JW584 創建と遷座と
【垂仁経綸編】エピソード6 創建と遷座と
第十一代天皇、垂仁天皇の御世。
紀元前3年、皇紀658年(垂仁天皇27)のある日・・・。
ここは、伊勢国の五十鈴宮。
二千年後の三重県伊勢市に鎮座する、伊勢神宮の内宮である。
前回、真鶴を祀った、天照大神(以下、アマ)の御杖代、倭姫(以下、ワッコ)たちの元に、猿田彦大神が出現したのであった。
猿田彦「今年、神託を下したぜ。ついでに、紹介しろ!」
ワッコ「えっ? 神託にござりまするか?」
ねな「どんな内容なの?」
猿田彦「聞いて、驚け! 俺の墳墓の近くに、道別大神の社を建てよ!」
ワクワク「猿田彦様の墳墓? 猿田彦様って、神様なのに、死んでたの?」
猿田彦「神様でも死ぬんだぜ。伊弉冉神も、そうだったろ?」
市主「左様にござりまするな・・・。」
インカ「して、道別大神とは、如何なる神にござりまするか?」
猿田彦「俺のことだぜ!」
カット「天津彦彦火瓊瓊杵尊こと『ニニギ』様が、降臨なされた折、先を歩いて、露払いしたゆえの、御名にござりまするな?」
猿田彦「よく学んでるな! その通りだぜ!」
ワッコ「そ・・・それで、社の名は、如何なさいまするか?」
猿田彦「椿大神社に決定だぜ!」
ワッコ「して、何処に建てれば、よろしいのでしょうか?」
猿田彦「決まってるだろ? 三重県鈴鹿市の山本町だぜ!」
キーマ「そこに、猿田彦様の墓が有るのですな?」
猿田彦「そういうことだ。」
おしん「境内に、高山土公神陵ってのが有るんだけどよぉ、それが、猿田彦様の墓みてぇだな。」
猿田彦「高山土公神陵? 俺の名前が、一文字も入ってないぞ?」
オトオト「これが、ロマンということでは?」
猿田彦「なるほど・・・。これが、ロマンってヤツか・・・。」
アララ「あらら・・・そういうことに、なっちゃった・・・。」
猿田彦「とにかく、よろしく頼むぜ!」
こうして、椿大神社が創建されたのであった。
そして、舞台は、国中(奈良盆地)に戻る。
ここは、纏向珠城宮。
垂仁天皇こと、活目入彦五十狭茅尊(以下、イク)の面前に控えるのは、尾張弟彦(以下、いろりん)である。
いろりん「大王におかれましては、御機嫌麗しく、祝着至極に存じ申し上げ奉りまするがや。」
イク「ん? いろりん? どうしたの? 畏まっちゃって・・・。」
いろりん「実は・・・。今年、社を遷座するんで、それを言挙げするために、参ったんだがや。」
ここで、大連や大夫たちが、口を開いた。
ニック「何ちゅう社が、遷座されるんや?」
いろりん「その名も、大縣神社だがや。」
武日「祭神は?」
いろりん「それが、諸説有ってよぉ・・・。」
くにお「されど、社の説明文では、大縣大神としか、書かれておらぬぞ?」
いろりん「ほんでもよぉ、大縣大神なんて、神様、聞いたこと有るか?」
くにお「た・・・たしかに、聞いたことは無いのう・・・。」
いろりん「そこで、いろんな説が出てるんだがや。国狭槌尊という説も有るみたいだで。」
オーカ「『記紀』の初めに登場する、神世七代の一柱にあらしゃいますなぁ。」
いろりん「他にも、天津彦根命っちゅう説も有るがや。」
ちね「天照大神と素戔嗚命の誓約で誕生した、神様やな?」
いろりん「その通りだがや。」
イク「まあ、いろいろ有って、ロマンってことだね。」
ニック「せやけど、何で、大縣大神なんて、神さんを祀ろうと思うたんや?」
いろりん「それがよぉ、尾張国を開拓した神様みたいでよぉ・・・。」
武日「そんげな、重要な神様なのに、諸説有りなんやな?」
いろりん「そうなんだがや。ホントに、不思議で仕方ないがや。」
イク「それで、何処に遷座するの?」
いろりん「元々は、本宮山の頂に鎮座しとったんだけどよぉ、此度、愛知県犬山市の宮山に遷座することにしたがや。」
こうして、大縣神社が遷座されたのであった。
つづく
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