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読書月報

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親の仇のように本を読む。その記録、報告書。実際敵討ちなのである。高校時代鬱で読めやんかった分を取り返すように。一冊の本は自殺の遅延である。
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#読書記録

2023年12月に読んだ本

2023年12月に読んだ本

もはやここまで溜めてしまうともう訳が分からん。

1 永井みみ『ジョニ黒』★★★★☆

井戸川射子と同種の筆力を感じる。ストーリーというストーリーはない小説を書けるのは羨ましい。次作も楽しみ。

2 岩浪れんじ『コーポ・ア・コーポ⑥』★★★★★

6巻で完結らしい。最後のページにさらっと書いてあるこの漫画のモデルにもなっているという著者の話がえげつない。映画化までしてよかったね。面白い漫画でした。

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2023年7月に読んだ本

2023年7月に読んだ本

1 目黒雅也『西荻さんぽ』★★★☆☆

西荻の近くに住んでる人しか読む必要はない気がするが、絵がよい。載っているのはほとんど飲食店。

2 川上未映子『深く、しっかり息をして』★★★☆☆

ああ川上未映子だなというエッセイ集。今回のエッセイ集には特にフェミニズムに分類できるような内容のエッセイが多く収められていた印象。

3 ダイアン・クック『人類対自然』壁谷さくら訳★★★★★

面白い。かなり面

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2023年6月に読んだ本

2023年6月に読んだ本

1 セリーヌ『夜の果てへの旅(上)(下)』生田耕作訳★★★☆☆

言わずと知れた名作なので読まなければと思っていた。が、正直読むのはキツかった。まず最初の戦争の章でこの戦争の話が二巻も続くなら絶対に完読はできないと思った。戦争の話は続かなかったが、それでもなかなか大変だったのはなぜだろう。でも戦場のシーンもパリのシーンもアフリカの植民地のシーンもアメリカの工業地帯のシーンもフランスの田舎のシーンも

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2023年5月に読んだ本

2023年5月に読んだ本

1 ダンティール・W・モニーズ『ミルク・ブラッド・ヒート』押野素子訳★★★★★

巻頭の表題作、冒頭の一文から尖りすぎている。

「ピンクは女の子の色」。キーラはそう言うと、エイヴァと一緒に手のひらを切りつけ、ミルクがいっぱい入った浅いボウルに血を滴らせる。

最高。少女たちの残酷さ、複雑で面倒な関係、リアルな取引にゾクゾクする。女性は強さと弱さ、精神と身体、アンビバレントな欲望の極を振幅する。彼

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2021年7月に読んだ本

2021年7月に読んだ本

2021年7月に読んだ本
ちょっと今月は冊数多い。

1 パウリーナ・フローレス『恥さらし』
チリ人女性のデビュー短編集。新宿の紀伊國屋でタイトル買い。
チリの小説ははじめて読んだけど面白かった。どの話でも大体父親が失業している。それか離婚していないか、刑務所で服役中である。え、これどういうことなの?という終わり方をする話も結構あるのだが、それもまたよい。ほとんどの話がチリの首都サンティアゴを舞台

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2021年6月に読んだ本

2021年6月に読んだ本

2021年6月に読んだ本

1 ジャレド・ダイアモンド『人間の性はなぜ奇妙に進化したのか』
長い間読みたい本リストに入っていたのだが、角川武蔵野ミュージアム(紅白でYOASOBIが歌ってたデカい本棚があるところ)に行った際に見かけて今度こそ読もうと思いAmazonで購入。
人間の性がいかに他の動物と比べて変わっているかを解説した本。ユーモアのある書きっぷりがよかった。

ヒトの男性は一度に二億個の

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2020年に読んだ本ベスト10

2020年に読んだ本ベスト10

今年私が読んだ全174冊からベスト10を独断と偏見に基づきセレクト。小説、エッセイ、人文書、詩集、漫画、入り乱れての混戦につき、数々の名作がベスト10入りを逃した。そんな中勝ち残った珠玉の10作を、このブログを最後まで読まない人も多かろうということで勿体ぶらず、映えある第一位から発表する。

2020年に読んだ本ランキングベスト10 
1位 『掃除婦のための手引き書』ルシア・ベルリン

【小説・短

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