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出版革命の先陣を切る草の葉ライブラリー

出版革命の先陣を切る草の葉ライブラリー

出版革命の先陣を切る草の葉ライブラリー
 
毎年おびただしい本が刊行される。それらはすべて採算が取れると踏んで刊行されるのであって、少なくとも数千部、さらに数万部の大台にのせ、あわよくば数十万部を目指し、その究極の目標がベストセラーである。本は売れなければならない。売れる本だけが価値をもたらす。売れる本によって彼らの存在が確立されていくからである。これがこの世界を絶対的に支配している思想でありシス

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葉っぱの坑夫の本のつくり方 大黒和恵

葉っぱの坑夫の本のつくり方 大黒和恵

やっと、『オオカミの生き方』が発売になりました! ペーパーバック版につづいて、年明けにはKindle版も発売開始。野生に生き、森や荒野をかけめぐるオオカミとは、いったいどんな生きものなのか、著者のウィリアム・ロングが長年にわたり追ったドキュメントです。(まえがき:大竹英洋)
 
以下は、前回「新刊 & 12月の半額セール案内」のつづきです。
それから10年くらいたって、アメリカのアマゾンがKind

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ブック・ウォーズ デジタル革命と本の未来

ブック・ウォーズ デジタル革命と本の未来

デジタル革命×本=電子書籍、だけではない‼ 書籍業界にもたらされた破壊と機械を網羅。技術系企業との戦争から、オーディオブック、本のサブスク、物語投稿プラットフォームまで。
  
〈アンディ・ウィアーは自分の幸運に目を疑った。ずっと作家になりたかったのだ。9歳のとき……以来ずっと〉(本書より)。
ベストセラー小説『火星の人』の作者ウィアーに幸運をもたらしたのは、デジタル革命だ。彼は、ウェブサイトに作

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出版革命が始まった

出版革命が始まった

葉っぱの坑夫について  大黒和恵

葉っぱの坑夫は非営利で活動するウェブ・パブリッシャーです。2000年4月から、ウェブ上で翻訳作品やオリジナル企画のストーリー、エッセイ、詩などを公開してきました。また2001年よりウェブで発表した作品を紙の本や電子書籍にして、葉っぱのサイトや書店で販売もしてきました。
 
葉っぱの坑夫はパブリッシャーであると同時に、「こんなことができたら」という夢を実現するアー

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出版業界の商慣習に一石 川村貴大

出版業界の商慣習に一石 川村貴大

書店が出版社から直接本を仕入れる際、クレジットカードで決済できるサービスを、出版社「ミシマ社」代表の三島邦弘さんが、代表を務める会社「一冊」が一月に始めた。出版社が「取次」と呼ばれる卸業者を介して本を流通させるのではなく、書店と商品や代金を直接やり取りする場合の、清算の煩雑さを解消できるという。「商慣習のアップデートをやりたい」と三島さんは語る。

国内の出版流通では、取次を代表した販売ルートが主

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日本が最も輝いていた 1980年代

日本が最も輝いていた 1980年代

1980年代の日本ではバブル景気や平成への改元など、経済面・社会面で大きな出来事がありました。また、携帯や家庭用ゲーム機も誕生し、人々の生活にも新たな変化があったといえます。以下では、1980年代の日本で起こった注目すべき出来事をまとめているので、参考にしてください。

バブル景気が起こった
1980年代の後半、日本は「バブル景気」といわれる好景気に突入しました。バブル景気で起きたのが、土地や高級

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現代劇のない日本 岸田國士

現代劇のない日本 岸田國士

 日本中の劇場で、これまで「現代劇」をやつたことがないといえば、確かにそこここから異論が出るだろうと思いますが、私は、それでも、「日本は現代劇なし」と明言します。
 その理由はこうです。
 まず、これまで、「新劇」と呼ばれていた、歌舞伎でも新派でもない芝居――それは概して、西洋劇の翻訳と若干の創作劇を含むものですが――は、これを脚本として見ればともかく、舞台で観ると、「演劇」としての大切な要素を欠

