マガジンのカバー画像

文学

18
文学作品の感想、考察、解釈。 米文学のみならず、日英文学も含む。 「これからこれを読む/観る」は含めていない。
運営しているクリエイター

記事一覧

卒業論文の経過①(メモ)

卒業論文の経過①(メモ)

"The Adventures of Tom Sawyer"

色の描写が多い→洞窟との対比?

山、森(草木がある場所)を中心に冒険

未開の地の開拓→米的

海賊、盗賊(金を発見することを目的とする)→米的

自由を求める(トムはじめ子どもたちみんながハックを羨望)→米的

インジャン・ジョー=殺人犯、裏切者 アメリカで言うと…

金貨を探し当てたトム&ハックをちやほやする親族、その他

トム

もっとみる
卒業論文の経過②(メモ)

卒業論文の経過②(メモ)

今回更新分はBOLDで記載。

①5-6月進捗『トム・ソーヤーの冒険』 2周目
『ハックルベリー・フィンの冒険』 2周目
『マーク・トウェインの世界』 読了
"The Adventures of Tom Sawyer" -Chapter XIII

②視点"The Adventures of Tom Sawyer"

色の描写が多い→洞窟との対比?
山、森(草木がある場所)を中心に冒険
未開の地の

もっとみる
『君たちはどう生きるか』

『君たちはどう生きるか』

公開2日目、 宮﨑駿監督の最新作『君たちはどう生きるか』を観てきました。事前情報がポスター1枚のみという現代では考えられないスタートでしたが、公開初日から満員の映画館も出たようで、多くの日本国民が宮﨑駿という人間と彼が創る作品に期待と信頼をおいているのだなと感じました。

以下、映画本編の内容を含む諸情報や感想を記述します。未観賞の方はぜひ作品を観てからお読みください。

まずは感想から書いていき

もっとみる
Henry James's "The Turn of the Screw" 考えられる説

Henry James's "The Turn of the Screw" 考えられる説

①家庭教師の妄想説(徐々に焦りと恐怖、不安を増大させるような語りに 家庭教師の話に合わせた、話に洗脳された)
②幽霊は本当にいた説(グロースだけに見えていない グロースと他の違いは何? マイルズとフローラも見えている可能性)
③グロースが黒幕説(何にもないようなリアクションをとって実は裏で子どもと悪霊を動かしている すべて知っている)
④子どもは悪霊に生かされていた(支配されていた)説(フローラは

もっとみる
トニ・モリスン『青い眼がほしい』感想

トニ・モリスン『青い眼がほしい』感想

トニ・モリスン『青い眼がほしい』。有名なアメリカ文学で、いつか読みたいと思っていた。今回、大学の課題を遂行するためにはじめて読んだ。そんなに長くない感想を、あえて言葉を選ばずに記す。

この作品は、世間一般に言われる「黒人差別」を単に描いているのではない。黒人差別とはまた違った、深く残酷な人間の精神が詳細に記されている。ピコーラを取り巻く人物(主に両親)が、なぜ彼女をそのように扱うのか。彼女はなぜ

もっとみる
Edgar Allan Poeが "The Murders in the Rue Morgue" における殺人事件を通して描いたもの

Edgar Allan Poeが "The Murders in the Rue Morgue" における殺人事件を通して描いたもの

はじめに

 エドガー・アラン・ポーの短篇「モルグ街の殺人」は、殺人事件の犯人としてオランウータンを登場させている。なぜ人間ではないのか。なぜ他の動物ではないのか。オランウータンでなくてはならない理由は何なのか。この作品が米文学であることに留意しながら、述べていきたい。

1. 19世紀前半の米国

 この作品が発表されたのは1841年である。米国(特に南部)において、奴隷制真っただ中という時期で

もっとみる
J. D. Salinger "A Perfect Day for Bananafish" が目指すこと

J. D. Salinger "A Perfect Day for Bananafish" が目指すこと

はじめに

 J. D. Salingerの短編集 "Nine Stories" の1作目に "A Perfect Day for Bananafish"(柴田元幸訳:「バナナフィッシュ日和」)という作品が収録されている。まずbananafishとは何かということになるが、Seymour Glassは次のようにSybil Carpenterに語っている。

