたものは(私がこれまで読んだ範囲では)無いです。そもそも「想定外」、ですからね。
この2つの理由から、「質問」って意外と難しく、できないもの、と言えます。
2、「想定外の答え」にはどうすれば?
先ほどの、事前準備が大変、というのは、頑張るしかないと思います。
困るのは、いくら頑張っても解決できない、「想定外の答え」への対策です。
対策は2つあります。
☑️ 想定外が起こらないようにする
☑️ そのまま投げ返す
1つ目の想定外が起こらないようにするというのは、「質問」の組み立てを工夫する、ということです。
最初は「Yes No」で答えられる質問や、選択肢の中から選んでもらう質問などで話を進めて、最も大事な、気づいて欲しい部分だけ、フリーで質問するのです。
自己説得の最も大事なポイントは、「気づいて欲しい部分を、自分の頭で考えて、自分の口から言ってもらう」ということです。
それ以外は、「うなづき」や「指差し」でも構いません。
それであれば、事前準備も枝分かれのパターンが限られますし、負担が軽減される効果もあります。
それに、質問される方も、ずっとフリーの質問(なんでも答えていい質問)だと、だんだん、考えるのに疲れてきて、肝心の質問に辿りつく頃にはめんどくさくなっている可能性もあります。
もちろん、それでも「想定外の答え」はあり得ます。
その時に役に立つのが、2つ目のそのまま投げ返すです。
「想定外の答え」が返ってくる、ということは、こちらの質問の意味が伝わっていない、という可能性が高いです。
例えて言えば、こちらは野球をしているつもりでバットを持ってバッターボックスに立っているのに、相手から飛んできたのは、ボーリングの球だった、というような状況です。
みなさん真面目なので、それでも頑張って打ち返そうとして怪我をするのです。
ですから、一旦見送って、後ろの壁に当たってまた相手に戻せばいいのです。
例えが逆にわかりにくかったかもしれませんが、具体的には、
「なるほど。○○とお考えなんですね。その理由をお聞かせいただけますか?」
とそのまま聞き返せばいいのです。
これは、トーンによっては喧嘩になる危険がありますのでそこは注意が必要です。間違っても、「何言ってんの?」みたいなトーンではいけません。
そんなことしないよ、と思われるかもしれませんが、入念に事前準備した、ねりにねった質問です。ぶぜんとした気持ちがトーンに出てしまうものです。
コツとしては、前半部分をゆっくりと、そして、「お考えなんですね」の後、ゆっくり、1、2、3と心で数えてから、後半に進むといいです。
後半は言いにくければ、「申し訳ないのですが、もう少し詳しく教えていただくとすると…」などでもいいかもしれません。
その結果、もう一度内容を伺えば、相手の言っている意味もよく理解でき、事前準備のパターンに当てはまればそちらに、もし、それ以外のパターンだとしても、質問の意味が伝わっていなかったのか、意味は伝わっているけれども本当に想定外だったのか、がわかりますので、対応(前者であれば、再度わかるように質問し、後者であれば、なぜそうお考えなのか、など背景を探る質問を重ね糸口を見つける)も可能です。
このように「想定外の答え」の対策が準備できれば、安心して「質問」ができます。
3、まとめ
How to本、うまくいくパターンしかありませんから、読むとうまくいく感じがしてしまいますが、実際は「想定外」の方が多いものです。
「質問」に限らず、散々読んで試してみて、そして失敗してみて、の実感です。
「質問」と聞くと、普段からやっているし、難しいことは何も無く、改めて勉強するようなことは無いと思いがちです。
でも、「相手の自己説得を促す」という目的で使うには、ご紹介した通り、いくつかの障害があります。
このギャップが、挫折ポイントなのです。
「よく知っている」、というのと、「よくできる」、とは違います。
最初から難しい、と思っていれば、失敗してもしょうがない、また試そう、となるのですが、中途半端に知っているし、使っている、というものだから、厄介なのです。
「たかが質問」で大袈裟かもしれませんが、「されど質問」なのです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
私の失敗経験ですが、お役にてば幸いです。