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ハムレット 第五幕・二場 

ハムレット 第五幕・二場 

SCENE 2. Part 3 A hall in the castle.
第二場 その3 城の大広間
 
 
CLAUDIUS
Come, Hamlet, come, and take this hand from me.
KING CLAUDIUS puts LAERTES' hand into HAMLET's
 
クローディアス
こちらへ来い、ハムレット、ここに来てこの手をとってくれ。

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進化する翻訳アプリ

進化する翻訳アプリ

Chat GPTは一番はじめに「日本語が入力された場合は英語に、英語が入力された場合は日本語に訳してください」って言っておくとその後はスムーズに対応してくれますね〜
 
Chat GPTにKERが褒めてたよ、と伝えたら→
「Kevin’s English Roomの皆さんがChatGPTの翻訳精度を褒めてくださっているんですね!それは嬉しい話ですね。彼らは英語と日本語の両方に精通している方々なので

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草の葉ライブラリー

草の葉ライブラリー

草の葉ライブラリー
一冊一冊が手作りです
生命の木立となって
時代とともに成長していく本です。
三百年間、繰り返し、絶えることなく
世に送り出していきます。
 

毎年おびただしい本が刊行される。それらはすべて採算が取れると踏んで刊行されるのであって、少なくとも数千部、さらに数万部の大台にのせ、あわよくば数十万部を目指し、その究極の目標がベストセラーである。本は売れなければならない。売れる本だけが

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ロングラン

ロングラン

  日本にはロングランがうてる戯曲が一作もない
 
演劇の聖地、ニューヨークのブロードウェイやロンドンのウエスト・エンドでは、劇場はロングラン方式で運営されている。その演劇がヒットすれば無期限に公演される。一九五二年にウエスト・エンドの劇場にかけられたアガサ・クリスティーの戯曲「ねずみとり」は、現在もロングラン記録を日々更新している。なんと七十年間、とぎれることなくの続演である。これは例外中の例外

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ゴッホは殺されたのか

ゴッホは殺されたのか

ゴッホとテオとヨハンナ
 
   1
 
 かつて私はゴッホについて次のように草したことがある。
 
《ゴッホの絵を見るたびに、弟テオに宛てた膨大な手紙を読むたびに、彼の思想が私のなかに流れ込んでくる。彼の最後の手紙はこうだった。

 この最後の手紙はさまざまな読まれ方をしているが、私はいまこのくだりをこう読んでいるのだ。弟テオとともにはじめた世界を転覆させるためのプロジェクトづくりも、すでに十数

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壮大な史劇にして雄大な政治劇に取り組むための素材集 23

壮大な史劇にして雄大な政治劇に取り組むための素材集 23

イプセンの「民衆の敵」を翻訳した笹部博司氏は、この劇についてこう評している。
「民衆の敵」は、エンターメントとしても申し分なく、コメディとして最高で、人間ドラマとして一級で、なおかつ政治劇、社会ドラマとしてもきわめて深く、本質的である。人間の愚かさ、醜さ、いい加減さをあますところなく描き尽くし、なおかつ突き放していない。そしてそのどうしょうもなさからこぼれおちるのは、人間という生き物の魅力である。

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壮大な史劇にして雄大な政治劇に取り組むための素材集 22

壮大な史劇にして雄大な政治劇に取り組むための素材集 22

イプセンの「民衆の敵」を翻訳した笹部博司氏は、この劇についてこう評している。
「民衆の敵」は、エンターメントとしても申し分なく、コメディとして最高で、人間ドラマとして一級で、なおかつ政治劇、社会ドラマとしてもきわめて深く、本質的である。人間の愚かさ、醜さ、いい加減さをあますところなく描き尽くし、なおかつ突き放していない。そしてそのどうしょうもなさからこぼれおちるのは、人間という生き物の魅力である。

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