当然のことながら、これは実在しない架空の

もっとみる
フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』感想

フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』感想

結局タイトル何なんという感じではある。電気羊も出てくるしアンドロイドも出てくるけど、アンドロイドが夢を見る描写などないし、そもそもアンドロイドは夢を見ることができるかどうかも不明。

論点は、〈人間〉vs. 〈機械〉。人間とアンドロイドは何が違うのか、主人公リックはその違いを自覚するとともに、アンドロイドとの共通点も感じ始める。それはアンドロイドの「心」に触れたときである。結局感情の在り方が相違点

もっとみる
フランシス・ホジソン・バーネット『秘密の花園』感想

フランシス・ホジソン・バーネット『秘密の花園』感想

読了!

タイトルの通り、花園の話。イギリスが舞台で、みんな一度は読んだことのある屋敷もののような何百年も続いている屋敷に閉ざされている庭があって、そこにメアリが入っていって…

人間の中身の変化がとても多い作品。この人はどのように変わっていくのだろう、わくわく、という感じで読み進めた。ちなみにスーパーハッピーエンドです。

自然の描写が多いから心が洗われる。草木花鳥動物。美しい。

400頁くら

もっとみる
ロバート・L・スティーブンソン『宝島』感想

ロバート・L・スティーブンソン『宝島』感想

スティーブンソン『宝島』(鈴木恵 訳、新潮文庫)

この本に載ってる本の中で気になったもののひとつ。イギリス文学。タイトル通りほぼ「宝島」での出来事。これまで読んできた『トム・ソーヤの冒険』や『ハックルベリー・フィンの冒けん』などと同じような冒険ものだが、冒険の中身がまったく異なる。トムもハックも自由を求めて冒険(トムに関しては一般的な冒険とは言い難い、冒険“的”なこと)をしているけれど、この作品

もっとみる
スティーブンソン『ジキルとハイド』感想と簡単な考察

スティーブンソン『ジキルとハイド』感想と簡単な考察

スティーブンソン『ジキルとハイド』 (田口俊樹 訳、新潮文庫:"The Strange Case of Dr. Jekyll and Mr. Hyde")

まず、新潮のこの表紙、かなりネタバレだと思う。ジキルとハイドが同一人物であることは小説終盤で明らかになるが、表紙がその全てを物語ってしまっている。少し残念というか、ホラー味が失せるというか。

私は、人間は善悪両方あっての存在だと考えている

もっとみる
ヘンリー・ジェイムズ『デイジー・ミラー』を考えるにあたり

ヘンリー・ジェイムズ『デイジー・ミラー』を考えるにあたり

今、私はヘンリー・ジェイムズの『デイジー・ミラー』について短い論文のようなものを書いている。いずれ、Noteに載せることになるものである。現時点で6000字に到達している。ただ、字数にはこだわらないつもりである。書きたいことが書けたらそこで終わりにする。
テーマは「デイジーの死と米国人女性の描かれ方」の予定である。書いていくうちにゴールは変えるかもしれないが。
全文をここに投稿する前に、今決まって

もっとみる
J. D. サリンジャー『大工よ、屋根の梁を高く上げよ/シーモア―序章―』感想

J. D. サリンジャー『大工よ、屋根の梁を高く上げよ/シーモア―序章―』感想

『大工よ、屋根の梁を高く上げよ/シーモア-序章』 (野崎孝・井上謙治 訳、新潮文庫)

『フラニーとズーイ』以上に読みにくくわけのわからない作品。

「大工よ―」はシーモア結婚式の日の様子をバディが書いたもの。が、シーモアは出てこない。簡単に言うと、ドタキャンしたから。何が書かれているかというと、バディが取り巻かれている環境。シーモアがどのような人物か、会話を通して少しずつ明らかになっていく。

もっとみる